2004/12/24 東京新宿「新宿ジョイシネマ3」で「レディ・ウェポン」を観た。

ローマのホテルで暗殺事件が起きた。
犯人は長身の美女。彼女は現場から逃走する途中、マダムM(アルメン・ウォン/黄佩霞)と呼ばれる謎の女性を密偵していたCIA捜査官ジャック(ダニエル・ウー/呉彦祖)らに一時は身柄を拘束されるが、マダムMにより口封じのため殺されてしまう。

優秀な暗殺者を失ってしまったマダムMは、美しく運動能力に秀でた少女たちを世界各地から誘拐。南の島で訓練し、失った暗殺者の後継者として、美貌と肉体を武器にする一流の暗殺者の育成を謀る。

マダムMの下で、暗殺者に仕立て上げられるべく誘拐されたシャーリーン(マギー・Q)、キャット(アンヤ/安雅)、ジン(ジュエル・リー/李幸)ら40人の少女。
逃げ出す者は容赦なく射殺される孤島で、少女たちは地獄の特訓を強いられ、戦闘の知識、暗殺の技を叩き込まれる。

やがて、6年の歳月が流れ、最終テストの日が来る。
その最終テストとは、厳しい訓練を共に耐え抜いた同士たちと殺し合いをして、生き残った1人だけがプロの殺し屋として卒業できるという非常なものだったが・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

監督:チン・シウトン(程小東)
出演:マギー・Q(シャーリーン)、アンヤ(キャット)、ダニエル・ウー(ジャック)、アルメン・ウォン(マダムM)、アンドリュー・リン(リュウイチ)、チェン・ペイペイ(フェイ)、ジゥエル・リー(ジン)

東京では、当初から2週間限定公開が決まっていた本作「レディ・ウェポン(原題:「赤裸特工」)」は、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(1987)」、「テラコッタ・ウォリア/秦俑(1989)」、「沈黙の聖戦(2003)」のチン・シウトンの2002年の作品である。

チン・シウトンと言えば、最近は監督と言うよりは、「HERO/英雄」、「LOVERS」、「少林サッカー」等のアクション監督として有名かも知れない。

そんなチウ・シウトンの「レディ・ウェポン」は、最早脚本などどうでも良い、娯楽アクション作品に仕上がっている。

因みに、ツイ・ハーク曰く、「ジョン・ウーは女性を描けない、チウ・シウトンは女性アクションにしか興味が無い」。と言う言葉を信じると、本作「レディ・ウェポン」はチン・シウトンが満を持して製作した女性アクションの決定版だと言えるのだ。

先ずは冒頭の暗殺シークエンスのアクションから、少女達が誘拐されて特訓が始まるまでの流れが凄い。はっきり言って、凄いキャッチーだし、流れるような演出で舞台背景を一気に描いている。

また、女優の皆さんはところどころのシーンでは半裸に近いし、タンクトップに短パンで行われる特訓シーンも南の孤島の海岸で行われるんで、タンクトップも濡れてくるし。
小学生諸君には、リビトーを刺激する、心理的外傷的な作品になるかも知れませんぞ。

そんなこんなの、特訓シーンも良い。
勿論「ニキータ」等の影響もあるのか、化粧やテーブルマナーの特訓があるあたりも良い印象を受ける。
ついでに最終テストもきている。
仲間同士で殺し合い、残った者がプロの殺し屋になる、と言う設定は「あずみ」にも似ているが、本作「レディ・ウェポン」では、「あずみ」では、さらっと流す感じで明確に描かれなかった仲間同士の死闘がきっちりと描かれているのも凄い。ついでに卒業パーティも凄いぞ。
卒業パーティにおいて、ワインの銘柄と年代を当てさせるところがにくい。

また、卒業後、マダムMの指示の下行う暗殺任務のアクションも凄い。ちょっと「レオン」を彷彿とさせるのが難点だが。

しかし、アクションはともかく、その後の展開が微妙なのだ。
一例を挙げると、シャーリーンは、マダムMに対して、どういう感情を持っているのか良くわからないのだ。
育ててくれた感謝の気持ちを持っているのか、友達を殺させた事に対する、または誘拐された事に対する憎しみを持っているのか、なんとも釈然としないのだ。
そのため、中盤までのシャーリーンの行動原理が良くわからないのだ。

勿論、ラストのバトルにシャーリーンを追いやるプロットは明確であるから、多くの観客は気が付いたら、握りこぶしを作りながら、歯を食いしばり、シャーリーンを応援しているだろうし、結果的にはカタルシスは勿論、感動すらしてしまう自分も居る訳だ。

しかし、ちょっと待てよ。
本当にそれで良かったのか?
おかしなところがいっぱいあるんじゃねえの?

しかし、そんな事はどうでも良いのだ、復讐と暗殺と謀殺とアクションと、心の琴線を捻じ切るようなハードなプロットと演出が心地良いのだ。また、アクションもスタントマンを使わず俳優達にやらせた、と言うスタンスにも好感が持てるのだ。
「HERO/英雄」や「LOVERS」の絵画のようなアクションがあると思えば、フル・コンタクト系のアクションもある、勿論銃撃や剣技もあるし、画的にはちょっと地味かも知れないが、様々なテイストのアクションが楽しめる作品なのだ。

ジェット・リーのハリウッド系の作品のテイストに似ているかもしれない。それを女性でやり切っているのが凄いと思うのだ。
お笑いの無い「チャーリーズ・エンジェル」と言ったところかも。

キャストは、やはりマギー・Q(シャーリーン)だろう。
ポスター等のアートワークは、原版では全裸で抱き合うマギーQとアンヤ(キャット)のスチールが使用されていたのだが、国内ブロモーション用の宣材は、その全裸のスチールに迷彩模様を描き込んだ、もしかすると当初の図版よりキャッチーなものになっているのだが、マギーQにしろアンヤにしろ、所謂体当たりの演技に好感が持てるのだ。

また、シャーリーンの母親フェイを演じたチェン・ペイペイも良かった。泣かせどころですな。

更に、観客に強烈な印象を与えるのはシャーリーンの敵役になるアンドリュー・リン(リュウイチ)だろう。役名が日本人の名前だと言うのも日本人としては嬉しい気持ちである。
日本人特有の変質的でサイコで危ないキャラクターを見事に演じている。

そして、CIA捜査官ジャックを演じたダニエル・ウーも結構良かった。あまり活躍しないところも良いのだ。(ジャック:ダニエル・ウーって言うのは何かの冗談ですかね)

残念ながら、東京では12/24で終映してしまっているが、機会があれば観て欲しい作品なのだ。(大阪は12/25上映開始らしいです)

とは言うものの、素人さんは、うかつに手を出してはいけない種類の作品かと思うのだ。
個人的には、年間80本以上劇場で映画を観ている人向けの作品だと思うのだ。

☆☆☆ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)

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