2005/05/09 東京竹橋「科学技術館サイエンスホール」で「戦国自衛隊1549」の試写を観た。

陸上自衛隊で極秘裏に行われていた人工磁場発生器の実験中、大規模な暴走事故が発生してしまった。
その事故の最中、的場1佐(鹿賀丈史)率いる実験部隊は時空の震動に呑み込まれ、消滅してしまった。

2年後。
かつて、的場1佐が創設した特殊部隊Fユニットに所属していた鹿島勇祐(江口洋介)は、現在は居酒屋の店長に甘んじていた。
ある晩、鹿島は突然店に訪れた神崎怜2尉(鈴木京香)と森彰彦3佐(生瀬勝久)等の口から、死んだと思っていた的場1佐に関する驚くべき話を聞かされるが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:手塚昌明
原作:福井晴敏『戦国自衛隊1549』(角川書店)
原案:半村良
出演:江口洋介(鹿島勇祐)、鈴木京香(神崎怜2尉)、鹿賀丈史(的場毅)、北村一輝(飯沼七兵衛)、綾瀬はるか(濃姫)、生瀬勝久(森彰彦3佐)、嶋大輔(三國陸曹長)、的場浩司(与田2尉)、宅麻伸(蜂須賀小六)、中尾明慶(藤介)、伊武雅刀(斉藤道三)

本作「戦国自衛隊1549」は、「ローレライ」に続く福井晴敏原作の映画化作品である。
尤も、原作と言っても、実際のところは「ローレライ」同様、映画の脚本と別々に小説が書かれたのだと思うのだが・・・・。

私見だが、本作「戦国自衛隊1549」は、「ローレライ」に続き、日本ダメ映画の系譜の新たな一ページとして記憶されてしまうような作品だった。

本作に対する「なんでこんな映画になっちゃうんだよ」と言う思いは、最早怒りを通り越し、呆れの境地に辿り着いてしまった。
本作の基本コンセプトは、かの失敗作「タイムライン」のそれと驚くべきほど酷似しているし、観客を脱力させてしまう力も酷似していると言う始末である。

キャストをそこそこ揃え、陸上自衛隊の全面協力を得、特撮や美術も比較的頑張っているのに、一体何故こんな映画になってしまうのか。

尤も、本作の脚本の根本となる「今の日本はダメだから、過去に戻ってやり直そう」と言うブロットは十分評価できる。
このプロットは、現代の日本社会へのアンチテーゼにもなっているし、特に政治家に対する強烈な批判や皮肉としても十分機能している、と言える。

しかし本作は、現代の日本社会が病んでいる事を糾そうとする的場(鹿賀丈史)の、ある意味真摯で孤高で崇高な意志を、鹿島(江口洋介)等がなんだかよくわからない子供の発想的浪花節論で食い止める、と言うベクトルを持っているように感じるのだ。

本作は言わば、国を憂う孤高な革命家を、何も考えない事なかれ主義の人々が叩き潰す物語になってしまっているのだ。
その辺りを考えると、本作はベクトルは逆だが、構造的には「CASSHERN」にも似た作品だとも言えるのかも知れない。
善悪問わず、全てがグタグタになってしまう「CASSHERN」の方が物語としては上を行っているのかも知れない。

疑問なのだが、本作の、どこかの国の誰かのように「臭いものに蓋」的な行動を取る鹿島(江口洋介)等に観客は感情移入することができるのだろうか。
これが、仮に高度経済成長社会の時代に製作された作品ならいざ知らず、病んだ現代に製作されている事がこの作品の不幸なのかも知れない。

と考えつつ、わたしは逆説的にひとつの着想を得た。
もしかすると、本作「戦国自衛隊1549」は、世界を革新的に変容させようとする孤高な指導者を、国家権力の指示の下、一般大衆が葬り去る事を描きつつ、付和雷同で群集心理的で保守的な日本国民に対する強烈な皮肉を描いているのかも知れない。

しかし、何かがおかしいのである。

余談だが、本作の広告宣伝はちょっとネタバレしすぎのような気がする。
いつ版気になるのは、的場が過去でどうなっているのかを広告でおもっいっきりネタバレしているのは、どうなんだろうか。
わたしとしては、鹿島等と一緒に観客を驚かせるべきだと思うのだ。

更に余談だが、「スタートレック2/カーンの逆襲」のパクリ的な設定があった。
「カーク以外にあのテストをクリアできる人物がいたとはな」

☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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