2005/03/16 東京銀座「銀座ガスホール」で「エレクトラ」の試写を観た。
過去の責め苦と自らの死の悪夢に苛まれつつエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)はこの世に蘇る。エレクトラの武術の恩師で、盲目ながらも哲学思想から生まれる鋭い洞察力「キマグレ」の達人スティック(テレンス・スタンプ)は、彼女に心・技・体を伝授することには成功するが、両親を無残に殺された事への燃え上がる復讐心を消し去る事は出来なかった。
スティックに破門されたエククトラは復讐心を胸に秘め、世間から身を隠し、最強の暗殺者となる。
暗殺者として第二の人生を生きるエレクトラにマーク(ゴラン・ヴィシュニック)とその娘アビー(カーステン・プラウト)の暗殺依頼が舞い込むが・・・・。
(オフイシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ロブ・ボウマン
出演:ジェニファー・ガーナー(エレクトラ)、ゴラン・ヴィシュニック(マーク)、ウィル・ユン・リー(キリギ)、ケイリー=ヒロユキ・タガワ(ローシ)、テレンス・スタンプ(スティック)、カーステン・プラウト(アビー)、ナターシャ・マルテ(タイフォイド・メアリ)、クリス・アッカーマン(タトゥ)、ボブ・サップ(ストーン)、エジソン・T・リベイロ(キンコウ)
本作「エレクトラ」は、「デアデビル」からのスピン・アウト企画であり、「デアデビル」に登場したエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)を主人公にしたアクション映画である。
スビン・アウト企画と言えば「バットマン」からスピン・アウトした「キャット・ウーマン」を思い出すが、わたしは本作「エレクトラ」は「キャットウーマン」同様ラジー賞を賑わす作品なのではないかな、と言う微かな期待感を持って本作の試写に望んだ訳である。
尤も、ジェニファー・ガーナーのネーム・バリューでは、ラジー賞へのノミネートも難しいな、と言うのが正直なところなのだが。
しかし、わたしのその淡い期待は見事に裏切られた。
本作「エレクトラ」は普通に面白い普通のアクション映画に仕上がっていたのだ。
先ずはテレンス・スタンプの起用が嬉しい。
これはおそらく「キル・ビル」のデヴィッド・キャラダインのイメージの引用だろうと思うのだが、非常に良い味を出していた。
実際のところ「エレクトラ」と「キル・ビル」との共通点は非常に多く、「キル・ビル」をベースにして「エレクトラ」の脚本が書かれたような印象が否定できない。
そして本作の世界観は、東洋哲学思想が背景にあり、西欧文化にとっては、東洋の神秘を描写する興味深い映画に見て取れるのではないか、と思ってしまう。
しかしながら日本人にとっては、所謂国辱ムービー的な印象や「キル・ビル」を髣髴とさせるような失笑を誘うシークエンスもあるのだが、日本文化や東洋哲学を比較的良くリサーチした結果のような印象を受け、正しい日本文化を伝えようとする努力の後が見える。
しかし、何と言っても気になるのは「キマグレ」と呼ばれる洞察力なのだが、これは「気紛れ」と言うことなのだろうか、理解に苦しむ。
物語の前半部分のプロットは、マークとアビーをエレクトラが守りながら逃亡する、と言うもので、その逃亡過程のアクション・シークエンスが楽しい。
また「キマグレ」を扱うスティックとエレクトラの絡みも、物語に深みを与えており、好ましい印象を受ける。
また、鋭い洞察力により未来すら垣間見てしまう「キマグレ」を利用する事により、脚本は運命的なプロットを手に入れることすら出来ているのだ。
もう少し運命的な脚本に出来たら、感動的な作品に仕上がったのではないかな、と思うぞ。
キャストは先ずタイトル・ロールであるエレクトラを演じたジェニファー・ガーナーだが、コスチュームやプロップにリアリティを否定し、ファンタジックなキャラクター設定がされているものの、等身大のヒロインとしてはなかなか見ごたえのあるアクションを展開しているし、自らの過去の出来事に対峙する姿も細かいエモーショナルな演技を見せてくれている。
