2005/03/19 東京原宿「ラフォーレミュージアム原宿」で「隣人13号」の試写を観た。
かつていじめられっ子だった村崎十三(小栗旬)は、一見穏やかな青年に成長し、地元で建築現場の仕事に就き、とあるボロアパートに引っ越してくる。
だが、彼のカラダには凶暴な別人格“13号”(中村獅童)が巣食っており、怒りの沸騰と共に顔を出す。
そして少年時代の自分をいじめた赤井トール(新井浩文)へ、10年越しの壮絶な復讐を仕掛けるのだった。
しかし、その凶暴性は徐々に増していき、ようやく事の重大性に気づいた十三は、なんとか“13号”を抑えようとするが、もはや自分の力ではコントロールすることはできなくなっていた・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:井上靖雄
原作:井上三太
出演:中村獅童(13号)、小栗旬(村崎十三)、新井浩文(赤井トール)、吉村由美(赤井のぞみ)、石井智也(関肇)、松本実(死神)、三池崇史(金田)
本作「隣人13号」は大変面白いサイコ・スリラーに仕上がっている、と言う事が出来る。勿論本作にも気になる点が何点かあるのだが、それを感じさせないようなパワーと勢い、そして印象に残るビジュアル・イメージを見ることができるのだ。
先ずは冒頭に登場する荒野の一軒家のシメージが秀逸である。わたしは寡聞にして原作漫画を読んでいないのだが、この十三(小栗旬)の頭の中のイメージを具現化した事は非常に評価できるのではないか、と思う。
そのビジュアル・イメージは「24人のビリー・ミリガン」の視覚化イメージと、そのイメージから引用された「新世紀エヴァンゲリオン」TVシリーズの25〜26話のイメージを髣髴とさせる。
しかし、何度か登場するそのイメージは非常に解りやすく、かつ力強いイメージに仕上がっている。
脚本(門肇)は、2〜3通りの解釈が可能な懐の広い脚本で、鑑賞後自らの解釈を語り合える、と言う素晴らしい経験をわたし達観客に与えるものに仕上がっている。
わたしは、その解釈の中のひとつ、最早反則技とも言える解釈を許す脚本に戦慄を感じながらも、ほくそ笑んでしまう訳なのだ。
また、少年時代のいじめのシークエンスも秀逸で、リアリティに溢れており、演出も順当で良い印象を受けた。
PVあがりの監督にしては、絵も真っ当で、順当な演出がされており、奇をてらった手法に頼らない、良い印象を受けた。
キャストは何と言っても新井浩文(赤井トール)だろう。
本作のトール役に新井浩文をキャスティング出来たことは、本作にとっては大いなる幸運だと言えよう。
最近出ずっぱりの感が否めない新井浩文だが、例によってカメレオン俳優振りを披露している。本当に新井浩文は凄い。
またトールの舎弟死神を演じた松本実も非常に印象に残る。
今後の活躍に期待なのだ。
更に赤井のぞみを演じた吉村由美(PUFFY)にも良い印象を受けた。今後女優としての目もあるかも知れないのだ。
さて、タイトルロールの13号を演じた中村獅童は良いのは良いのだが、残念ながら想像の範囲内、と言うか順当な印象を受けた。
勿論鬼気迫るハードな役柄を見事に演じているのだが、中村獅童が13号を演じるのは普通だと言わざるを得ないのだ。
仮に13号を小栗旬が、十三を中村獅童が演じたら面白かったのではないか、と思うわけだ。
その十三役の小栗旬だが、いかんせん13号とトールが役柄として濃いので、若干寂しい印象を受けざるを得ない。
とは言うものの、観客の期待以上の演技を見せてくれているのは事実である。
脚本(門肇)は前述のように、懐の広い、いくつかの解釈を許すものに仕上がっているし、二人一役と言うコンセプトが素晴らしい。
勿論本作のような二人一役の作品が、今まで存在しなかった訳ではないし、二人一役と言うコンセプトを実施する事により、現在の十三は、一体どっちなんだ?はたして十三なのか13号なのかを観客が想像する楽しみが減衰してしまい、キャラクターの記号化がより一層進んでしまっているのは否めない。
この、今は一体どっちの人格なんだよ?という観客の疑問や類推を排除しつつも、決して魅力を失わない演出と演技が楽しめるのだ。
撮影(河津太郎)は、ツイ・ハークのようなカメラの微妙な動き(ドーリーやトラック移動)が非常に効果的で、淡々と物事を描写する手法が楽しめる。
本作「隣人13号」は、非常に良く出来たサイコ・スリラーと言える。若干ハードな描写はあるが、是非劇場で楽しんで欲しい興味深い作品なのだ。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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かつていじめられっ子だった村崎十三(小栗旬)は、一見穏やかな青年に成長し、地元で建築現場の仕事に就き、とあるボロアパートに引っ越してくる。
