「シュレック2」のヒットを憂慮する
2004年11月10日 エッセイ/コラム
2004年、「シュレック2」が世界中で記録的なヒットを続けている。同作は「ファインディング・ニモ」を抜き、北米アニメ史上第一位の興収を記録、全映画のカテゴリーでも北米興収歴代第三位を記録している。
しかし、わたしは「シュレック2」の大ヒットの影響を真剣に憂慮している。なぜならわたしは「シュレック2」は大ヒットしてはいけない種類の映画だと考えているからである。
それでは「シュレック2」の最新の興収を見てみよう。
2004/11/10付 北米歴代興収ベストテン
第一位「タイタニック」$600,779,824
第二位「スター・ウォーズ」$460,935,665
第三位「シュレック2」$436,471,036
第四位「E.T.」$434,949,459
第五位「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」$431,065,444
第六位「スパイダーマン」$403,706,375
第七位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」$377,019,252
第八位「スパイダーマン2」$373,247,668
第九位「パッション」$370,270,943
第十位「ジュラシック・パーク」$356,784,000
2004/11/10付 全世界歴代興収ベストテン
第一位「タイタニック」$1,835,300,000
第二位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」$1,129,219,252
第三位「ハリー・ポッターと賢者の石」$968,600,000
第四位「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」$922,379,000
第五位「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」$921,600,000
第六位「ジュラシック・パーク」$919,700,000
第七位「ハリー・ポッターと秘密の部屋」$866,300,000
第八位「ファインディング・ニモ」$865,000,000
第九位「ロード・オブ・ザ・リング」$860,700,000
第十位「シュレック2」$849,571,036
1.「シュレック2」はオリジナル作品ではない。
先ず考えなければならないのは「シュレック2」という作品は、オリジナル作品ではなく、様々な童話や名画の有名なシークエンスを模倣する事を目的としたパロディ映画である。と言うことである。
勿論、所謂パロディ映画がヒットすること自体は全く問題ではない。寧ろ「シュレック2」のヒットは、従来日陰の存在であったパロディ映画というジャンルに新たな光を当てるという重要な意味を持っている、とも言える。
しかし、だ、モノには限度と言うものがある。
パロディ作品がネタにしているオリジナル作品以上にヒットするのは、いかがなものか、とわたしは思うのだ。
勿論「シュレック」シリーズには、「みにくいシュレック」と言うれっきとした原作絵本があるし、「シュレック」シリーズの基本プロット自体はオリジナルなのだが、「シュレック2」は、そのオリジナルなプロットを描く事より、多くの映画や童話のシーンを模倣する事に力を入れ、それを作品の特徴的コンセプトとしているのだ。
例えば「新サイコ」が「サイコ」や「鳥」以上のヒットを飛ばし、「スペースボール」が「スター・ウォーズ」を打ち負かし、「ホット・ショット」が「トップガン」を抜き、「ローデッド・ウェポン1」が「リーサル・ウェポン」や「ダーティ・ハリー」をぶち抜き、「カジノ・ロワイヤル」が本家「007」シリーズを凌駕しても良いのだろうか。
わたしは嫌だ。
わたしは、今まで日陰の存在で、2本立興行の2本目であったり、場末の劇場で細々と恥しげに公開されていたり、マニアックな映画ファンが人知れずニヤニヤと楽しんでいたパロディ映画が、白日の下堂々と公開され、一般の観客にも圧倒的に支持され、しかも興収第一位を更新し続けるのは、問題ではないか、と考えるのだ。
わたしはオリジナル作品がヒットするのを見たいのだ!
ハリウッドにおいてもリスクがあるオリジナル企画ではなく、二匹目の泥鰌を狙う続編やリメイク企画が頻発している。
ハリウッド・メジャー作品がオリジナル企画ではなく、ヒットし易い安易な企画ばかりになってしまう事をわたしは真剣に憂慮している。
これは日本映画界にも言えるのだ。テレビ番組の延長的な作品が次々とヒットしてしまう事にも憂慮してしまう。
リスキーだろうが、稚拙だろうがなんだろうが、スピリッツ溢れる素晴らしいオリジナル作品をわたしは観たいのだ!
