「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」
2004年10月22日 映画2004/10/15 東京新宿「新宿ミラノ座」
「東京国際ファンタスティック映画祭2004」のオールナイト企画『激突!! 亜細亜颱風 韓流VS.タイ道』で上映されたタイ映画「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」を観た。
アクション危険度・極限値!もはやノー・ワイヤー&ノー・CGは当たり前!「マッハ!」のアクション監督が、「マッハ!」を超える極限の危険に挑む。
麻薬密売組織の首領を逮捕したものの、その最中、同僚刑事を失った刑事ダン・チューポン(ディアウ)は、自らを責め意気消沈していた。
それを見かねたダンの妹は、自分たちと一緒に国境付近の小さな村を訪問しないかと誘いかける。
それは、タイを代表するムエタイ、サッカー、体操、ラグビー、テコンドー、ボクシング、セパタクローのナショナルチャンピオン達が小さな村々をスポーツ慰問するボランティア活動だった。
スポーツ用品や、衣類、食料、オモチャ等様々な物資を村人たちに配るスポーツ慰問団。
しかし突然、村に武装軍団が現れ、多くの村人たちを射殺しつつ、あっと言う間に村を占拠してしまう。
武装軍団は村全体を人質として、タイ政府に麻薬密売組織首領の解放を要求する。
武装軍団に捕らえられた刑事とナショナルチャンピオン達は、村の奪還のために立ち上がるが・・・・。
本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は、WEBで予告編が公開されるや否や、各方面で話題沸騰の超絶アクション映画である。
事実、わたしも予告編を見て驚いた口で、「東京国際ファンタスティック映画祭」で本作が上映される事を知り、即効チケットゲットに走った次第である。
本作の制作の背景は「マッハ!」につながり、「マッハ!」の監督だったプラッチャヤー・ピンゲ−オが制作を務め、「マッハ!」のアクション監督だったパンナー・リットグライが監督を務めており、「マッハ!」以上に身体を張ったアクションが連続するアクション映画に仕上がっていた。
そしてその超絶アクションは「マッハ!」同様、ノー・ワイヤー&ノー・CGが貫かれ、文字通り身体がいくつあっても足りないようなアクション・シークエンスが連続する。
因みに監督のパンナー・リットグライはタイのブルース・リーと呼ばれる伝説的なアクション・スターで、タイのアクション映画に多くの影響を与えた存在である。
また本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」のコンセプトのひとつになっている、ムエタイ、サッカー、体操、ラグビー、テコンドー、ボクシング、セパタクロー等の実際の選手を起用したアクションは、武装軍団を倒す事を目的としたアクションなのだが、その動きは美しい上にコミカルである、観客を驚嘆させ、感心させられながら最後には熱くなってしまうという楽しいアクションに仕上がっている。
やはり本物の一流アスリート達を起用した事は、上手く機能しており、そのアクションは、勿論動きが本物だと言う事もあるのだが、その美しいアクションを戦いに転化させるすばらしい演出がついている、と言う事なのである。
また、それらアスリート達以外でも、例えばセパタクローの選手と絡む片足の籠職人が松葉杖を利用して繰り出す蹴り(オーバーヘッド・キック)や、幼児といっても良いほどのムエタイ少女のトニー・ジャーばりのフルコンタクト・アクション、そしてムエタイ使いの老子様が繰り出すスローモーだが力強い技々はなんとも格好良いのだ。
またオープニング・アクションに相当するトラック・チェイスでは、本当に死人が出そうなアクションの連続で、更にラスト近辺では土手から突っ込んでくるトラックを文字通り間一髪でかわすシーンをはじめとして、スタントマン冥利に尽きるアクションの連続で、あまりのアクションに素直に歓声や拍手が出てしまうような印象を受ける。
ついでに本作では、ガン・アクションも楽しめ、特にダンのすぐ背後からの広角レンズを使用した主観ステディカムの長回しのガン・アクションでは、まるで「バーチャ・コップ」や何かのようなアクションと鋭いカメラ・ワークが楽しめる。
とは言っても、本作に問題が無いのか、と言うとそう言う訳ではなく、爽快で格好良く楽しいアクション映画にしては、人の生き死にが軽く描かれているのが気になった。
