「芸術の秋」のせいなのかどうかは知りませんが、日本では秋になると多くの「映画祭」が開催されます。わたしもご多分に漏れずいくつかの「映画祭」に参加している訳ですが、今日はそんな「映画祭」のわたしなりの楽しみ方をご紹介したいと思います。(※1)

1.「特別招待作品」の楽しみ方

「特別招待作品」とは多くの場合、既に配給会社や公開時期が決定した作品を、多くのゲストを招いていち早く上映するもので、一般の観客の注目度も高く、壮絶なチケット争奪戦が繰り広げられる企画上映です。

今年の「特別招待作品」の目玉は、何と言っても「誰にでも秘密がある」(「東京国際映画祭」/ゲスト:イ・ビョンホン、チェ・ジウ、チャン・ヒョンス)でしょう。
生イ・ビョンホンに会う(見る)がために、チケット発売日当日、発売開始30秒(噂)でチケットが完売。その後オークションに出品された1枚1,500円のチケットは、なんと30万円にもなったそうです。

実際「特別招待作品」の多くは、既に配給会社や公開時期が決定しているので、少し(数日〜数ヶ月)待てば、そんなに無理しなくても劇場で普通に観ることが出来るのですが、封切まで待てないような早く観たいファンには勿論オススメですし、スタッフやキャスト等、豪華な舞台挨拶も楽しみな企画だと言えます。
普段お目にかかれない、海外のスタアを間直に見る機会だと思いますし、上手く行けば、握手したり、サインなんかも貰えちゃうかも知れません。

わたしもご多分に漏れず、少しでも早く観たい作品や、普段なかなか来日しない監督やキャスト目当てでチケットを押さえる事があります。残念ながらチケット争奪戦に破れたような場合、どうしても行きたいような作品の場合は、勿論オークションも利用します。個人的には、どうでも良い内容の映画のゲスト目当てで、オークションで7,000円程出した事があります。莫迦ですね。
 
 
2.「コンペティション」の楽しみ方

日本の監督や映画が海外で「なんとか賞」を貰ったとかどうとかマスコミが騒いでいるのは、多くの場合「映画祭」の「コンペティション」(所謂「コンペ部門」)です。

「コンペティション」の楽しみは何と言っても、「作品との出会い」だと思います。名前も聞いた事がないような監督の作品を観て、それが「当たり」だった時、「コンペティション」を通じて「新たな才能の発掘」に立ち会える喜びは、本当に例えようがありません。
新しい才能、埋もれている名作との出会いに満ちた「コンペティション」は「映画祭」の華なのです。
とは言っても、最近は、本来ならば「特別招待作品」で上映した方が良いんじゃねえの、と思えるような作品が「コンペティション」に出品されてしまうのも事実です。今後の作品選択に課題を感じてしまう昨今です。

そして、「コンペティション」作品は、配給会社や国内での公開が決まっていない場合も多く、その作品は「コンペティション」会場でしか観られない場合もありますし、また、所謂「当たり」の作品が「映画祭」後しばらく経ってから公開されたり、「映画祭」当時は新人だった監督が何年か経ってメジャーになり「特別招待作品」を引っ提げてその「映画祭」に凱旋する様を見ると感慨も一入です。「コンペティション」の観客が彼等のような映像作家を育てているのですね。

また「コンペティション」作品の上映後には、スタッフやキャストを迎えたティーチ・インが行われる事も多く、一般の舞台挨拶のような作品の表層だけではなく、作品の内面や設定、裏情報に触れる質疑応答や監督の語りも楽しめます。

更に「国際映画祭」の「コンペティション」で名を挙げようとする貪欲な監督も比較的多く、ファン・サービスに徹した彼等は、会場の隅や廊下、エントランス等で即席サイン会や即席ティーチ・インを開いたりします。
監督と映画について直接話せる、と言う信じられない程の経験も場合によっては体験できる訳です。

3.「企画上映」の楽しみ方

「企画上映」とは、例えばある映像作家の作品やある俳優の出演作品をフィーチャーした特集上映のような企画や、「東京国際映画祭」の「アジアの風」のような、特有のテーマやコンセプトに沿った作品をまとめて上映するような企画です。

映像作家や俳優の旧作をまとめて観る機会が得られる素晴らしい企画であり、例えば「アジアの風」では、新進気鋭のアジアの映像作家の最新作を楽しむ事も出来ます。

「企画上映」についてもゲストによる舞台挨拶やティーチ・インが行われる事が多く、作品の内面を深く理解する一助となります。

個人的にわたしは、最近のアジア映画に関心があるので「アジアの風」的な「企画上映」が大好きで、アジアの映画を観ることを心がけています。

また「コンペティション」同様、即席サイン会や即席ティーチ・インが行われる事も多く、アジアの監督とお互いに片言の英語で、作品について語り合う、と言うある種貴重な体験が楽しめる事もあります。
 
 
4.スケジュール調整

しがない会社員の身としては、「映画祭」の会期中会社を休んで会場に入り浸る、と言う訳にも行きませんので、自分のスケジュールと上映スケジュールを基に、どの作品を観ようか考えるのですが、これがめちゃくちゃ楽しいのです。

この作品は是非観たいが平日の昼間にしか上映しない。じゃ会社を休むか。どうせ休むならこっちの作品も観たいし・・・・。
どっちみちその作品のチケットが取れるかどうかわからず、正に捕らぬ狸のなんとやら、なのですが、これもひとつの「映画祭」の楽しみだと思います。

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来年こそは「東京国際映画祭」の期間に長期休暇を取得したいと思ってしまう、わたしはダメな人間です。

また今週末からは「東京フィルメックス」が始まってしまうし・・・・。

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※1
わたしが2004年に参加した(する)「映画祭」は、
「東京国際ファンタスティック映画祭」(2004/10/14-17)
「東京国際映画祭」(2004/10/23-31)
「東京フィルメックス」(2004/11/20-28)
です。本文は上記「映画祭」の特徴を元にしており、他の「映画祭」の特徴と合致しない場合があります。

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