2005/05/25 東京九段下「九段会館」で、「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」の試写を観た。

米国特殊機関NUMA(国立海中海洋機関)のエージェント、ダーク・ピット(マシュー・マコノヒー)は、南北戦争時に莫大な財宝と共に姿を消した、と言われている甲鉄艦テキサスが実在していた事を信じていた。
彼は、ナイジェリアとマリの国境付近で発見された一枚の金貨が、甲鉄艦テキサスが実在した事を証明する手掛かりになると確信、NUMAのエージェント、アル・ジョルディーノ(スティーヴ・ザーン)等と共に金貨の発見現場へ向かう準備に取り掛かる。

一方、WHO(世界保健機関)の女性研究医エヴァ(ペネロペ・クルス)は、ナイジェリアで発生した謎の病原体の感染源がマリにあると推測、調査に向かおうとするが、内紛が勃発したマリでは、国境が閉鎖され、通常ルートでの入国は不可能だった。
そこでエヴァは、ピットたちがボートでマリを目指していると知り、一緒にマリ国境へと向かうのだったが・・・・。

監督:ブレック・アイズナー
原作:クライヴ・カッスラー 『死のサハラを脱出せよ』(新潮文庫)
出演:マシュー・マコノヒー(ダーク・ピット)、スティーヴ・ザーン(アル・ジョルディーノ)、ペネロペ・クルス(エヴァ・ロハス)、ランベール・ウィルソン(イヴ・マサード)、デルロイ・リンドー(カール)、レイン・ウィルソン(ルディ・ガン)、グリン・ターマン(フランク・ホッパー)、ウィリアム・H・メイシー(サンデッカー提督)

本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」は、わたしの不安(ジェリー・ブラッカイマー系の娯楽作品になってしまっているのではないか)に反して、非常に面白い娯楽アクション作品に仕上がっていた。

また、読書ファンとしては、クライヴ・カッスラーのダーク・ピットシリーズの映画化第一作目(「レイズ・ザ・タイタニック」除く)としての方向性の構築にも関心があったし、また何故『死のサハラを脱出せよ』を原作に選んだのか、という疑問を担いつつの鑑賞ともなっていた。

脚本は、長編の原作を2時間にまとめる事もあり、物語の進行上やや強引な感は否めないし、気になる点が何点かあるのだが、ピット(マシュー・マコノヒー)とアル(スティーヴ・ザーン)の腐れ縁ぶりや、サンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)との関係、またオープニング・クレジットでピットやアルが活躍した様々な事件の断片を見せることにより、NUMA(国立海中海洋機関)の長年の功績やアルとピットの関係を見事に語り出している。その背景を描く事により観客は既に、アルとピットのかつての大活躍をある程度知っていると思わせることに成功している。(因みに、原作シリーズでは、アルとピットは幼稚園からの腐れ縁らしい)

更に、細かいセリフがいちいちユーモアに溢れており、例えば字幕では再現されていないのだが、サンデッカー提督がピットにボートを貸す際、サンデッカー提督は、あのウィリアム・H・メイシーの顔で「(約束の時間に対し)ナノ秒単位の遅れも許さない」とか言ってたりしているのだ。あの苦みばしった顔でそんなジョークを飛ばすサンデッカー提督(ウィリアム・H・メイシー)のお茶目ぶりがたまらないのだ。
また、ピットとアルの関係に目を向けると、彼らの会話は既に漫才の領域にまで達している始末なのだ。

キャストはなんと言ってもスティーヴ・ザーン(アル・ジョルディーノ)だろう。私見ではマシュー・マコノヒーを完全に食っていると思うぞ。こんなに素晴らしい相棒がいるおかげで、ダーク・ピットの魅力も倍増、と言う訳なのだ。

余談だけど、アルが遮蔽物に隠れながら銃器を撃つシーンで、左に遮蔽物がある場合は、右手で引金を、右に遮蔽物がある場合は、左手で引金を引いていたのが印象的だった。外側の手で引金を引かないと、身体が遮蔽物の外に出ちゃうからね。

更に余談だけど、本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」の日本国内のポスター等のアートワークは、マシュー・マコノヒーとペネロペ・クルスが2人並んで立っているデザインが使われているのだが、オリジナルでは、きちんとスティーヴ・ザーンも含めた3人の立ち姿が使われている。
アートワークを3人から2人にするのはどうかと思うぞ、はっきり言ってこの映画は、ピット(マシュー・マコノヒー)とアル(スティーヴ・ザーン)の映画であってエヴァ(ペネロペ・クルス)は単なるゲストに過ぎず、ボンド・ガール的な扱いに過ぎないと思うのだ。

2人
http://www.sahara-movie.jp/
3人
http://www.saharamovie.com/

さて、ダーク・ピットを演じたマシュー・マコノヒーだが、ヒーローものとして本作を考えた場合、やはりちよっと物足りない印象を受けた。
とは言うものの、ピットにアルを加えてはじめてヒーローである、と言う解釈をするのならば、マシュー・マコノヒーのキャスティングについては、それはそれでよかったと思う。
逆に1人で客を呼べるスター俳優がダーク・ピットを演じなくて、もしかすると良かったのかも知れない。

そして、サンデッカー提督を演じたウィリアム・H・メイシーだが、作品を引き締める俳優としては未だ役不足のような印象を受けるが、キャラクターとしては作品を引き締める担当を見事にこなしている。
テレビに映画に引っ張りだこのメイシーだが、今後は作品を引き締める役柄にも乞ご期待と言うところだろうか。

とにかく、本作「サハラ/死の砂漠を脱出せよ」は大変面白いアクション・アドヴェンチャー映画に仕上がっているのだ。出来る事なら是非劇場でアルとピットの冒険を堪能してほしい。

☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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