2.「シュレック2」は私怨を具現化した作品である。
映画とその映画を取り巻く環境は別物である。
出演者がアルコール依存症だろうと犯罪者だろうと、製作者が思想的に偏っていようと、観客が俎上に乗せるのは映画そのものである。背景や環境がどうだろうと、映画の評価は変わってはならない。
しかし「シュレック2」を考える場合、マイケル・アイズナーとジェフリー・カッツェンバーグの関係がムクムクと頭を擡げてくる。
1980年台後半までジリ貧だったディズニー・アニメの凋落を救ったのは誰あろうカッツェンバーグだったのだ。
カッツェンバーグは「リトル・マーメイド(89)」「美女と野獣(91)」「アラジン(92)」「ライオン・キング(94)」と立て続けにヒットを飛ばし、ディズニー・アニメを救い、ディズニーの一時代を築いたのだ。
しかし現ディズニー会長アイズナーにクビにされてしまう。
転んでも只では起きないカッツェンバーグは、各メディアからのオファーを一蹴し、スティーヴン・スピルバーグとデビッド・ゲフィンに声をかけドリームワークスSKG(因みにSKGとは、スピルバーグ、カッツェンバーグ、ゲフィンのイニシャルである)を設立した。ドリームワークスSKGでは、実写部門はスピルバーグ、音楽部門はゲフィン、アニメ部門はカッツェンバーグが指揮を執っているのだ。
以来、ドリームワークスSKGのアニメ部門の責任者カッツェンバーグはディズニー打倒を目指しており、尽く反ディズニー的政策を取っているのだ。
そんなカッツェンバーグの指揮の下、「シュレック2」では、ディズニーをイメージさせるキャラクターをトコトンこけにし迫害しているのだ。
別に作品の裏の目的や製作者の意向が作品の表面に見え隠れするのは構わない。
しかし、だ、子供が楽しみにするような作品の根底に、怨みつらみが見え隠れして良いのだろうか。
そして、そんな作品がヒットして良いのだろうか。
そんな作品を見て子供たちが育って良いのだろうか。
わたしは嫌だ!
わたしは、夢と希望が溢れるディズニーのクラシック作品で子供たちが育って欲しいのだ!
そんな中、「シュレック2」の北米版DVDが「Mr.インクレディブル」北米公開日にあわせて2004/11/05に、国内版DVDは、Mr.インクレディブル」日本公開直前の2004/11/19にリリースされる。
因みに「シュレック」の北米版DVDは、「モンスターズ・インク」の北米公開日にリリースされた。
ご承知の通り、「Mr.インクレディブル」「モンスターズ・インク」はディズニー配給/ピクサー製作作品である。
=+=+=+=+=+=+=
少なくても「シュレック2」が「ファインディング・ニモ」の興収を抜くのはマズイと思うぞ。
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しかし、わたしは「シュレック2」の大ヒットの影響を真剣に憂慮している。なぜならわたしは「シュレック2」は大ヒットしてはいけない種類の映画だと考えているからである。
それでは「シュレック2」の最新の興収を見てみよう。
2004/11/10付 北米歴代興収ベストテン
第一位「タイタニック」$600,779,824
第二位「スター・ウォーズ」$460,935,665
第三位「シュレック2」$436,471,036
第四位「E.T.」$434,949,459
第五位「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」$431,065,444
第六位「スパイダーマン」$403,706,375
第七位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」$377,019,252
第八位「スパイダーマン2」$373,247,668
第九位「パッション」$370,270,943
第十位「ジュラシック・パーク」$356,784,000
2004/11/10付 全世界歴代興収ベストテン
第一位「タイタニック」$1,835,300,000
第二位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」$1,129,219,252
第三位「ハリー・ポッターと賢者の石」$968,600,000
第四位「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」$922,379,000
第五位「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」$921,600,000
第六位「ジュラシック・パーク」$919,700,000
第七位「ハリー・ポッターと秘密の部屋」$866,300,000
第八位「ファインディング・ニモ」$865,000,000
第九位「ロード・オブ・ザ・リング」$860,700,000
第十位「シュレック2」$849,571,036
1.「シュレック2」はオリジナル作品ではない。
先ず考えなければならないのは「シュレック2」という作品は、オリジナル作品ではなく、様々な童話や名画の有名なシークエンスを模倣する事を目的としたパロディ映画である。と言うことである。
勿論、所謂パロディ映画がヒットすること自体は全く問題ではない。寧ろ「シュレック2」のヒットは、従来日陰の存在であったパロディ映画というジャンルに新たな光を当てるという重要な意味を持っている、とも言える。
しかし、だ、モノには限度と言うものがある。
パロディ作品がネタにしているオリジナル作品以上にヒットするのは、いかがなものか、とわたしは思うのだ。
勿論「シュレック」シリーズには、「みにくいシュレック」と言うれっきとした原作絵本があるし、「シュレック」シリーズの基本プロット自体はオリジナルなのだが、「シュレック2」は、そのオリジナルなプロットを描く事より、多くの映画や童話のシーンを模倣する事に力を入れ、それを作品の特徴的コンセプトとしているのだ。
例えば「新サイコ」が「サイコ」や「鳥」以上のヒットを飛ばし、「スペースボール」が「スター・ウォーズ」を打ち負かし、「ホット・ショット」が「トップガン」を抜き、「ローデッド・ウェポン1」が「リーサル・ウェポン」や「ダーティ・ハリー」をぶち抜き、「カジノ・ロワイヤル」が本家「007」シリーズを凌駕しても良いのだろうか。
わたしは嫌だ。
わたしは、今まで日陰の存在で、2本立興行の2本目であったり、場末の劇場で細々と恥しげに公開されていたり、マニアックな映画ファンが人知れずニヤニヤと楽しんでいたパロディ映画が、白日の下堂々と公開され、一般の観客にも圧倒的に支持され、しかも興収第一位を更新し続けるのは、問題ではないか、と考えるのだ。
わたしはオリジナル作品がヒットするのを見たいのだ!