また、マークとアビーの親子を演じたゴラン・ヴィシュニックとカーステン・プラウトの親子愛には感じるものがあった。「炎の少女チャーリー」を髣髴とさせる父親と娘の逃避行が美しくも悲しい。
ゴラン・ヴィシュニックは現在のところ、テレビ・シリーズの仕事が多いのだが、甘いセクシーなマスクで映画の世界でも頑張っていただきたいと思うのだ。
テレンス・スタンプは前述のように素晴らしかった。
このような作品には欠かすことの出来ない大御所スターとして、映画に格調を付与する事に成功している。
また、出番は少ないものの、テレンス・スタンプ同様ケイリー=ヒロユキ・タガワの存在感も、格調高い雰囲気を本作に与えている。
避けて通れないのは、ボブ・サップの起用なのだが、個人的には俳優でもないただの日本のタレントをハリウッド映画に起用するのはいかがなものか、と思ってしまう。
20世紀フォックスの作品にボブ・サップが登場する経緯が解せないのだが、今後はこのような起用はやめていただきたいと思ってしまうのだ。
勿論、ワールド・ワイドな展開を考えた場合、ボブ・サップは完全に無名な訳で、日本以外の観客には存在感として良い味を出していると思うのだが、日本の観客としては、ボブ・サップではなく全く知らない俳優の起用が望ましいと思うのだ。
これは日本映画によくある、観客の感情移入を阻害し、物語の進行を著しく阻害する「不必要なカメオ」の挿入と同じような印象を観客に与えてしまうのではないか、と言う危惧によるものである。
まあ、とにかく、本作「エレクトラ」は思っていたより結構まともなアクション・アドヴェンチャー作品に仕上がっているのは事実である。
この春、ちょっと深みのあるアクション映画を観たいのならば、結構オススメの作品だと言えるのではないだろうか。
因みに本作「エレクトラ」の前に「デアデビル」を予習する必要はほとんどない、と言っても言いと思うよ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。
参考になったらクリック!
http://blog.with2.net/link.php/29604
過去の責め苦と自らの死の悪夢に苛まれつつエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)はこの世に蘇る。エレクトラの武術の恩師で、盲目ながらも哲学思想から生まれる鋭い洞察力「キマグレ」の達人スティック(テレンス・スタンプ)は、彼女に心・技・体を伝授することには成功するが、両親を無残に殺された事への燃え上がる復讐心を消し去る事は出来なかった。
スティックに破門されたエククトラは復讐心を胸に秘め、世間から身を隠し、最強の暗殺者となる。
暗殺者として第二の人生を生きるエレクトラにマーク(ゴラン・ヴィシュニック)とその娘アビー(カーステン・プラウト)の暗殺依頼が舞い込むが・・・・。
(オフイシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:ロブ・ボウマン
出演:ジェニファー・ガーナー(エレクトラ)、ゴラン・ヴィシュニック(マーク)、ウィル・ユン・リー(キリギ)、ケイリー=ヒロユキ・タガワ(ローシ)、テレンス・スタンプ(スティック)、カーステン・プラウト(アビー)、ナターシャ・マルテ(タイフォイド・メアリ)、クリス・アッカーマン(タトゥ)、ボブ・サップ(ストーン)、エジソン・T・リベイロ(キンコウ)
本作「エレクトラ」は、「デアデビル」からのスピン・アウト企画であり、「デアデビル」に登場したエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)を主人公にしたアクション映画である。
スビン・アウト企画と言えば「バットマン」からスピン・アウトした「キャット・ウーマン」を思い出すが、わたしは本作「エレクトラ」は「キャットウーマン」同様ラジー賞を賑わす作品なのではないかな、と言う微かな期待感を持って本作の試写に望んだ訳である。
尤も、ジェニファー・ガーナーのネーム・バリューでは、ラジー賞へのノミネートも難しいな、と言うのが正直なところなのだが。
しかし、わたしのその淡い期待は見事に裏切られた。