尤も、虚構の物語世界の人の生き死にに、いちいち目くじらをたてるのはどうかと思うむきもあろうかと思うが、例えば武装軍団が村を襲うシークエンスでは、逃げ惑う村人が一方的に銃撃を受けバタバタと倒れていくし、武装軍団がタイ政府と交渉するシークエンスでは、彼等は平気で人質を次々と撃ち殺してしまうのだ。
おそらく、その辺りの描写に対してモラル的にどう感じるかで、本作の評価も変わってくるのではないかと思う。
結論として本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は少なくとも、純粋なアクション映画としては白眉な作品だと言えるだろう。
しかし物語はコンセプトはともかく、残念ながらな安直な印象は否定できない。
とは言うものの、物語自体は破綻無くまとまっており、アクションの演出は面白く楽しい。何度も言うが、純粋にアクションを楽しめる素晴らしい作品に仕上がっていると思うのだ。
本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は個人的には、アクション映画ファンにとっての義務と言っても良い程の必修作品だと言えるのではないだろうか。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
スタッフ
制作:プラッチャヤー・ピンゲ−オ
監督:パンナー・リットグライ
キャスト
ディアウ
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
余談だが、監督プラッチャヤー・ピンゲ−オ、アクション監督パンナー・リットグライ、主演トニー・ジャーで制作しているタイ映画「トム・ヤム・クン(原題)」も凄いらしい。
タイからオーストラリアに留学しているトニー・ジャーの妹が、何らかの事件に巻き込まれ失踪してしまい、妹失踪の謎を追って象使いトニー・ジャーがオーストラリアに渡ると言う物語らしい。(2005/10/15追記 妹の失踪ではなく、象の誘拐のため、トニー・ジャーがオーストラリアへ渡る。)
2005/10/15追記
「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は、「七人のマッハ!」と言うタイトルで、2005年12月に公開される事になりました。
「トム・ヤム・クン!」
http://diarynote.jp/d/29346/20051014.html
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「東京国際ファンタスティック映画祭2004」のオールナイト企画『激突!! 亜細亜颱風 韓流VS.タイ道』で上映されたタイ映画「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」を観た。
アクション危険度・極限値!もはやノー・ワイヤー&ノー・CGは当たり前!「マッハ!」のアクション監督が、「マッハ!」を超える極限の危険に挑む。
麻薬密売組織の首領を逮捕したものの、その最中、同僚刑事を失った刑事ダン・チューポン(ディアウ)は、自らを責め意気消沈していた。
それを見かねたダンの妹は、自分たちと一緒に国境付近の小さな村を訪問しないかと誘いかける。
それは、タイを代表するムエタイ、サッカー、体操、ラグビー、テコンドー、ボクシング、セパタクローのナショナルチャンピオン達が小さな村々をスポーツ慰問するボランティア活動だった。
スポーツ用品や、衣類、食料、オモチャ等様々な物資を村人たちに配るスポーツ慰問団。
しかし突然、村に武装軍団が現れ、多くの村人たちを射殺しつつ、あっと言う間に村を占拠してしまう。
武装軍団は村全体を人質として、タイ政府に麻薬密売組織首領の解放を要求する。
武装軍団に捕らえられた刑事とナショナルチャンピオン達は、村の奪還のために立ち上がるが・・・・。
本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は、WEBで予告編が公開されるや否や、各方面で話題沸騰の超絶アクション映画である。
事実、わたしも予告編を見て驚いた口で、「東京国際ファンタスティック映画祭」で本作が上映される事を知り、即効チケットゲットに走った次第である。
本作の制作の背景は「マッハ!」につながり、「マッハ!」の監督だったプラッチャヤー・ピンゲ−オが制作を務め、「マッハ!」のアクション監督だったパンナー・リットグライが監督を務めており、「マッハ!」以上に身体を張ったアクションが連続するアクション映画に仕上がっていた。
そしてその超絶アクションは「マッハ!」同様、ノー・ワイヤー&ノー・CGが貫かれ、文字通り身体がいくつあっても足りないようなアクション・シークエンスが連続する。
