2004/12/11 東京有楽町「東京国際フォーラムAホール」で行われた「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」に行ってきた。

作曲・指揮:ハワード・ショア
ソリスト:ケイティ・ヌーナン
演奏:ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:LOTR混声合唱団、TOKYO FM 少年合唱団
 
 
豊潤の一時である。

本コンサート「ロード・オブ・ザ・リング・シンフォニー」は、現役映画音楽作曲家の中で、最高の作曲家の一人に数えられるハワード・ショアが自らの作品である「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のサウンドトラックを再構成し、2時間6楽章にまとめた楽曲を、指揮するという素晴らしいコンサートなのだ。
 
 
ところで、わたしは今回のチケットを「チケットぴあ」のプレリザーブで押さえたのだが、いざ蓋を開けてみると、わたしの席はなんと最前列。位置はステージに向かって中央から右よりだった。

勿論、一般的に考えて最前列よりは後の席の方が音響も良いし、今回のコンサートの特徴として、オーケストラ後部のスクリーンに様々な映像を上映するのだが、その関係もあり、後の席の方が良い訳だが、わたしの席は前述のようになんと一番前。

しかも、今回のオーケストラは合唱付きで、通常のオーケストラと編成も異なり、かつその編成も大きく、当然の如くオーケストラ・ピットを完全に上げた状態、ステージをいっぱいに使い演奏が行われるのだ。

そんな状況であるから、わたしがいる最前列の席からの眺望は、ステージ上の演奏者が大半を占めるため、スクリーンの大部分は見えない、というものだった。
とは言っても、スクリーンに投影される映像のほとんどは、アラン・リーやジョン・ハウのイラストであり、ほとんどがDVDに収録されているものらしいのだ。
その結果、わたしは潔くスクリーンを見るのをやめ、ステージ上、ハワード・ショアの指揮とオーケストラの演奏に集中することにした。

楽曲自体は、再編集しているとは言え、映画やサントラで聞ける楽曲なのだが、今回はオーケストラの生演奏で、しかも合唱付きと言う素晴らしい演奏形態での演奏なのだ。
ゆえに今回のコンサートは、最高の音楽演奏形態であるオーケストラの威力を遺憾なく発揮する素晴らしいコンサートなのだ。

ついでに、ただでさえ「ロード・オブ・ザ・リング」の楽曲は素晴らしいのに、その作曲者であるハワード・ショア自らがオーケストラを指導し、指揮する訳であるから、それだけでも号泣必須のコンサートになる訳なのだが、たまたま最前列のわたしのほぼ正面には、要所要所で素晴らしい演奏を聴かせるソリストの席があった。

そのソリストのヴァイオリンはわたし達観客の心の琴線を鷲掴みにし、ぐらんぐらん揺り動かす程エモーショナルな演奏を行っていた。

また、わたしの前方及び右側には、例のソリスト以外にも、要所要所で特徴的な演奏を行う、ギターやマンドリン、アコーディオン等、一般のオーケストラ編成には含まれない楽器の演奏者がいたため、その微妙な音質を一般の観客より楽しめたのだ。

そういった環境もあり、わたしはスクリーン上に投影された映像はあまり楽しめなかったが、指揮者の一挙手一投足に注視し、また演奏者の演奏や動き、特に目前のソリストや特別な楽器を演奏する演奏者に注目していた。

やはり、最高のひと時は、前述のソリストの心の琴線を鷲掴みにするエモーショナルな演奏が素晴らしかった。

またソリスト(ソプラノ)のケイティ・ヌーナンをはじめとする合唱の皆さんも素晴らしかった。

チケットはS席で12,000円だった。チケット代は高いと言えば高いのだが、お金などでは換算できない素晴らしい経験だった。

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余談だが、先日友人と最近の映画サウンド・トラック(サントラ)について話をした。
その結果、わたしとわたしの友人は最近のサントラに危惧を感じたのだ。

映画のサントラと言うものは、映画の追体験をするために非常な重要なメディアだと思うのだが、最近その重要なサントラの中に記憶の残るような、心の琴線に触れるようなメロディが無いのだ。
現代の作曲家はメロディをかけないのではないだろうか。

例えば、あんなにヒットした作品「スパイダーマン2」のメイン・タイトル(テーマ曲)をあなたは口ずさむことが出来るだろうか。
恥ずかしいことに、わたしは出来ない。

ところで、歴史に残るエバー・グリーンな映画作品には、全て素晴らしいメイン・タイトルが付き物である。
サントラは映画の顔であり、記憶に残るサントラは映画の宝である。サントラと映画は相乗効果により、映画の寿命を永遠にまで延長することが出来るのだ。

例えば「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」を作曲したマックス・スタイナーや、「ベン・ハー」のミクロス・ローザ、「スパルタカス」のアレックス・ノース等の史劇作品のテーマ、「スター・ウォーズ」、「レイダース」等、一連のジョン・ウィリアムズの楽曲や、「スタートレック」や「オーメン」等のジェリー・ゴールドスミス、「サイコ」、「北北西に進路を取れ」、「タクシー・ドライバー」のバーナード・ハーマン、「ウエストサイド物語」のレナード・バーンスタイン等、そして「ロード・オブ・ザ・リング」三部作をはじめとするハワード・シュア。

綺羅星のような作曲家達が、天使の歌声のようなメロディ・ラインを持った素晴らしい楽曲を作曲しているのだ。

しかしながら、最近の映画作品の中に印象に残るサントラを持つ作品が少ないのだ。
もしかすると、現代の作曲家の多くは、印象に残る素晴らしいメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できていのではないだろうか。

勿論楽曲の形式はある程度の品質を保っている。しかしだと言っても、オーケストレーションや和声、アレンジが素晴らしいからと言って、印象に残るメロディ・ラインを持つ楽曲を作曲できない、と言うことは映画界にとって致命的なことではないだろうか。
 
 
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