2005/08/06 東京新宿「新宿オスカー劇場」で「ライディング・ザ・ブレット」を観た。

1969年10月30日、ハロウィン。
メイン州立大学の画学生アラン・パーカー(ジョナサン・ジャクソン)は、恋人のジェシカ・ハドレー(エリカ・クリステンセン)といざこざを起こしてしまう。

アランは失意のどん底状態で自宅のバスタブにつかりながらマリファナを喫い、カミソリの刃を弄んでいたが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:ミック・ギャリス
原作:スティーヴン・キング『ライディング・ザ・ブレット』(アーティストハウス刊)
出演:ジョナサン・ジャクソン(アラン・パーカー)、デヴィッド・アークエット(ジョージ・ストーブ)、クリフ・ロバートソン(農夫)、バーバラ・ハーシー(ジーン・パーカー)、エリカ・クリステンセン(ジェシカ・ハドリー)

本作「ライディング・ザ・ブレット」は、私見ではあるが、所謂ホラー映画の範疇を超えた、感動的な作品に仕上がっていた。
特にエピローグの出来は白眉だと思う。

しかしながら、本作の構成は「スタンド・バイ・ミー」のそれに酷似しており、数多くのオールディーズをフィーチャーする手法も、「スタンド・バイ・ミー」のそれを髣髴とさせる。
また、ショック・シーンや内面の自分との対話等のシークエンスは、もはや使い古されたような手法を使っている。

思うに、ミック・ギャリスは、新世代の「スタンド・バイ・ミー」を撮りたかったのではないか、と勘ぐってしまう。

事実、本作は所謂ホラー映画と言うよりは、アラン(ジョナサン・ジャクソン)がある夜体験する一夜の出来事を通じてどうなったのか、を描いている。言わば、アランの成長物語の体裁を取っているのだ。
しかし、その成長物語は、お約束の少年期から大人への成長を描くのではなく、青年期から言わば老成へ、と言うか達観への道を描いているのである。

そしてその老成した、エピローグに登場するアラン(ピーター・ラクロワ)が最高に格好良い。
これはピーター・ラクロワのルックスとも相まって「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストをも髣髴とさせる。

そして本作のコンセプトは、「グリーン・マイル」の死のメタファーの影響すら感じられる。
「グリーン・マイル」が暗喩した死への長い道のりは、本作ではブレット乗車バッジとして再生を果たしているのであり、ブレットへの行列は断頭台への行進に他ならないのだ。

本作「ライディング・ザ・ブレット」は、客を呼べる俳優をキャスティングし、もうちょっと脚本をなんとかし、メジャー配給会社が配給したならば、もしかすると凄い傑作になったかも知れない。と思う。

そして本作は、ある意味スティーヴン・キングの盟友もしくは子飼いの監督とも言えるミック・ギャリスのフィルモグラフィーを考えた場合、はっきり言ってミック・ギャリス最高の作品だと言えるのではないだろうか。

本作「ライディング・ザ・ブレット」は、大作映画に飽き飽きした観客にとって、一服の清涼剤として機能するような、さわやかな感動を与える作品に仕上がっている。
勿論ホラーの体裁を持っているし、観客を選ぶ作品ではあるが、機会があれば是非、劇場に足を運んで欲しい。

また、余談だが、本作「ライディング・ザ・ブレット」の配給会社日活の本作プロモーションは、近年稀に見る程の頑張りが見て取れる。
「キング祭り」詳細
http://www.nikkatsu.com/movie/riding/home/index.html

更に余談だが、本作のアートワークはバーニ・ライトスンがやっているのにも驚いた。

☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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