ハリウッドにおいてもリスクがあるオリジナル企画ではなく、二匹目の泥鰌を狙う続編やリメイク企画が頻発している。
ハリウッド・メジャー作品がオリジナル企画ではなく、ヒットし易い安易な企画ばかりになってしまう事をわたしは真剣に憂慮している。
これは日本映画界にも言えるのだ。テレビ番組の延長的な作品が次々とヒットしてしまう事にも憂慮してしまう。
リスキーだろうが、稚拙だろうがなんだろうが、スピリッツ溢れる素晴らしいオリジナル作品をわたしは観たいのだ!
2.「シュレック2」は私怨を具現化した作品である。
映画とその映画を取り巻く環境は別物である。
出演者がアルコール依存症だろうと犯罪者だろうと、製作者が思想的に偏っていようと、観客が俎上に乗せるのは映画そのものである。背景や環境がどうだろうと、映画の評価は変わってはならない。
しかし「シュレック2」を考える場合、マイケル・アイズナーとジェフリー・カッツェンバーグの関係がムクムクと頭を擡げてくる。
1980年台後半までジリ貧だったディズニー・アニメの凋落を救ったのは誰あろうカッツェンバーグだったのだ。
カッツェンバーグは「リトル・マーメイド(89)」「美女と野獣(91)」「アラジン(92)」「ライオン・キング(94)」と立て続けにヒットを飛ばし、ディズニー・アニメを救い、ディズニーの一時代を築いたのだ。
しかし現ディズニー会長アイズナーにクビにされてしまう。
転んでも只では起きないカッツェンバーグは、各メディアからのオファーを一蹴し、スティーヴン・スピルバーグとデビッド・ゲフィンに声をかけドリームワークスSKG(因みにSKGとは、スピルバーグ、カッツェンバーグ、ゲフィンのイニシャルである)を設立した。ドリームワークスSKGでは、実写部門はスピルバーグ、音楽部門はゲフィン、アニメ部門はカッツェンバーグが指揮を執っているのだ。
以来、ドリームワークスSKGのアニメ部門の責任者カッツェンバーグはディズニー打倒を目指しており、尽く反ディズニー的政策を取っているのだ。
そんなカッツェンバーグの指揮の下、「シュレック2」では、ディズニーをイメージさせるキャラクターをトコトンこけにし迫害しているのだ。
別に作品の裏の目的や製作者の意向が作品の表面に見え隠れするのは構わない。
しかし、だ、子供が楽しみにするような作品の根底に、怨みつらみが見え隠れして良いのだろうか。
そして、そんな作品がヒットして良いのだろうか。
そんな作品を見て子供たちが育って良いのだろうか。
わたしは嫌だ!
わたしは、夢と希望が溢れるディズニーのクラシック作品で子供たちが育って欲しいのだ!
そんな中、「シュレック2」の北米版DVDが「Mr.インクレディブル」北米公開日にあわせて2004/11/05に、国内版DVDは、Mr.インクレディブル」日本公開直前の2004/11/19にリリースされる。
因みに「シュレック」の北米版DVDは、「モンスターズ・インク」の北米公開日にリリースされた。
ご承知の通り、「Mr.インクレディブル」「モンスターズ・インク」はディズニー配給/ピクサー製作作品である。
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