2005/08/03 東京池袋「テアトル池袋」で「姑獲鳥の夏」を観た。
昭和20年代末の東京では、ある奇怪な噂が世間を騒がせていた。
雑司ヶ谷の久遠寺医院の娘、梗子(原田知世)が20ヵ月もの間妊娠し、夫、牧朗(恵俊彰)は密室から消えてしまったというのだ。
小説家の関口巽(永瀬正敏)はふとしたことから事件に関わり、私立探偵の榎木津礼二郎(阿部寛)と捜査に乗り出すのだが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:実相寺昭雄
原作:京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社刊)
美術:池谷仙克
出演:堤真一(京極堂/中禅寺秋彦)、永瀬正敏(関口巽)、阿部寛(榎木津礼二郎)、宮迫博之(木場修太郎)、原田知世(久遠寺涼子/梗子/二役)、田中麗奈(中禅寺敦子)、清水美砂(中禅寺千鶴子)、篠原涼子(関口雪絵)、松尾スズキ(内藤赳夫)、恵俊彰(久遠寺牧朗)、寺島進(原澤伍一)、堀部圭亮(青木文蔵)、三輪ひとみ(戸田澄江)、原知佐子(澤田富子)、荒川良々(和寅)、京極夏彦(傷痍軍人/水木しげる)、すまけい(久遠寺嘉親)、いしだあゆみ(久遠寺菊乃)
とりあえず、原作は脇に除けておく。
本作「姑獲鳥の夏」は実相寺昭雄ワールド全開の作品だった。
特にその実相寺ワールドはカメラワークに顕著に現われている。
最早やりすぎと思えるほどのカメラワークに脱帽なのだ。
更に音楽と、効果音の使い方も凄い。
実相寺ファンとしては、それだけでも大満足だったりする。
美術(池谷仙克)や衣装(おおさわ千春)も素晴らしく、世界観の構築は素晴らしいものである。
キャストもそれなりに頑張っている。
言葉のバトルのようなセリフの応酬をなんとか乗り切っているし、皆さんそれなりに、雰囲気を醸し出していると思う。
しかし、残念ながら脚本(猪爪慎一)がまずい。
尤も、原作と映画は元来別物なのだと思うし、わたしは常々そう言っている。
しかしながら「姑獲鳥の夏」の原作と映画は、本当に全く別物になってしまっていた。
とは言うものの、それはそれで結構なのだが、それを差し引いても、やっぱ、お話がまずい。
折角の世界観やキャストの頑張りが台無しである。
物語の肝となるべきところへの誘導が上手く行っていないのだ。
その結果、登場人物がグダグダと自説を開陳するお話になってしまっている。
謎解きのカタルシスが感じられないのだ。
ところで、キャストについてだが、特筆すべきは、久遠寺菊乃を演じたいしだあゆみである。
市川崑の「金田一耕介」シリーズを飾った高峰三枝子、司葉子、岸恵子らに勝るとも劣らない強烈な印象を受ける。
「鬼気迫る」と言う言葉は、本作のいしだあゆみのためにある言葉なのかもしれない。
しかし、本来ならば、物語の構成を考えた場合、原田知世が鬼気迫る演技を見せるべきだったのだが、それが何とも残念である。
本作「姑獲鳥の夏」の全体の印象としては、市川崑の「金田一」シリーズの亜流のような印象を否定できない。
そう考えた場合、出来るなら、市川崑の「京極堂」シリーズも観て見たい気がするのは、わたしだけではないハズだ。
そして、京極夏彦が比較的大きな役で画面に登場するのは、「金田一耕介」シリーズに横溝正史が出たようなものだと思うのだが、原作者をコメディ・リリーフ(または狂言回し)に使うのはどうかと思うよ。
とにかく、本作「姑獲鳥の夏」は実相寺ワールドを楽しむ向きには絶対にオススメの作品だと思うが、原作ファンにはキャラクターの描写はそこそこなのだが、物語上は満足行く仕上がりではない。
しかしながら、原作への誘導を考えた場合、多くの観客に対し「京極堂」ワールドへの関心を喚起させる作品には仕上がっている。
もしかしたら続編、続々編への芽が感じられるのかも知れない。
☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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昭和20年代末の東京では、ある奇怪な噂が世間を騒がせていた。
雑司ヶ谷の久遠寺医院の娘、梗子(原田知世)が20ヵ月もの間妊娠し、夫、牧朗(恵俊彰)は密室から消えてしまったというのだ。
小説家の関口巽(永瀬正敏)はふとしたことから事件に関わり、私立探偵の榎木津礼二郎(阿部寛)と捜査に乗り出すのだが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:実相寺昭雄
原作:京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社刊)
美術:池谷仙克
出演:堤真一(京極堂/中禅寺秋彦)、永瀬正敏(関口巽)、阿部寛(榎木津礼二郎)、宮迫博之(木場修太郎)、原田知世(久遠寺涼子/梗子/二役)、田中麗奈(中禅寺敦子)、清水美砂(中禅寺千鶴子)、篠原涼子(関口雪絵)、松尾スズキ(内藤赳夫)、恵俊彰(久遠寺牧朗)、寺島進(原澤伍一)、堀部圭亮(青木文蔵)、三輪ひとみ(戸田澄江)、原知佐子(澤田富子)、荒川良々(和寅)、京極夏彦(傷痍軍人/水木しげる)、すまけい(久遠寺嘉親)、いしだあゆみ(久遠寺菊乃)
とりあえず、原作は脇に除けておく。
本作「姑獲鳥の夏」は実相寺昭雄ワールド全開の作品だった。
特にその実相寺ワールドはカメラワークに顕著に現われている。
最早やりすぎと思えるほどのカメラワークに脱帽なのだ。
更に音楽と、効果音の使い方も凄い。
実相寺ファンとしては、それだけでも大満足だったりする。
美術(池谷仙克)や衣装(おおさわ千春)も素晴らしく、世界観の構築は素晴らしいものである。
キャストもそれなりに頑張っている。
言葉のバトルのようなセリフの応酬をなんとか乗り切っているし、皆さんそれなりに、雰囲気を醸し出していると思う。
しかし、残念ながら脚本(猪爪慎一)がまずい。
尤も、原作と映画は元来別物なのだと思うし、わたしは常々そう言っている。
しかしながら「姑獲鳥の夏」の原作と映画は、本当に全く別物になってしまっていた。
とは言うものの、それはそれで結構なのだが、それを差し引いても、やっぱ、お話がまずい。
折角の世界観やキャストの頑張りが台無しである。
物語の肝となるべきところへの誘導が上手く行っていないのだ。
その結果、登場人物がグダグダと自説を開陳するお話になってしまっている。
謎解きのカタルシスが感じられないのだ。
ところで、キャストについてだが、特筆すべきは、久遠寺菊乃を演じたいしだあゆみである。
市川崑の「金田一耕介」シリーズを飾った高峰三枝子、司葉子、岸恵子らに勝るとも劣らない強烈な印象を受ける。
「鬼気迫る」と言う言葉は、本作のいしだあゆみのためにある言葉なのかもしれない。
しかし、本来ならば、物語の構成を考えた場合、原田知世が鬼気迫る演技を見せるべきだったのだが、それが何とも残念である。
本作「姑獲鳥の夏」の全体の印象としては、市川崑の「金田一」シリーズの亜流のような印象を否定できない。
そう考えた場合、出来るなら、市川崑の「京極堂」シリーズも観て見たい気がするのは、わたしだけではないハズだ。
そして、京極夏彦が比較的大きな役で画面に登場するのは、「金田一耕介」シリーズに横溝正史が出たようなものだと思うのだが、原作者をコメディ・リリーフ(または狂言回し)に使うのはどうかと思うよ。
とにかく、本作「姑獲鳥の夏」は実相寺ワールドを楽しむ向きには絶対にオススメの作品だと思うが、原作ファンにはキャラクターの描写はそこそこなのだが、物語上は満足行く仕上がりではない。
しかしながら、原作への誘導を考えた場合、多くの観客に対し「京極堂」ワールドへの関心を喚起させる作品には仕上がっている。
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