「ホステージ」

2005年6月8日 映画
2005/06/03 東京有楽町「よみうりホール」で「ホステージ」の試写を観た。

ジェフ・タリー(ブルース・ウィリス)は一年前まで一度たりとも失敗したことのない、LAPDの人質交渉人だった。
しかし、ある立てこもり事件の人質救出に失敗したタリーはLAPDの交渉人という職を辞した。

一年後、ロスを去り小さな町の警察署長となったタリー。
しかし犯罪のないはずの町で大きな事件が進行しつつあった。
小高い丘の上に立つ会計士を営むウォルター・スミス(ケヴィン・ポラック)の豪邸にデニス(ジョナサン・タッカー)、ケヴィン(マーシャル・オールマン)、マース(ベン・フォスター)ら3人の若者たちが人質をとって立てこもったのだ。警報をキャッチした婦人警官が駆けつけると、犯人の銃が火を噴いた。
かくして若者たちは警官隊に囲まれ、父親のウォルター、娘のジェニファー(ミシェル・ホーン)、幼い息子のトミー(ジミー・ベネット)ら3人を人質としてスミス邸に立てこもることになった。
それは、タリーにとっての長い夜の始まりに過ぎなかった。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:フローラン・シリ
脚本:ダグ・リチャードソン
出演:ブルース・ウィリス(ジェフ・タリー)、ケヴィン・ポラック(ウォルター・スミス)、ジョナサン・タッカー(デニス・ケリー)、ベン・フォスター(マース)、ミシェル・ホーン(ジェニファー・スミス)、ジミー・ベネット(トミー・スミス)、マーシャル・オールマン(ケヴィン・ケリー)、セレナ・スコット・トーマス(ジェーン・タリー)、ルーマー・ウィリス(アマンダ・タリー)

本作「ホステージ」にはあまり期待していなかったのだが、その予想に反して非常に面白い作品に仕上がっていた。

先ず印象に残ったのは、オープニング・クレジットが良い点だ。そのクレジットは、冒頭の人質事件が起きている現場周辺の街並みをコミック調に取り込んだ映像のそこここにキャストやスタッフのクレジットをのせたもので、印象としては「北北西に進路を取れ」のソウル・バス(タイトル・デザイン)に影響を受けた「パニック・ルーム」のカイル・クーパー(タイトル・デザイン)の更に影響下にあるタイトル・デザインのような印象を受けた。

脚本は、複数の人質事件を絡めたところが面白く、そのブルース・ウィリス演じるジェフ・タリーが追い詰められ、進退窮まるところが、「追いつめられて」のケヴィン・コスナーにも似た印象を受けた。

あと脚本上、"HEAVEN CAN WAIT"のDVDの使い方が解せなかった。
あの書斎から考えると、スミス(ケヴィン・ポラック)はおそらく映画通としてキャラクター設定されているハズなのに、"HEAVEN CAN WAIT"と言う同名映画があるDVDのパッケージを取引に使用するとは到底思えない、のだ。
おそらくこれは、物語のラストの着地地点が確定していない時点での脚本上のプロットが残ったまま撮影が始まってしまったのではないか、と邪推してしまう。(複数の展開が可能なように同名映画があるDVDのパッケージを使用した)

勿論これは、ロスで失敗したタリー(ブルース・ウィリス)が「天国から来たチャンピオン("HEAVEN CAN WAIT")」のウォーレン・ビーティ同様、二度目の人生を送ることへのメタファーとなっているのだが、なんとも釈然としない印象が否めない。

更に、わたしの記憶では、冒頭で"HEAVEN CAN WAIT"のパッケージに入れたDVDの表面は白かったのに、パッケージを開けDVDの中身を確認するシークエンスではシルバーのDVDに変わっていたような気がする。
これも複数の解法が可能な脚本の名残として残ってしまったミスなのだろうか、と思ってしまう。

他の部分は概ね問題なく、勿論強引な部分は多々あるが、楽しいアクション娯楽作品として脚本が練られていた。

交渉人が暴力で事件を解決しちゃまずいだろうと思っていたのだが、タリーのキャラクター設定上、上手く誤魔化してあったのはご愛嬌だろうか。

また、「ダイ・ハード2」(「ダイ・ハード4.0」も)の脚本家であるダグ・リチャードソンとブルース・ウィリスとのコンビと言うこともあり、「ダイ・ハード」的な演出や、「ダイ・ハード」的な観客への目配せがあって楽しかった。

更にタリーの交渉人としての描き方は、電話等を通じてコミュニケートする事には長けているが、実際のコミュニケーションは苦手である、と言うところが面白かった。特に娘とのオヤジ・ギャグ的コミュニケーションとのギャップが良い効果を出していると思う。

またマース(ベン・フォスター)だが、非常に印象に残るキャラクターではあるのだが、若干やりすぎの感は否定できないだろう。
デニス(ジョナサン・タッカー)とケヴィン(マーシャル・オールマン)の兄弟の確執は小さなプロットではあるが効果的だった。

ウォルター・スミス(ケヴィン・ポラック)、ジェニファー(ミシェル・ホーン)、トミー(ジミー・ベネット)等はそれぞれ見せ場があって、美味しい役柄だった。特にケヴィン・ポラックの使い方は非常に好感が持てた。先ほどの「ダイ・ハード」的目配せの最大のモノは、ラスト近辺のスミスとタリーとの絡みなのだが、分かっている観客にとっては、アレが出てきたからには、こうなっているに違いない、と観客に分かる演出になっているのだ。

また、もう一つの人質事件の犯人達が一切顔を見せないのも好感が持てた。
一般のハリウッド映画だったら、覆面をとったら、知ってる奴だった、あぁあいつが黒幕だったのか、と思わせるプロットを入れるのだが、そういったこと一切を排除した脚本に感心する。

とにかく本作「ホステージ」は、この時期ちょっと複雑なアクション娯楽作品が観たいのなら、絶対にオススメの作品である。

ブルース・ウィリスの親子共演も楽しめるぞ。

☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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