2005/05/18 東京有楽町「よみうりホール」で「四日間の奇跡」の試写を観た。
舞台挨拶は、石田ゆり子(岩村真理子役)と中越典子(長谷川未来役)。
天才的なピアノの才能を持つ少女・楠本千織(尾高杏奈)とピアニストとして将来を嘱望されていた青年・如月敬輔(吉岡秀隆)は、日本各地の様々な施設を巡る慰問演奏の旅をしていた。
離婚の痛手を引きずりながら、とある島の療養センターで働く岩村真理子(石田ゆり子)は、2人の慰問演奏会を心待ちにしていた。彼女にとって敬輔は、12年ぶりに再会する初恋の人だったのだが・・・・。
監督:佐々部清
原作:浅倉卓弥『四日間の奇蹟』(宝島社刊)
出演:吉岡秀隆(如月敬輔)、石田ゆり子(岩村真理子)、尾高杏奈(楠本千織)、西田敏行(倉野順次)、松坂慶子(倉野和枝)、中越典子(長谷川未来)、鳥羽潤(萩原誠)、西村和彦(後藤則幸)、小林綾子(後藤小夜子)、平田満(長谷川隆)、石橋蓮司(藤本正造)
本作「四日間の奇蹟」は、浅倉卓弥の同名のベストセラー小説を映画化した作品である。
小説では、それほど気にならなかった強引でリアリティに欠けるいくつかのプロットは、今回の映画化により大きく拡大されてしまったような印象を受けた。
ロンドンでの出来事はともかく、本作のキーとなる、落雷による出来事を観客が受け入れられるかどうかで、本作の評価は著しく変わってしまうのではないか、と思う。
因みに、その物語のキーとなる基本プロットは、映画化されたとある有名小説のそれによく似ている。
小説を読んだ時点では、「おいおい、またこのプロットかよ」と思ったのだが、読みすすめて行くうちに、違った地平へ連れて行ってくれる浅倉卓弥の手腕には驚いたものだ。
しかし、小説と違い、事実上2時間に制約された映画と言うメディアでは、その辺りは難しいのかもしれない。
キャストは何と言っても、尾高杏奈(楠本千織)につきるだろう。この楠本千織と言うキャラクターは、役柄上、複数のキャラクターの演じ分けが必要な役柄なのだが、尾高杏奈は見事にそれを演じきっている。
セリフは勿論のこと、特に驚いたのは、身体の動きである。
何しろ、例えば歩く姿ひとつとっても、尾高杏奈の歩く姿が、石田ゆり子の歩く姿に見えてくるのである。
それは、石田ゆり子の従来の身体の演技パターン(例えば歩き方や些細な仕草)を尾高杏奈が抽出し、石田ゆり子の演技を再現している印象を受けるのだ。(石田ゆり子の身体の動きを真似ている、ということ)
一方、石田ゆり子のぶっきらぼうな演技も、岩村真理子のキャラクターに何故か見事にマッチし、素晴らしい効果を出していた。
一方、これら女優陣の頑張りに比較すると吉岡秀隆(如月敬輔役)には残念な思いがする。山田洋次の作品で時折見せるような輝きが、本作では見られなかったのが非常に残念である。
また、演出的には「隣人13号」で行われたような2人1役が行われており、その手法はある意味英断ではあると思うし、効果的ではあるのだが、実際問題としてその場面のスチールを本作の宣材として使用するのはどうか、と思ってしまう。
観客に対し、おかしな予断(ミス・デレクション)を与えてしまう危惧が極めて高いと思う訳だ。
あと気になったのは、勿論大人の事情があると思うのだが、本作に主題歌が存在するのはどうか、と思った。
本作の重要なモチーフとして「ピアノの力」があるのだから、出来る事ならば、ピアノ曲のみでエンド・クレジットを見せて欲しかった。
ついでに言うならば、その曲の左手のパートが若干もつれ気味の曲だったとしたら、号泣ものだったのではないか、と思うし、または、左手はもつれ気味ながら、それを優しく包み込むような連弾でテーマが演奏されていたとしたら、これこそ正に号泣必須だったのではないか、と思うのだ。
本作「四日間の奇蹟」は、前述のようにファンタジックな基本プロットを観客が甘受できるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの踏絵的な存在となっていると思う。
出来る事ならば、そのプロットを受け入れ、感動的な物語を楽しんでいただきたいと思うのだ。
その基本プロットから派生する様々な事象を強引であざとい、とは思わないでいただきたいのだ。
