2004/11/04 東京六本木
「ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7」で「ソウ」を観た。
目覚めたら老朽化したバスルーム
足首には鋼鉄の鎖
対角線上にもう一人の男
間には自殺死体・・・・
このノコギリは何に使うのか?
(「ソウ」キャッチコピーより引用)
興味があるなら、今すぐ劇場に走れ!
それが「ソウ」を楽しむ最善の手なのだ!
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
本作「ソウ」は、2人の若者が20日足らずで撮り上げた、低予算サスペンス映画である。
しかしながら本作は、いくら低予算映画だと言っても、クオリティは一般のハリウッド作品と比較して全くと言って良いほど遜色が無い。
構築された世界観(美術)も素晴らしく、演出(演技)も順当で的確。従来のワン・アイデア、ワン・シチュエーションから生まれた低予算映画とは格段の差を感じる程の素晴らしい作品に仕上がっている。
とは言うものの気になる点が無い訳ではなく、例えば、低予算のせいかどうかはわからないが、屋外のシーンがほとんど無く、室内やセットからカメラが出ないのが気になった。勿論これは、観客の閉塞感を煽る戦略的な手法かも知れないのだが。
あとは早回しの多用が気になった。勿論限られたシークエンスに限定されているのだが、これについてわたしは否定的なスタンスを取らせていただく。
そして、言うまでも無いことなのだが、脚本がよく練られている。その伏線の数々がいろいろな事実を指し示す構成なのだが、それらの伏線も指し示す先の事実も的確で、観ていて楽しい作品に仕上がっている。
また、心憎くも微笑ましいミス・デレクションの数々をも楽しめる作品にも仕上がっているのが嬉しい。
ホラー的、スプラッタ的な描写もそれほど酷いものではないので、是非多くの方に観ていただきたい作品だと思う。
一般的に「CUBE」ミート「SE7EN」と言われているようだが、勿論本作の内容からそう言っているのだと思うし、プロット的には「CUBE」や「SE7EN」のコンセプトを借用してい感は否めないのだが、わたし的には「テープ」あたりも仲間に入れて欲しいような気がした。
また本作の話題性も十分で、「全米中止バージョン」と「全米公開バージョン」という二つのバージョンがある、と言うだけで、ドキドキワクワクしてしまうような観客もたくさんいると思うし、「全米中止バージョン」を観たい!と考える観客も多いだろう。
因みに、この「全米中止バージョン」は、日本国内では「第20回東京国際ファンタスティック映画祭」のオールナイト企画で1回だけ上映されたのも記憶に新しい。
余談だが、わたしは翌日の「Zガンダム」当日券に並ぶ為、「ソウ」を断念した口である。
とにかく、何度も言うようだが本作「ソウ」は、今すぐ劇場に走れ!的な作品である事は間違いない。
「ソウ」に関心があるのなら、出来るだけ早めに観ることを強くオススメするのだ。
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
ところで、本作のアイデアを聞いた際、思い出したのは、フレドリック・ブラウンの短編小説「闘技場」である。
関心がある方は是非読んでいただきたいと思う。
(「スポンサーから一言」に収録 創元SF文庫/東京創元社 ISBN: 4488605044)
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
ところで、世の中には、結末に何某の「サプライズ」を含んだ映画がある。例えば古くは「サイコ」や「猿の惑星」から「クライング・ゲーム」や「シックス・センス」をはじめとするM・ナイト・シャマランの作品等々、枚挙に遑が無い。
そして、その「サプライズ」に至るひとつのプロットを一般的に「オチ」と呼び、その「オチ」を晒す事をわれわれは象徴的に「ネタバレ」と呼んでいる。
1992年に公開された「クライング・ゲーム」と言うイギリス映画は、一連のM・ナイト・シャマラン作品のように「結末(秘密)を他の人に言わないで下さい」というお願いがあった訳ではないのだが、批評家もレビューにその「秘密」を書かず、全ての観客も口を閉ざし、その「秘密」を語る者はいなかったのである。
そう、批評家を含む全ての観客は「クライング・ゲーム」の「秘密」を自分の「秘密」であるかのように扱ったのである。
世の中には全ての観客に愛される「幸せな映画」もあるのだ。
まだまだ人間も捨てたものではない、と思う瞬間だ。
願わくば「ソウ」もそんな「幸せな映画」の一本になっていただきたい、と思う次第なのだ。
「ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7」で「ソウ」を観た。
目覚めたら老朽化したバスルーム
足首には鋼鉄の鎖
対角線上にもう一人の男
間には自殺死体・・・・
このノコギリは何に使うのか?