本作「エレクトラ」は普通に面白い普通のアクション映画に仕上がっていたのだ。
先ずはテレンス・スタンプの起用が嬉しい。
これはおそらく「キル・ビル」のデヴィッド・キャラダインのイメージの引用だろうと思うのだが、非常に良い味を出していた。
実際のところ「エレクトラ」と「キル・ビル」との共通点は非常に多く、「キル・ビル」をベースにして「エレクトラ」の脚本が書かれたような印象が否定できない。
そして本作の世界観は、東洋哲学思想が背景にあり、西欧文化にとっては、東洋の神秘を描写する興味深い映画に見て取れるのではないか、と思ってしまう。
しかしながら日本人にとっては、所謂国辱ムービー的な印象や「キル・ビル」を髣髴とさせるような失笑を誘うシークエンスもあるのだが、日本文化や東洋哲学を比較的良くリサーチした結果のような印象を受け、正しい日本文化を伝えようとする努力の後が見える。
しかし、何と言っても気になるのは「キマグレ」と呼ばれる洞察力なのだが、これは「気紛れ」と言うことなのだろうか、理解に苦しむ。
物語の前半部分のプロットは、マークとアビーをエレクトラが守りながら逃亡する、と言うもので、その逃亡過程のアクション・シークエンスが楽しい。
また「キマグレ」を扱うスティックとエレクトラの絡みも、物語に深みを与えており、好ましい印象を受ける。
また、鋭い洞察力により未来すら垣間見てしまう「キマグレ」を利用する事により、脚本は運命的なプロットを手に入れることすら出来ているのだ。
もう少し運命的な脚本に出来たら、感動的な作品に仕上がったのではないかな、と思うぞ。
キャストは先ずタイトル・ロールであるエレクトラを演じたジェニファー・ガーナーだが、コスチュームやプロップにリアリティを否定し、ファンタジックなキャラクター設定がされているものの、等身大のヒロインとしてはなかなか見ごたえのあるアクションを展開しているし、自らの過去の出来事に対峙する姿も細かいエモーショナルな演技を見せてくれている。
また、マークとアビーの親子を演じたゴラン・ヴィシュニックとカーステン・プラウトの親子愛には感じるものがあった。「炎の少女チャーリー」を髣髴とさせる父親と娘の逃避行が美しくも悲しい。
ゴラン・ヴィシュニックは現在のところ、テレビ・シリーズの仕事が多いのだが、甘いセクシーなマスクで映画の世界でも頑張っていただきたいと思うのだ。
テレンス・スタンプは前述のように素晴らしかった。
このような作品には欠かすことの出来ない大御所スターとして、映画に格調を付与する事に成功している。
また、出番は少ないものの、テレンス・スタンプ同様ケイリー=ヒロユキ・タガワの存在感も、格調高い雰囲気を本作に与えている。
避けて通れないのは、ボブ・サップの起用なのだが、個人的には俳優でもないただの日本のタレントをハリウッド映画に起用するのはいかがなものか、と思ってしまう。
20世紀フォックスの作品にボブ・サップが登場する経緯が解せないのだが、今後はこのような起用はやめていただきたいと思ってしまうのだ。
勿論、ワールド・ワイドな展開を考えた場合、ボブ・サップは完全に無名な訳で、日本以外の観客には存在感として良い味を出していると思うのだが、日本の観客としては、ボブ・サップではなく全く知らない俳優の起用が望ましいと思うのだ。
これは日本映画によくある、観客の感情移入を阻害し、物語の進行を著しく阻害する「不必要なカメオ」の挿入と同じような印象を観客に与えてしまうのではないか、と言う危惧によるものである。
まあ、とにかく、本作「エレクトラ」は思っていたより結構まともなアクション・アドヴェンチャー作品に仕上がっているのは事実である。
この春、ちょっと深みのあるアクション映画を観たいのならば、結構オススメの作品だと言えるのではないだろうか。
因みに本作「エレクトラ」の前に「デアデビル」を予習する必要はほとんどない、と言っても言いと思うよ。
☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
■人気blogランキング
当blog「徒然雑草」は「人気blogランキング」に登録しています。
参考になったらクリック!
http://blog.with2.net/link.php/29604
コメント