2004/12/25
5が付く日だけに放映される、と言われるニコール・キッドマン主演の「Chanel No.5」のCF(CM)のフル・バージョン(120秒)を初めて観た。

タイトル:「The Film」
監督:バズ・ラーマン
撮影:マンディ・ウォーカー
美術:キャサリン・マーティン
出演:ニコール・キッドマン、ロドリゴ・サントロ

本作「The Film」は、CF(CM)史に残るであろう素晴らしい作品に仕上がっている。
とは言うものの、最早CF(CM)と言うよりは、CF(CM)の形を借りたショート・フィルムの傑作と言っても差支えが無い叙情的で、感動的な素晴らしいラブ・ストーリーだと言える。

物語は、世界的に著名な女優(ニコール・キッドマン ※)が失踪した数日間、ただの若者(ロドリゴ・サントロ)と恋に落ちるが、数日後彼女は若者の前から去る。
キス、微笑み、そして香りを残して・・・・

音楽はベートーベンの「月光」をモチーフにした趣きのあるもの。
撮影は「ニュースの天才」のマンディ・ウォーカー。
衣装・美術は、「ムーラン・ルージュ」のキャサリン・マーティン。
そして監督は同じく「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマンである。

世界観は、「ムーラン・ルージュ」の世界観を現代に再構築したような雰囲気を醸し出している。
特に「ベルリン天使の歌」を髣髴とさせるような、シャネルの看板のセットが大変素晴らしい。
撮影は色調を落としたシックなもので、ゆっくりとしたトラック移動が効果的である。
ツイ・ハークが好んで使うドーリー移動の雰囲気である。

そして、キャストのニコール・キッドマンは言うまでも無く大変素晴らしく、ラストの表情は絶品である。
また、ロドリゴ・サントロも朴訥でいながら洗練されている世間知らずの若者を見事に演じている。

そして考えなければならないのは、本作「The Film」は「ローマの休日」をモチーフとしている事である。

アン王女(オードリー・ヘプバーン)とジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)との恋が完全に現代に蘇っているのだ。

また、彼女が失踪後タクシーに飛び乗って彼と出会うのだが、この辺りは「オズの魔法使い」のイエロー・ブリック・ロードをイエロー・キャブに見立てた暗喩がされている。

竜巻(emotional breakdown)に巻き込まれ、オズの魔法の国(庶民の生活)に飛ばされてしまったドロシー(女優)はイエロー・ブリック・ロード(イエロー・キャプ)に従って、結果的には我が家(ショウ・ビジネス界)に戻る。
とも読み取れるのである。

CF(CM)に使うとは、何とも勿体無い素晴らしいプロットだと思うのだ。

本作「The Film」は、映画の素晴らしさを再確認させてくれる、本当に素晴らしいCF(CM)に仕上がっているのだ。
必見!!
 
 
ココではクレジット付きの180秒バージョンの「The Film」を観る事が出来ます。
http://www.joeytomatoes.com/chanelno5thefilm.htm

※ セリフを聞く限りは、彼女は(自称)ダンサーである。
因みに、彼女の失踪を告げるニュースのナレーションでは、most famous の後はわたしには聞き取れないが、おそらく彼女は世界的な女優だと思われる。(GONE! と言う新聞の見出しや、ラストのレッド・カーペット等からの類推)

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