「オープン・ウォーター」
2005年6月17日 映画2005/06/02 東京有楽町「よみうりホール」で「オープン・ウォーター」の試写を観た。
ワーカホリックの夫婦、スーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、ようやく取れたバカンスで、カリブ海に向かう。ふたりはせっかくの休暇なのに、仕事を完全に忘れることができない。愛が冷めた訳ではないのだが、現実に追われる内に自然と距離が出来てしまい、それを埋めるきっかけを失っていた。
翌朝早く、ツアー客で満員のダイビングボートに乗り込んだふたり。水深18メートル、約35分間のダイビングへと意気揚々と海に飛び込んでいく。精神的に開放されたスーザンとダニエルは、この貴重なひとときを満喫する。しかし・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本・撮影・編集:クリス・ケンティス
製作・撮影:ローラ・ラウ
出演:ブランチャード・ライアン(スーザン)、ダニエル・トラヴィス(ダニエル)、ソウル・スタイン(セス)、エステル・ラウ(エステル)、マイケル・E・ウィリアムソン(デイビス)
本作「オープン・ウォーター」は、2004年1月のサンダンス映画祭で評判を呼び、全米公開に当たっては、低予算映画としては異例の大規模公開となり、予想外の大ヒットを記録し、全世界の話題を集めたサスペンス・スリラーである。
第一印象は、真っ当で順当な作品に仕上がっている、と言うもの。
わたしの先入観は、「ソウ」や「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような、荒削りであろうが、勢いやインパクトがある作品だと思っていたのだが、驚くべき事に本作はわたしの想像を超え、見事なまでに普通の映画に仕上がっていた。
シーンの構成やつなぎ、カット割撮影、シークエンスの描き方、どれを取っても奇をてらった感は微塵もなく、素直で実直、言わば老成した作品のような印象すら受けた。
気になる演出も抑制が効いており、過剰なものはなく、物語は淡々と、言わばドキュメンタリー・タッチのような演出が続く。
しかしながら、本作を娯楽作品として考えた場合、残念ながら脚本に不満足な点はあるし、単調な映像で盛り上がりに欠けてはいるのだが、総合的にはどうしてどうして、その辺のメジャー作品と比較しても、それほど遜色がない作品に仕上がっていた。
物語はご存知のように、ダイビング中に、外洋に取り残されてしまった二人の恐怖を描いている訳だが、そんなコンセプトである以上、物語の構成は単調にならざるを得ないし、次から次へとドラマチックなイベントが起きるとは思えない。
そんな状況下において、ある程度は観客に支持される作品を製作した、クリス・ケンティス(監督・脚本・撮影・編集)とローラ・ラウ(製作・撮影)の二人(実は夫婦)にはやはり頭が下がる思いである。
作ろうと思えば、よりショッキングに、よりセンセーショナルに出来る題材だったわけだが、それを上品に、そして淡々と描いたセンスにも感服である。
おそらく、過激な映像を排除した作風を考えた場合、彼らはサンダンスではなく、その後のワールド・ワイドな展開を視野に入れていたのではないか、とも邪推してしまう勢いである。
あと気になったのは、日本配給サイドの問題なのだが、"based on a true event"をただ単に「これは実話である」と言うように翻訳するのはまずいと思うぞ。
日本人は活字になってると、何でも信じちゃう民族だから、その変を考えた上でプロモーションしないと、作品に対し変な誤解が生まれちゃうぞ。
とにかく本作「オープン・ウォーター」は、ハリウッド・メジャーの所謂娯楽大作と比較すると、地味でドラマが起きない作品かも知れないが、低予算ながら、観客を惹きつける力を持った作品であるし、そこそこ楽しめる作品でもある。
この夏、是非劇場で楽しんでいただきたい作品だと思うのだ。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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ワーカホリックの夫婦、スーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、ようやく取れたバカンスで、カリブ海に向かう。ふたりはせっかくの休暇なのに、仕事を完全に忘れることができない。愛が冷めた訳ではないのだが、現実に追われる内に自然と距離が出来てしまい、それを埋めるきっかけを失っていた。
翌朝早く、ツアー客で満員のダイビングボートに乗り込んだふたり。水深18メートル、約35分間のダイビングへと意気揚々と海に飛び込んでいく。精神的に開放されたスーザンとダニエルは、この貴重なひとときを満喫する。しかし・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本・撮影・編集:クリス・ケンティス
製作・撮影:ローラ・ラウ
出演:ブランチャード・ライアン(スーザン)、ダニエル・トラヴィス(ダニエル)、ソウル・スタイン(セス)、エステル・ラウ(エステル)、マイケル・E・ウィリアムソン(デイビス)
本作「オープン・ウォーター」は、2004年1月のサンダンス映画祭で評判を呼び、全米公開に当たっては、低予算映画としては異例の大規模公開となり、予想外の大ヒットを記録し、全世界の話題を集めたサスペンス・スリラーである。
第一印象は、真っ当で順当な作品に仕上がっている、と言うもの。
わたしの先入観は、「ソウ」や「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のような、荒削りであろうが、勢いやインパクトがある作品だと思っていたのだが、驚くべき事に本作はわたしの想像を超え、見事なまでに普通の映画に仕上がっていた。
シーンの構成やつなぎ、カット割撮影、シークエンスの描き方、どれを取っても奇をてらった感は微塵もなく、素直で実直、言わば老成した作品のような印象すら受けた。
気になる演出も抑制が効いており、過剰なものはなく、物語は淡々と、言わばドキュメンタリー・タッチのような演出が続く。
しかしながら、本作を娯楽作品として考えた場合、残念ながら脚本に不満足な点はあるし、単調な映像で盛り上がりに欠けてはいるのだが、総合的にはどうしてどうして、その辺のメジャー作品と比較しても、それほど遜色がない作品に仕上がっていた。
物語はご存知のように、ダイビング中に、外洋に取り残されてしまった二人の恐怖を描いている訳だが、そんなコンセプトである以上、物語の構成は単調にならざるを得ないし、次から次へとドラマチックなイベントが起きるとは思えない。
そんな状況下において、ある程度は観客に支持される作品を製作した、クリス・ケンティス(監督・脚本・撮影・編集)とローラ・ラウ(製作・撮影)の二人(実は夫婦)にはやはり頭が下がる思いである。
作ろうと思えば、よりショッキングに、よりセンセーショナルに出来る題材だったわけだが、それを上品に、そして淡々と描いたセンスにも感服である。
おそらく、過激な映像を排除した作風を考えた場合、彼らはサンダンスではなく、その後のワールド・ワイドな展開を視野に入れていたのではないか、とも邪推してしまう勢いである。
あと気になったのは、日本配給サイドの問題なのだが、"based on a true event"をただ単に「これは実話である」と言うように翻訳するのはまずいと思うぞ。
日本人は活字になってると、何でも信じちゃう民族だから、その変を考えた上でプロモーションしないと、作品に対し変な誤解が生まれちゃうぞ。
とにかく本作「オープン・ウォーター」は、ハリウッド・メジャーの所謂娯楽大作と比較すると、地味でドラマが起きない作品かも知れないが、低予算ながら、観客を惹きつける力を持った作品であるし、そこそこ楽しめる作品でもある。
この夏、是非劇場で楽しんでいただきたい作品だと思うのだ。
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