因みに監督のパンナー・リットグライはタイのブルース・リーと呼ばれる伝説的なアクション・スターで、タイのアクション映画に多くの影響を与えた存在である。
また本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」のコンセプトのひとつになっている、ムエタイ、サッカー、体操、ラグビー、テコンドー、ボクシング、セパタクロー等の実際の選手を起用したアクションは、武装軍団を倒す事を目的としたアクションなのだが、その動きは美しい上にコミカルである、観客を驚嘆させ、感心させられながら最後には熱くなってしまうという楽しいアクションに仕上がっている。
やはり本物の一流アスリート達を起用した事は、上手く機能しており、そのアクションは、勿論動きが本物だと言う事もあるのだが、その美しいアクションを戦いに転化させるすばらしい演出がついている、と言う事なのである。
また、それらアスリート達以外でも、例えばセパタクローの選手と絡む片足の籠職人が松葉杖を利用して繰り出す蹴り(オーバーヘッド・キック)や、幼児といっても良いほどのムエタイ少女のトニー・ジャーばりのフルコンタクト・アクション、そしてムエタイ使いの老子様が繰り出すスローモーだが力強い技々はなんとも格好良いのだ。
またオープニング・アクションに相当するトラック・チェイスでは、本当に死人が出そうなアクションの連続で、更にラスト近辺では土手から突っ込んでくるトラックを文字通り間一髪でかわすシーンをはじめとして、スタントマン冥利に尽きるアクションの連続で、あまりのアクションに素直に歓声や拍手が出てしまうような印象を受ける。
ついでに本作では、ガン・アクションも楽しめ、特にダンのすぐ背後からの広角レンズを使用した主観ステディカムの長回しのガン・アクションでは、まるで「バーチャ・コップ」や何かのようなアクションと鋭いカメラ・ワークが楽しめる。
とは言っても、本作に問題が無いのか、と言うとそう言う訳ではなく、爽快で格好良く楽しいアクション映画にしては、人の生き死にが軽く描かれているのが気になった。
尤も、虚構の物語世界の人の生き死にに、いちいち目くじらをたてるのはどうかと思うむきもあろうかと思うが、例えば武装軍団が村を襲うシークエンスでは、逃げ惑う村人が一方的に銃撃を受けバタバタと倒れていくし、武装軍団がタイ政府と交渉するシークエンスでは、彼等は平気で人質を次々と撃ち殺してしまうのだ。
おそらく、その辺りの描写に対してモラル的にどう感じるかで、本作の評価も変わってくるのではないかと思う。
結論として本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は少なくとも、純粋なアクション映画としては白眉な作品だと言えるだろう。
しかし物語はコンセプトはともかく、残念ながらな安直な印象は否定できない。
とは言うものの、物語自体は破綻無くまとまっており、アクションの演出は面白く楽しい。何度も言うが、純粋にアクションを楽しめる素晴らしい作品に仕上がっていると思うのだ。
本作「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は個人的には、アクション映画ファンにとっての義務と言っても良い程の必修作品だと言えるのではないだろうか。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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スタッフ
制作:プラッチャヤー・ピンゲ−オ
監督:パンナー・リットグライ
キャスト
ディアウ
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余談だが、監督プラッチャヤー・ピンゲ−オ、アクション監督パンナー・リットグライ、主演トニー・ジャーで制作しているタイ映画「トム・ヤム・クン(原題)」も凄いらしい。
タイからオーストラリアに留学しているトニー・ジャーの妹が、何らかの事件に巻き込まれ失踪してしまい、妹失踪の謎を追って象使いトニー・ジャーがオーストラリアに渡ると言う物語らしい。(2005/10/15追記 妹の失踪ではなく、象の誘拐のため、トニー・ジャーがオーストラリアへ渡る。)
2005/10/15追記
「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」は、「七人のマッハ!」と言うタイトルで、2005年12月に公開される事になりました。
「トム・ヤム・クン!」
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