2005/03/24 東京九段下「千代田区公会堂」で「英語完全征服」の試写を観た。

妄想と思い込みで生きているヨンジュ(イ・ナヨン)はイケてない地方公務員。ある日職場を代表してイヤイヤ英会話学校へ通うことになるが、そこで出会ったお調子者のムンス(チャン・ヒョク)に一目惚れ。しかし彼は金髪教師キャシー(アンジェラ・ケリー)に夢中なうえ、別の女性の影もチラホラ。ガツーンと来たけれど、このまま地味な人生を送るのは真っ平!一発逆転を賭けて、恋に英語に真正面にぶつかっていくことを決意する。ボコボコになりながらも頑張る彼女に、勝利の女神は微笑んでくれるのか!?
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:キム・ソンス
出演:チャン・ヒョク(パク・ムンス)、イ・ナヨン(ナ・ヨンジュ)、アンジェラ・ケリー(キャシー)、キム・インムン(ヨンジュの祖父)、ナ・ムニ(ムンスの母)

本作「英語完全征服」は、どこにでも面白い物語は転がっていると言うことを、端的にあらわしたひとつの例だと言える。
正にワン・アイディアの作品なのだ。

日本で言うと「免許がない!」とか「とられてたまるか!?」のようなワン・アイディアの作品に近いと思うのだが、そのアイディアからの脚本の構成においては日韓の大きな差の存在が否めない。

と言うのも本作の基本プロットは、単に上司の指示でイヤイヤながらも英会話スクールに通わされてしまうハメにおちいってしまうヒロイン(ヨンジュ/イ・ナヨン)がその英会話スクールで巻き起こすドタバタ・コメディなのだ。
しかし本作は、たったそれだけのプロットを基に、多くの観客を満足させるほどの面白い娯楽作品を、見事にでっち上げているのだ(勿論良い意味でだ)。

そして、ヒロインが恋するムンス(チャン・ヒョク)が英会話を学習しなければならない理由は、韓国の社会的問題をはらんでおり、ヒロインが巻き起こすドタバタ騒動を見てゲラゲラ笑いながらも韓国が抱えているひとつの問題を提起する、と言うような秀逸な脚本にまとまっているのだ。
そして、その韓国が抱える社会的問題は、婉曲に日本と韓国との間に存在する問題をも暗喩しているような印象を漠然としてではあるが、日本人観客に与える事に成功している、かも知れない。

キャストは先ずヒロイン役ヨンジュを演じたイ・ナヨンが素晴らしかった。先ずは冒頭のクレジットで、ヨンジュをカリカチュアライズしたアニメーションに驚かされる。
本作のヒロインの姿とは思えないキャラクターに驚愕なのだ。

余談だが、最近の韓国映画では、例えば「オオカミの誘惑」のイ・チョンアもそうなのだが、美人顔ではない女優をヒロインに抜擢した使い方が非常に上手いと思う。このあたりは、日本映画界ではなかなか出来ない芸当だと思う。

イ・ナヨンの今後のキャリアを一人の女優として考えた場合、これからもキャラクター先行の演技スタイルを続けていく訳には行かず、今後の「普通」のキャラクターの演技に期待したいと思う。

先に日本公開された「僕の彼女を紹介します」で日本にもおなじみのチャン・ヒョク(パク・ムンス)は、外見や役柄からイメージされる通りのキャラクターを好演しているのだが、本作でもヒロインに振り回される役柄は健在で、そのあたりも今後の活躍に課題を残しているのではないか、と思われる。

基本プロットは、前述のように嫌々ながらも英会話スクールに通うことになったヒロインが巻き起こすドタバタなのだが、その根底には、アジアの英語や英語圏に対する共通のコンプレックスを垣間見た印象を受けた。本作では、日本同様英語に対するコンプレックスや、英会話ビジネスに奔走する一般大衆文化を見ることが出来る。

本作「英語完全征服」は、誰にでもオススメできる良質のコメディではあるが、所謂「韓流ブーム」がなければ、決して海外に配給されるような作品ではなかったのではないか、とも同時に思えてしまう。
最近話題作や、微妙な作品を日本に配給し続けているアートポート様々な感じなのだ。

☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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