だが、彼のカラダには凶暴な別人格“13号”(中村獅童)が巣食っており、怒りの沸騰と共に顔を出す。
そして少年時代の自分をいじめた赤井トール(新井浩文)へ、10年越しの壮絶な復讐を仕掛けるのだった。
しかし、その凶暴性は徐々に増していき、ようやく事の重大性に気づいた十三は、なんとか“13号”を抑えようとするが、もはや自分の力ではコントロールすることはできなくなっていた・・・・。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:井上靖雄
原作:井上三太
出演:中村獅童(13号)、小栗旬(村崎十三)、新井浩文(赤井トール)、吉村由美(赤井のぞみ)、石井智也(関肇)、松本実(死神)、三池崇史(金田)
本作「隣人13号」は大変面白いサイコ・スリラーに仕上がっている、と言う事が出来る。勿論本作にも気になる点が何点かあるのだが、それを感じさせないようなパワーと勢い、そして印象に残るビジュアル・イメージを見ることができるのだ。
先ずは冒頭に登場する荒野の一軒家のシメージが秀逸である。わたしは寡聞にして原作漫画を読んでいないのだが、この十三(小栗旬)の頭の中のイメージを具現化した事は非常に評価できるのではないか、と思う。
そのビジュアル・イメージは「24人のビリー・ミリガン」の視覚化イメージと、そのイメージから引用された「新世紀エヴァンゲリオン」TVシリーズの25〜26話のイメージを髣髴とさせる。
しかし、何度か登場するそのイメージは非常に解りやすく、かつ力強いイメージに仕上がっている。
脚本(門肇)は、2〜3通りの解釈が可能な懐の広い脚本で、鑑賞後自らの解釈を語り合える、と言う素晴らしい経験をわたし達観客に与えるものに仕上がっている。
わたしは、その解釈の中のひとつ、最早反則技とも言える解釈を許す脚本に戦慄を感じながらも、ほくそ笑んでしまう訳なのだ。
また、少年時代のいじめのシークエンスも秀逸で、リアリティに溢れており、演出も順当で良い印象を受けた。
PVあがりの監督にしては、絵も真っ当で、順当な演出がされており、奇をてらった手法に頼らない、良い印象を受けた。
キャストは何と言っても新井浩文(赤井トール)だろう。
本作のトール役に新井浩文をキャスティング出来たことは、本作にとっては大いなる幸運だと言えよう。
最近出ずっぱりの感が否めない新井浩文だが、例によってカメレオン俳優振りを披露している。本当に新井浩文は凄い。
またトールの舎弟死神を演じた松本実も非常に印象に残る。
今後の活躍に期待なのだ。
更に赤井のぞみを演じた吉村由美(PUFFY)にも良い印象を受けた。今後女優としての目もあるかも知れないのだ。
さて、タイトルロールの13号を演じた中村獅童は良いのは良いのだが、残念ながら想像の範囲内、と言うか順当な印象を受けた。
勿論鬼気迫るハードな役柄を見事に演じているのだが、中村獅童が13号を演じるのは普通だと言わざるを得ないのだ。
仮に13号を小栗旬が、十三を中村獅童が演じたら面白かったのではないか、と思うわけだ。
その十三役の小栗旬だが、いかんせん13号とトールが役柄として濃いので、若干寂しい印象を受けざるを得ない。
とは言うものの、観客の期待以上の演技を見せてくれているのは事実である。
脚本(門肇)は前述のように、懐の広い、いくつかの解釈を許すものに仕上がっているし、二人一役と言うコンセプトが素晴らしい。
勿論本作のような二人一役の作品が、今まで存在しなかった訳ではないし、二人一役と言うコンセプトを実施する事により、現在の十三は、一体どっちなんだ?はたして十三なのか13号なのかを観客が想像する楽しみが減衰してしまい、キャラクターの記号化がより一層進んでしまっているのは否めない。
この、今は一体どっちの人格なんだよ?という観客の疑問や類推を排除しつつも、決して魅力を失わない演出と演技が楽しめるのだ。
撮影(河津太郎)は、ツイ・ハークのようなカメラの微妙な動き(ドーリーやトラック移動)が非常に効果的で、淡々と物事を描写する手法が楽しめる。
本作「隣人13号」は、非常に良く出来たサイコ・スリラーと言える。若干ハードな描写はあるが、是非劇場で楽しんで欲しい興味深い作品なのだ。
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