2004/11/02 東京新橋「ヤクルトホール」で「パニッシャー」の試写を観た。

法の目をかいくぐり、裏社会をも支配する資産家ハワード・セイント(ジョン・トラボルタ)。ある夜、溺愛する息子ボビー(ジェームズ・カルピネロ)が、密輸取引現場でFBIによって射殺された。怒り狂うセイントは妻リヴィア(ローラ・ハリング)と共に復讐を誓う。やがて、ボビーを死に至らしめた一人の男が浮かび上がる。
それはFBI潜入捜査官フランク・キャッスル(トム・ジェーン)だった。
今回のミッションを最後に潜入捜査官を引退したキャッスルは、親族を父(ロイ・シャイダー)の住居に集めパーティを楽しんでいた。
そこをセイント一味が襲撃、家族は皆殺しにされてしまう。奇跡的に命を取り留めたキャッスルは、セイントを法律で罰せないと悟り、自らの手で制裁を下す決意を固めるのだった・・・・。
(オフィシャル・サイト/チラシよりほぼ引用)

先ずは、本作「パニッシャー」がマーベル・コミックスを原作とした映画化作品であることを忘れていただきたい。

そう考えた場合、本作は素晴らしく正しい見事な復讐劇という姿をわれわれに見せてくれる。
勿論、わたし的には何点か気になる点はあるものの、本作は最早クラシックの風格を持つ、復讐劇の見本とも言える素晴らしい作品に仕上がっているのだ。
例えば「ジャッカルの日」が暗殺モノの教科書として活用されていると言うならば、本作「パニッシャー」は復讐モノの教科書として活用されるべき作品なのかも知れない。

そして本作「パニッシャー」は何も足さなくても、何も引かなくても復讐劇の王道的傑作に仕上がっているのだ。何しろ復讐劇の王道的なプロットを、復讐劇の文法を見事に利用し、素晴らしくも正しい復讐劇の傑作として映画化されている訳だ。

キャストは何と言ってもロイ・シャイダーだ。
ロイ・シャイダーはフランク・キャッスル(トム・ジェーン)の父親役を演じている。物語上、父親の背景は語られていないが、舞台背景や住居の様子、銃器がディスプレイされているリビング・ルーム等を考えると、どこか海の近くの警察署長を勤めていた人物のような、または麻薬組織を追い詰めていたような、映画的記憶が蘇ってくる。そんなロイ・シャイダーの使い方が素晴らしく正しいのだ。

また、ハワード・セイント(ジョン・トラボルタ)の親友で腹心、ゲイでサディストのクエンティン・グラスを演じたウィル・パットンも素晴らしい。トラボルタの親友でクエンティンと言う名前のサディスティックなゲイの役柄を登場させている点も何とも素晴らしいし、ウィル・パットン自身も強烈な印象を観客に与えている。

また、復讐鬼に化した後のフランク・キャッスル(トム・ジェーン)の隣人を演じたベン・フォスター(デイブ)、ジョン・ピネット(バンポ)、レベッカ・ローミン=ステイモス(ジョアン)のトリオも良かった。ジョアンが登場し、ジョアンとフランクの関係に一抹の不安を感じたが、わたしの心配は杞憂であった。
わかっているじゃないか!ジョナサン・ヘイズリー!!

また全身を筋肉の鎧で包んだ暗殺者ザ・ロシアンを演じたケヴィン・ナッシュも強烈である。そんなザ・ロシアンとフランク・キャッスルのバトルはもしかすると映画史に残る(嘘)バトルではないかと思うのだ。どうだろう、MTVのベスト・バトル賞あたりは取れないだろうか。
ロバート・ショウとショーン・コネリーのバトルにも匹敵する素晴らしいバトルだと思う。

さて、フランク・キャッスルを演じたトム・ジェーン(トーマス・ジェーン)は何と言っても格好良い。寡黙で無言実行なリアルな存在感を持って好演している。拳銃の弾はバシバシ当たるし、ボコボコ殴られるあたりもリアルでよろしいのだ。
その格好良さは、ブルース・キャンベルとかカート・ラッセルとか、メル・ギブソンとかの格好良い時代の格好良さに通ずるのだ。

さて、ハワード・セイントを演じたジョン・トラボルタだが、これまた良い感じである。「パルプ・フィクション」のビンセントが成り上がった後、つまりビンセントの将来のような印象をも受ける役柄なのである。
そんなセイントの親友クエンティン(ウィル・パットン)や、妻リヴィア・セイント(ローラ・ハリング)に対する仕打ちが素晴らしい。
わかっているじゃないか!ジョナサン・ヘイズリー!!

監督のジョナサン・ヘイズリーは本作画監督第一作なのだが、脚本家上がりの監督らしく脚本がツボを押さえて素晴らしく、復讐劇の文法を突っ走る素晴らしいものを感じる。
演出も順当で、アクション・シークエンスも手に汗握る素晴らしい出来である。

おそらく、こんな作品をこんなに褒める人はわたし位ではないかと思うが、本作「パニッシャー」は、本当に正しいアクション復讐劇なのだ。もう本当に復讐劇の王道を突っ走っているのだ。

これがマーベル・コミックス原作でなければ、と、オリジナル作品だったら、と思う次第なのだ。

ちなみにこの秋公開される「マイ・ボディガード」もある意味復讐劇なのだが、爽快感から言うと本作「パニッシャー」の方が数段上である。とは言うものの「マイ・ボディガード」も素晴らしい作品である。2本並べて是非観て欲しいと思うのだ。

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余談だが、本作「パニッシャー」の東京のメイン劇場は「ニュー東宝シネマ」なのである。
わかっているじゃないか!東宝!!
そんな感じのスピリッツ溢れる傑作なのだ!!

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tkr

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