2004/11/15 東京九段下「九段会館大ホール」で「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」の試写を観た。

1939年、ニューヨーク万国博覧会の年。
ニューヨーク上空に到着した巨大な飛行船ヒンデンブルグIII号はエンパイアステートビルの頂上に設置された飛行船ドックに停泊した。
そんな最中、またしても著名な科学者失踪のニュースが報じられる。事件の独自調査を開始したNYクロニクル紙の敏腕女性記者ポリー・パーキンス(グウィネス・パルトロウ)は、科学者失踪事件を追う途中、街で驚くべき光景を目撃する。摩天楼の上空を巨大なロボットの大群が来襲し、人間を襲い始めたのだった。人々が逃げまどう中、無謀にもその模様をカメラに収めようとしたポリーは間一髪のところで、元恋人で空軍のエースパイロット、スカイキャプテンことジョー・サリバン(ジュード・ロウ)に救われる。科学者失踪事件と今回のロボット襲撃事件に関連を見出したスカイキャプテンはポリーと協力して事件の謎を追い、やがて一人のドイツ人科学者トーテンコフ博士(サー・ローレンス・オリビエ)の存在に行き着くのだが・・・・。

監督:ケリー・コンラン
キャスト:ジュード・ロウ(スカイキャプテン/ジョー・サリバン)、グウィネス・パルトロウ(ポリー・パーキンス)、アンジェリーナ・ジョリー(フランキー・クック)、ジョヴァンニ・リビシ(デックス・ディアボーン)、マイケル・ガンボン(ペイリー編集長)、バイ・リン(謎の女)、サー・ローレンス・オリヴィエ(トーテンコフ博士)

ボクらがドキドキワクワクした冒険活劇がここにある。
これは新世代の「スター・ウォーズ」なのだ!

と言う訳で本作「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」は「スター・ウォーズ/新たなる希望」に匹敵する(嘘)最高の冒険活劇だと言えよう。
ボクらの少年時代、ボクらが「スター・ウォーズ」を初めて観て感じたようなドキドキワクワク感を、現代の少年たちが「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」で体験できるのでないか、と思うのだ。

本作は、スカイ・シップ1が出てきたり、クレイジーゴンが出てきたり、見たことがあるようなロボットやベタなデザインのロケットが出てきたり、音楽はジョン・ウィリアムズのオーケストレーションを模倣したようなアレンジが多用されていたりしている訳で、オリジナリティの部分では残念ながら手放しで褒め称える訳にはいかない。しかし少なくても本作「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」はこの秋最高のドキドキワクワク感溢れる冒険活劇なのだ。

先ずは世界観が素晴らしい。所謂レトロ・フューチャーなデザインと現代の俳優が見事に融和する素晴らしいクオリティを持ったCGIで構築された世界観に驚きなのだ。
勿論フリッツ・ラングの「メトロポリス」やチャップリンの「モダン・タイムズ」やジョルジュ・メリエス、フライシャー兄弟やなんかの影響や借用、引用、オマージュは見え隠れする世界観については、通常の作品だとすると美術やセット、衣装やプロップがどうのこうのと言う話になるのだが、俳優やプロップ以外は全てCGIと言う本作では、美術やセットがどうのこうのとは一概には言えない。まあ美術(Production Design)は監督のケリー・コンランの兄のケビン・コンランがクレジットされているところや、限りなく自主制作に近い作品らしい、と言う話を聞くと、彼等コンラン兄弟は凄い才能と凄まじい忍耐力と、オタッキーな言及スタンスを持った素晴らしい兄弟なのかもしれない、と思うのだ。

しかし、本作のイメージの多くは前述のように先人達の作品からの借物や引用に満ちており、物語の舞台がわれわれの地球上であり、われわれ人類の歴史の中で、こういった物語が起こった、とした所が最大の問題点だと思う。できる事なら、既存のビジュアル・イメージ(飛行機とか)を使用せず、遠い彼方の銀河系の物語にして欲しかったのだ。

脚本は一言で言うと小粋である。メインのプロットは凄いと思うが、展開は結構ベタだと言わざるを得ない。しかしそれを感じさせない小粋なセリフとユーモラスな演出、そして何と言っても前述の見事に構築された世界観を、観客を夢から醒めさせないクオリティを維持し続けているのだ。
小粋なセリフや演出は、カチっと決まった「スター・ウォーズ」ミート「レイダース」的な感じなのだ。
結構笑えるしね。

あと特筆すべき点は「オズの魔法使い」への言及とそこから派生するサー・ローレンス・オリビエのオズの大魔王的使い方が印象に残る。
ジュード・ロウと「オズの魔法使い」と言えば「A.I.」が記憶に新しいが、「A.I.」のルージュ・シティ(勿論エメラルド・シティね)のとある人物(ロビン・ウィリアムズ)を髣髴とさせる素晴らしい使い方なのだ。
勿論故人の過去の作品のフッテージを本来の意図とは別の意図で使用している点に釈然としない部分を感じるのは仕方が無いだろう。

とにかく、本作「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」は、残念ながら「スター・ウォーズ」には到底及ばないが、初めて「スター・ウォーズ」を観た時のような気持ちにちょっとだけ戻ることが出来る、素晴らしい魅力と魔法の力を持った作品だと思うのだ。(他の銀河系の物語だと思ってください)
ちょっと褒めすぎかも・・・・。

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それにしても、ケリー・コンランが4年かけて作ったと言う「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」のモトネタとなった6分間の作品を見てみたいものなのだ。

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しかし、「Mr.インクレディブル」のスコアは「007」のコピーだし、本作「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」のスコアはジョン・ウィリアムズのオーケストレーションのコピーとは、世の中一体どうなっているのでしょうか。
(「Mr.インクレディブル」は、ジョン・バリーにスコアをオファーしたらしいしね。)

とは言うものの、本作のスコアをジョン・ウィリアムズにやって欲しかったな、と切実に思うし、もしかしたらただ単に本作のスコアと「スター・ウォーズ」のサントラを入れ替えるだけで、本作は凄い傑作に生まれ変わるような可能性が感じられた。

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