「バタフライ・エフェクト」
2005年5月18日 映画
2005/04/19 東京九段下「九段会館」で「バタフライ・エフェクト」の試写を観た。
エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、ごく普通の少年だった・・・・時折、記憶を喪失(ブラックアウト)してしまうことを除いて。精神科の医師はエヴァンに、治療のために毎日、日記をつけることをすすめる。
やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。
そんなある日、大学生になったエヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていたある出来事が鮮明に蘇る。幼馴染みの少女ケイリー(エイミー・スマート)、そしてエヴァンとケイリーが引き裂かれることになった決定的な理由。「君を迎えに来る」・・・・かつてその約束を果たせなかったエヴァンは彼女への思いゆえ、ある選択をするが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本:エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー
出演:アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)、メローラ・ウォルターズ(アンドレア)、エリック・ストルツ(ジョージ)
本作「バタフライ・エフェクト」はわたしの期待通りの大変面白い作品だった。何しろ、基本プロットの発想と脚本が面白いのだ。
その基本となるプロットは「現在の状況を変える為に、過去の出来事を変える」と言うもので、物語の方向とダークさは、もしかすると「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」に近いかも知れない。
この辺については、上記「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで主役のマーティ・マクフライ役を演じるところだったエリック・ストルツがキャスティングされているのが興味深い。
また、少年時代のエヴァンがケイリーと別れる際にガラス越しに見せる日記に書かれた言葉("I’ll come back for you.")が、かのタイム・トラベル映画の傑作「ある日どこかで」における、映画史に残るであろう名台詞("Come back to me.")を髣髴とさせる辺りが最高に格好良い。
そして、本作の構成は言ってみれば前述の「ある日どこかで」のプロットの裏返し的発想を基にしているような気もする。
「彼女の元へ戻っていく物語」か、「彼女を迎えに行く物語」か、と言うことなのだ。
そして、ラストのエヴァンの行動が、身悶えするほど恐ろしくも悲しい。
余談だが、邦画の話題作で、名作映画のプロットの表面的な引用(パクリ)をリスペクトである、オマージュであると臆面もなく言い放つ製作者に見て欲しいと思った。
リスペクトやオマージュは作品に対する敬意が表れた気持ちであり、決して作品のプロットや表層をいただく事ではないのだ。
キャストは、本作のコンセプトがそうである以上、複数の役柄を演じることを余儀なくされる訳で、アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)等は、芸達者振りを見事に発揮している。
勿論、短い尺の中で複数の役柄を演じる訳であるから、彼らが演じるキャラクターはより記号的、よりステレオタイプ的にならざるを得ないとは思うのだが、そのキャラクターの背景にある過去をも見通せるところまで観客に感じさせてくれていた。
特にエイミー・スマートの変貌振りは目を瞠るものがあった。
また彼ら4人の少年時代を演じる子役も芸達者な子役が揃い、4人の背景となる部分を見事に補完していた。
脚本は前述のように大変面白く、転がり始めた小さな石ころがだんだんと大きくなり、物語は破滅へ向って邁進するのだが、その破滅を回避すべくエヴァンがとった真摯で孤高な行動が最高に悲しい。
この辺りは「エターナル・サンシャイン」と比較すると面白いかもしれない。
監督・脚本のコンビは、「デッド・コースター」の原案・脚本のエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバー。
本作は、彼らの情熱が見事に結実した良質の作品だと言えるだろう。
とにかく、本作「バタフライ・エフェクト」は、勿論複雑な物語ではあるのだが、小難しいタイムトラベルやタイムパラドックスの理屈なしに、運命とその運命に立ち向う姿を情感たっぷりに描いている。
観客を選ぶかもしれないが、多くの観客に是非劇場に足を運んでいただきたい素晴らしい作品に仕上がっているのだ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、ごく普通の少年だった・・・・時折、記憶を喪失(ブラックアウト)してしまうことを除いて。精神科の医師はエヴァンに、治療のために毎日、日記をつけることをすすめる。
やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。
そんなある日、大学生になったエヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていたある出来事が鮮明に蘇る。幼馴染みの少女ケイリー(エイミー・スマート)、そしてエヴァンとケイリーが引き裂かれることになった決定的な理由。「君を迎えに来る」・・・・かつてその約束を果たせなかったエヴァンは彼女への思いゆえ、ある選択をするが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督・脚本:エリック・ブレス、J・マッキー・グルーバー
出演:アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)、メローラ・ウォルターズ(アンドレア)、エリック・ストルツ(ジョージ)
本作「バタフライ・エフェクト」はわたしの期待通りの大変面白い作品だった。何しろ、基本プロットの発想と脚本が面白いのだ。
その基本となるプロットは「現在の状況を変える為に、過去の出来事を変える」と言うもので、物語の方向とダークさは、もしかすると「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」に近いかも知れない。
この辺については、上記「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで主役のマーティ・マクフライ役を演じるところだったエリック・ストルツがキャスティングされているのが興味深い。
また、少年時代のエヴァンがケイリーと別れる際にガラス越しに見せる日記に書かれた言葉("I’ll come back for you.")が、かのタイム・トラベル映画の傑作「ある日どこかで」における、映画史に残るであろう名台詞("Come back to me.")を髣髴とさせる辺りが最高に格好良い。
そして、本作の構成は言ってみれば前述の「ある日どこかで」のプロットの裏返し的発想を基にしているような気もする。
「彼女の元へ戻っていく物語」か、「彼女を迎えに行く物語」か、と言うことなのだ。
そして、ラストのエヴァンの行動が、身悶えするほど恐ろしくも悲しい。
余談だが、邦画の話題作で、名作映画のプロットの表面的な引用(パクリ)をリスペクトである、オマージュであると臆面もなく言い放つ製作者に見て欲しいと思った。
リスペクトやオマージュは作品に対する敬意が表れた気持ちであり、決して作品のプロットや表層をいただく事ではないのだ。
キャストは、本作のコンセプトがそうである以上、複数の役柄を演じることを余儀なくされる訳で、アシュトン・カッチャー(エヴァン)、エイミー・スマート(ケイリー)、ウィリアム・リー・スコット(トミー)、エルデン・ヘンソン(レニー)等は、芸達者振りを見事に発揮している。
勿論、短い尺の中で複数の役柄を演じる訳であるから、彼らが演じるキャラクターはより記号的、よりステレオタイプ的にならざるを得ないとは思うのだが、そのキャラクターの背景にある過去をも見通せるところまで観客に感じさせてくれていた。
特にエイミー・スマートの変貌振りは目を瞠るものがあった。
また彼ら4人の少年時代を演じる子役も芸達者な子役が揃い、4人の背景となる部分を見事に補完していた。
脚本は前述のように大変面白く、転がり始めた小さな石ころがだんだんと大きくなり、物語は破滅へ向って邁進するのだが、その破滅を回避すべくエヴァンがとった真摯で孤高な行動が最高に悲しい。
この辺りは「エターナル・サンシャイン」と比較すると面白いかもしれない。
監督・脚本のコンビは、「デッド・コースター」の原案・脚本のエリック・ブレスとJ・マッキー・グルーバー。
本作は、彼らの情熱が見事に結実した良質の作品だと言えるだろう。
とにかく、本作「バタフライ・エフェクト」は、勿論複雑な物語ではあるのだが、小難しいタイムトラベルやタイムパラドックスの理屈なしに、運命とその運命に立ち向う姿を情感たっぷりに描いている。
観客を選ぶかもしれないが、多くの観客に是非劇場に足を運んでいただきたい素晴らしい作品に仕上がっているのだ。
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