2004/12/14 東京新宿「テアトル池袋」で「ゴースト・ネゴシエイター」改め「ゴーストシャウト」の改名披露試写会に行ってきた。
舞台挨拶は、出演の滝沢沙織、南野陽子、野田社長と、細木数子のおかげで改名した繋がりのモンキッキ。
 
榊ヨウコ(滝沢沙織)の職業はゴーストネゴシエイター。
それは下界に現われた幽霊と交渉し無事に成仏させるというもの。
しかし、普通の生活に憧れていたヨウコは、今日を限りにこの因果な商売から足を洗うつもりでいた。そしてとある新婚夫婦(高橋克典/三浦理恵子)の家でなんとか幽霊を成仏させたヨウコは、恋人の元木俊雄(永井大)とのデートに出かける。ヨウコはこのデートで俊雄の母親(川島なお美)と会う事になっていたのだ。

その直後、ヨウコの事務所に緊急の依頼が舞い込む。
それは八王子にある星陵音楽大学のチャペルに、幽霊が現われ、歌を歌っていると言うのだ。
借金に苦しむ事務所の社長・外古葉雄一(菅田俊)は、お化け屋敷でスカウトしたばかりの柳田浩司(井澤健)をヨウコのデート場所に向かわせ、2人で現場に急行するよう指示を出す。恋人には本当の職業をひた隠しにしているヨウコは、俊雄を残したまま、渋々現場へ向かうのだが・・・・。
 
監督:塚本連平
脚本:EN(榎本憲男)、佐々木充郭
出演:滝沢沙織(榊ヨウコ)、井澤健(柳田浩司)、永井大(元木俊雄)、高樹マリア(美空つぐみ)、高橋克典(若夫婦/夫)、三浦理恵子(若夫婦/妻)、南野陽子(矢田部愛子)、はなわ(時田君)、川島なお美(元木の母)、玉木宏(健太の孫)、中山仁 (響学)、赤座美代子(響澄子)、藤村俊二(坂口健太)、小倉一郎(市川学部長)、ムッシュかまやつ(お化け屋敷館主)、菅田俊(外古葉雄一)、阿南健治(横島事務局長)、雛形あきこ(マリコ)
 
 
はいはい、仰る通りですよ。
どうせ、つまらない映画だと思ってましたよ。
細木数子のお告げに従って、映画タイトルを安易に変更しちゃう話題性重視のダメ映画だろうと思ってましたよ。

そんなわたしが莫迦でした。
本作「ゴーストシャウト」は、プロットと伏線がカチっと決まった素晴らしい脚本を備えた良質の作品に仕上がっていたのだ。
その優れた脚本は(勿論褒めすぎの感は否定できないが)、まるで脚本の「お手本」とも言えるクオリティを持っているのだ。

何も足さない、何も引かない、それで充分なのだ。
本作の脚本は、全てのセリフ、全てのカット、全ての登場人物に、きちんと意味を持たせた素晴らしい脚本だった。
勿論、全てのセリフやカット、登場人物に意味を持たせるのは、本来映画としては当たり前の事なのだが、そんな正しい映画は結構少ないと思うのだ。
強いて例えるならば、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズの脚本の仕上がりに匹敵するのではないかな、と思う訳だ。

演出はベタで順当である。
悪く言えばベタでお約束通りのありきたりなもので、独創的な演出や、光る演出はそれほどないのだが、その予定調和的で順当なあたり前の演出は、所謂映画文法に則った、誰もが納得できる、安心感が感じられる仕上がりを見せている。

美術は世界観を全く損なわず、そしてでしゃばらず、縁の下で作品を見事に支えている点に好感を感じた。イメージとして特筆すべき点があるとすると、やはり「天国の階段」を実写化したのは評価に値すると思う。その辺りの世界観は秀逸である。
また、撮影は広角レンズの多用が非常に印象的であった。

編集は、見事な脚本と相まって、シーンのつなぎ部分に素晴らしい効果を与えている。複数の舞台で起きている事象を関連性で引っ張りながら繋ぐ手腕に舌を巻いてしまう。勿論これはシーンの変わり目を当初から意識した素晴らしい脚本のおかげなのだがね。

キャストはバラエティ的には豪華である。
比較的キャッチーな旬のタレントの起用には好感が持てる。
物語の進行を著しく停滞させてしまう悪い意味でのカメオではなく、旬のタレントを物語に溶け込ませる手腕は見事である。

主演の榊ヨウコを演じた滝沢沙織は初主演に関わらず素晴らしかった。2面性のあるキャラクターを危なげなく演じきっている。
特に、相棒となる井澤健(柳田浩司役)とのコンビネーションは抜群である。
また、恋人元木俊雄役の永井大との息もピッタリで、もしかすると大化けする、今後が楽しみな女優さんになっていくかも知れない。

また、矢田部愛子を演じた南野陽子も素晴らしかった。多分この作品が成功しているのは、元アイドル南野陽子をキャスティングできたことに因るのではないか、と思えるほどの怪演振りである。

また、藤村俊二や阿南健治のキャスティングがツボを押さえており、物語を語る上で素晴らしい見せ場をそれぞれ演じている。

とにかく、本作「ゴーストシャウト」は、お子様からお年寄りまで、全ての観客が楽しめる一流のエンターテイメント作品に仕上がっているし、物語も笑いながら最後にちょっぴり涙が出ちゃう感動作品にも仕上がっている。
そして、過去と現在を結ぶ伏線が見事で、プロットと伏線がジグソー・パズルのようにピタっとはまる上、演出もお約束的に楽しめる作品なのだ。

個人的には、是非ヒットしていただきたいと思うのだ。

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本作「ゴーストシャウト」は、東京テアトルが発起人となっているガリンペイロ・レーベルの作品である。
これは、新しい日本映画の才能を単館系エンターテイメントから発信する事を目的としたプロジェクトであり、本作はその高い志の下に製作された4本目の作品なのである。

このような孤高で良質なエンターテイメント作品は、きちんとプロモーションされ、きちんとヒットさせる必要があるのだ。

そして、このような真摯で良心的な作品がヒットするかどうか。それが今後の日本映画のあり方のひとつのカギになるのではないか、と思うのだ。

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舞台挨拶は、前述のようにいろんな人が登場したが、個人的には南野陽子が興味深かった。

アイドル時代の営業の経験からか、挨拶やお辞儀の仕方から、トークでのアドリブの飛ばし方、割って入るタイミング、観客の視線の集め方等々、舞台慣れが感じられ、やはり普通の女優と違って、元アイドルは生に強いな、と思ってしまうのだ。

何と言っても滝沢沙織と南野陽子のお辞儀の角度が完全に違っていたのだ。

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