(「ソウ」キャッチコピーより引用)
興味があるなら、今すぐ劇場に走れ!
それが「ソウ」を楽しむ最善の手なのだ!
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本作「ソウ」は、2人の若者が20日足らずで撮り上げた、低予算サスペンス映画である。
しかしながら本作は、いくら低予算映画だと言っても、クオリティは一般のハリウッド作品と比較して全くと言って良いほど遜色が無い。
構築された世界観(美術)も素晴らしく、演出(演技)も順当で的確。従来のワン・アイデア、ワン・シチュエーションから生まれた低予算映画とは格段の差を感じる程の素晴らしい作品に仕上がっている。
とは言うものの気になる点が無い訳ではなく、例えば、低予算のせいかどうかはわからないが、屋外のシーンがほとんど無く、室内やセットからカメラが出ないのが気になった。勿論これは、観客の閉塞感を煽る戦略的な手法かも知れないのだが。
あとは早回しの多用が気になった。勿論限られたシークエンスに限定されているのだが、これについてわたしは否定的なスタンスを取らせていただく。
そして、言うまでも無いことなのだが、脚本がよく練られている。その伏線の数々がいろいろな事実を指し示す構成なのだが、それらの伏線も指し示す先の事実も的確で、観ていて楽しい作品に仕上がっている。
また、心憎くも微笑ましいミス・デレクションの数々をも楽しめる作品にも仕上がっているのが嬉しい。
ホラー的、スプラッタ的な描写もそれほど酷いものではないので、是非多くの方に観ていただきたい作品だと思う。
一般的に「CUBE」ミート「SE7EN」と言われているようだが、勿論本作の内容からそう言っているのだと思うし、プロット的には「CUBE」や「SE7EN」のコンセプトを借用してい感は否めないのだが、わたし的には「テープ」あたりも仲間に入れて欲しいような気がした。
また本作の話題性も十分で、「全米中止バージョン」と「全米公開バージョン」という二つのバージョンがある、と言うだけで、ドキドキワクワクしてしまうような観客もたくさんいると思うし、「全米中止バージョン」を観たい!と考える観客も多いだろう。
因みに、この「全米中止バージョン」は、日本国内では「第20回東京国際ファンタスティック映画祭」のオールナイト企画で1回だけ上映されたのも記憶に新しい。
余談だが、わたしは翌日の「Zガンダム」当日券に並ぶ為、「ソウ」を断念した口である。
とにかく、何度も言うようだが本作「ソウ」は、今すぐ劇場に走れ!的な作品である事は間違いない。
「ソウ」に関心があるのなら、出来るだけ早めに観ることを強くオススメするのだ。
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ところで、本作のアイデアを聞いた際、思い出したのは、フレドリック・ブラウンの短編小説「闘技場」である。
関心がある方は是非読んでいただきたいと思う。
(「スポンサーから一言」に収録 創元SF文庫/東京創元社 ISBN: 4488605044)
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ところで、世の中には、結末に何某の「サプライズ」を含んだ映画がある。例えば古くは「サイコ」や「猿の惑星」から「クライング・ゲーム」や「シックス・センス」をはじめとするM・ナイト・シャマランの作品等々、枚挙に遑が無い。
そして、その「サプライズ」に至るひとつのプロットを一般的に「オチ」と呼び、その「オチ」を晒す事をわれわれは象徴的に「ネタバレ」と呼んでいる。
1992年に公開された「クライング・ゲーム」と言うイギリス映画は、一連のM・ナイト・シャマラン作品のように「結末(秘密)を他の人に言わないで下さい」というお願いがあった訳ではないのだが、批評家もレビューにその「秘密」を書かず、全ての観客も口を閉ざし、その「秘密」を語る者はいなかったのである。
そう、批評家を含む全ての観客は「クライング・ゲーム」の「秘密」を自分の「秘密」であるかのように扱ったのである。
世の中には全ての観客に愛される「幸せな映画」もあるのだ。
まだまだ人間も捨てたものではない、と思う瞬間だ。
願わくば「ソウ」もそんな「幸せな映画」の一本になっていただきたい、と思う次第なのだ。
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