「アイランド」

2005年7月28日 映画
2005/07/15 東京新橋「ヤクルトホール」で、2005/07/19 東京新宿「明治安田生命ホール」で、それぞれ「アイランド」の試写を観た。

海に浮かぶ緑豊かな島−−−−憧れの地「アイランド」を目の前に、海へ引きずりこまれてしまういつもの悪夢。しかし、夢から覚めたリンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)を待っていたのは、普段と変わらぬ一日だった。壁のスクリーンに映し出される健康アドバイス、管理の行き届いた食事、そして、女性用の住居棟で暮らすジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)との心はずむ会話。
大気汚染から救い出され、このコミュニティで暮らし始めて3年になる。安全で快適だけれど、退屈な日々。
ここで暮らす人々の夢は、地上最後の楽園「アイランド」へ行くこと。
日々行われる抽選会が彼らの最大の関心事だ。

しかしリンカーンはある日、換気口から入ってきた一匹の蛾を発見して疑問を抱く−−−−外の空気は汚染されているのではないのか?リンカーンの疑念は膨らむが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:マイケル・ベイ
脚本:カスピアン・トレッドウェル=オーウェン、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
美術:ナイジェル・フェルプス
出演:ユアン・マクレガー(リンカーン・6・エコー)、スカーレット・ヨハンソン(ジョーダン・2・デルタ)、ジャイモン・フンスー(ローレント)、ショーン・ビーン(メリック)、スティーヴ・ブシェミ(マッコード)、マイケル・クラーク・ダンカン(スタークウェザー)、イーサン・フィリップス(ジョーンズ・3・エコー)

予告編の時点で嫌な予感がしていたのだが、その予感は見事的中、本作「アイランド」は案の定ひどい映画だった。

わたしは久しぶりに映画を見ながら腹が立った。
しかも二回観にいって、二回とも腹が立つ、という始末である。

尤も、キャストの演技や、美術・衣装による世界観の構築、またアクション・シークエンスはよく出来ているし、マイケル・ベイの演出も従来の作品よりは一貫性が出てきて、手堅くなっていると思う。

が、しかし本作が採用したメイン・プロットが問題だ。
本作「アイランド」は、わたしにはどうしても「2300年未来への旅」(1976)のリメイク作品あるいはリ・イマジネーション作品に思えて仕方がないのだ。

ところで、マイケル・ベイと言えば、ジェリー・ブラッカイマーの言わば子飼の監督として知られ、そのフィルモグラフィーは、「バッド・ボーイズ」、「ザ・ロック」、「アルマゲドン」、「パール・ハーバー」、「バッドボーイズ2バッド」と、ド派手なアクションとビジュアル先行で内容が伴わない作品が並び、あまり映画を見ない人々にはヒット作をたくさん手がけた監督として大人気だが、映画好きな人々には極めて評判の悪い監督の一人である。

で、本作「アイランド」は、ジェリー・ブラッカイマーの下を離れたマイケル・ベイがドリームワークスの下、セルフ・プロデュースの形式で製作した作品なのだ。

そんなこんなで、ジェリー・ブラッカイマーの手の中から飛び出したマイケル・ベイの演出は順当で迷いがなく、従来のような一貫性のないキャラクターを描くのではなく、きちんとキャラクターが描けているような印象を受けるし、ナイジェル・フェルプス(美術)が構築した世界観は、既視感がつきまとうのは事実だが、作品の背景として見事に機能している。
また、後半部分のカーチェイスにいたっては、十分評価できるアクション・シークエンスだと思うし、ラスト近辺のロング・ショットは感動すらしてしまう。

しかし、メイン・プロットがいただけない。
いやプロット自体がまずい訳ではない、プロット自体を素直に見ると結構面白いと思うよ。個人的には。
しかし、前述のようにそのメインのプロットが「2300年宇宙の旅」にそっくりなのが問題なのだ。

まがりなりにもヒット作を連発する監督であるマイケル・ベイがかつての名作SF映画をパクっちゃまずいだろう。
たとえば、「アイランド」がB級映画として製作され、日本公開も「銀座シネパトス」みたいなところで公開されたとしたら、こんなに目くじらを立てることもないのだが、ドリームワークス製作、ワーナー配給、マイケル・ベイ監督作品として、鳴り物入りで全国拡大ロードショーされる作品としてははまずいだろう。と言う事なのだ。

キャストはユアン・マクレガーの訛がよかった。
多分「スター・ウォーズ」プリクェールで、でサー・アレック・ギネスの真似をしたのが良い経験になったのだろう。

あとは、イーサン・フィリップス(ジョーンズ・3・エコー)が良い味を出していた。
また、ジャイモン・フンスー(ローレント)にしろ、ショーン・ビーン(メリック)にしろ頑張ってるし、見せ場はいろいろあるのだが、多分多くの観客の目には、アクションが凄かったねとか言われちゃ映画になっちゃうんじゃないかな、とも思った。

まあ、本作「アイランド」は映画を年に何本かしか観ない人には絶対にオススメの楽しい映画だと思うのだが、ひねったプロットを楽しむ方にはどうかな、と思ってしまう。

と言うか、本作の配給会社がおかしいと思うぞ。
この映画は基本的にプロットを楽しむ映画だと思うのだが、そのメイン・プロットを最初からネタバレして、アクションを楽しむ映画として広告宣伝しているのは、一体どういうことだ!と言う事なのだ。

マイケル・ベイにはプロットは期待していない、と言う事なのかな。配給会社さんよ。

☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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余談だけど「2300年宇宙の旅」の主人公の名前は、ローガン・5 という。

さらに余談だが、「アイランド」を観た否定的な話を映画莫迦の友人にした何日か後、「アイランド」を観たその友人からこんなメールが届いた。

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そういえば「アイランド」を見たが、お前は一つ大事なことを見落としているぞ。
この作品、M・ベイのフィルモグラフィーの中で一番まともだということを!
まあ、大した作品ではないが、いつものイケイケ調がちょっとおとなしめだし、ストーリーに破綻がないところが、今までとは違うのではないか・・・・
(けっしてこの作品をホメてる訳ではないが・・・・)
この脚本、もっとエログロ度をアップしてラストにひねりを加えてヴァーホーヴェンが監督したらバケたかもしれないな・・・・
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今気づいたのだが、この友人も点々を四つ使っているぞ。

たとえば、こんなふうに・・・・

ここにも「スター・ウォーズ」の影響が・・・・

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tkr

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