☆☆☆(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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舞台挨拶は、石田ゆり子(岩村真理子役)と中越典子(長谷川未来役)。
天才的なピアノの才能を持つ少女・楠本千織(尾高杏奈)とピアニストとして将来を嘱望されていた青年・如月敬輔(吉岡秀隆)は、日本各地の様々な施設を巡る慰問演奏の旅をしていた。
離婚の痛手を引きずりながら、とある島の療養センターで働く岩村真理子(石田ゆり子)は、2人の慰問演奏会を心待ちにしていた。彼女にとって敬輔は、12年ぶりに再会する初恋の人だったのだが・・・・。
監督:佐々部清
原作:浅倉卓弥『四日間の奇蹟』(宝島社刊)
出演:吉岡秀隆(如月敬輔)、石田ゆり子(岩村真理子)、尾高杏奈(楠本千織)、西田敏行(倉野順次)、松坂慶子(倉野和枝)、中越典子(長谷川未来)、鳥羽潤(萩原誠)、西村和彦(後藤則幸)、小林綾子(後藤小夜子)、平田満(長谷川隆)、石橋蓮司(藤本正造)
本作「四日間の奇蹟」は、浅倉卓弥の同名のベストセラー小説を映画化した作品である。
小説では、それほど気にならなかった強引でリアリティに欠けるいくつかのプロットは、今回の映画化により大きく拡大されてしまったような印象を受けた。
ロンドンでの出来事はともかく、本作のキーとなる、落雷による出来事を観客が受け入れられるかどうかで、本作の評価は著しく変わってしまうのではないか、と思う。
因みに、その物語のキーとなる基本プロットは、映画化されたとある有名小説のそれによく似ている。
小説を読んだ時点では、「おいおい、またこのプロットかよ」と思ったのだが、読みすすめて行くうちに、違った地平へ連れて行ってくれる浅倉卓弥の手腕には驚いたものだ。
しかし、小説と違い、事実上2時間に制約された映画と言うメディアでは、その辺りは難しいのかもしれない。
キャストは何と言っても、尾高杏奈(楠本千織)につきるだろう。この楠本千織と言うキャラクターは、役柄上、複数のキャラクターの演じ分けが必要な役柄なのだが、尾高杏奈は見事にそれを演じきっている。
セリフは勿論のこと、特に驚いたのは、身体の動きである。
何しろ、例えば歩く姿ひとつとっても、尾高杏奈の歩く姿が、石田ゆり子の歩く姿に見えてくるのである。
それは、石田ゆり子の従来の身体の演技パターン(例えば歩き方や些細な仕草)を尾高杏奈が抽出し、石田ゆり子の演技を再現している印象を受けるのだ。(石田ゆり子の身体の動きを真似ている、ということ)
一方、石田ゆり子のぶっきらぼうな演技も、岩村真理子のキャラクターに何故か見事にマッチし、素晴らしい効果を出していた。
一方、これら女優陣の頑張りに比較すると吉岡秀隆(如月敬輔役)には残念な思いがする。山田洋次の作品で時折見せるような輝きが、本作では見られなかったのが非常に残念である。
また、演出的には「隣人13号」で行われたような2人1役が行われており、その手法はある意味英断ではあると思うし、効果的ではあるのだが、実際問題としてその場面のスチールを本作の宣材として使用するのはどうか、と思ってしまう。
観客に対し、おかしな予断(ミス・デレクション)を与えてしまう危惧が極めて高いと思う訳だ。
あと気になったのは、勿論大人の事情があると思うのだが、本作に主題歌が存在するのはどうか、と思った。
本作の重要なモチーフとして「ピアノの力」があるのだから、出来る事ならば、ピアノ曲のみでエンド・クレジットを見せて欲しかった。
ついでに言うならば、その曲の左手のパートが若干もつれ気味の曲だったとしたら、号泣ものだったのではないか、と思うし、または、左手はもつれ気味ながら、それを優しく包み込むような連弾でテーマが演奏されていたとしたら、これこそ正に号泣必須だったのではないか、と思うのだ。
本作「四日間の奇蹟」は、前述のようにファンタジックな基本プロットを観客が甘受できるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの踏絵的な存在となっていると思う。
出来る事ならば、そのプロットを受け入れ、感動的な物語を楽しんでいただきたいと思うのだ。
その基本プロットから派生する様々な事象を強引であざとい、とは思わないでいただきたいのだ。
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