2004/10/15 東京新宿「新宿ミラノ座」
「東京国際ファンタスティック映画祭2004」のオールナイト企画『激突!! 亜細亜颱風 韓流VS.タイ道』で上映されたタイ映画「ガルーダ」を観た。
舞台挨拶は、監督のモントン・アラヤンクン、プロダクションデザインのヴォラウ・ヌンゴン。
バンコクの地下鉄工事現場で謎の化石が発見された。
タイ政府の依頼で調査に訪れた科学者リーナは、亡き父が追い求めていた伝説の神鳥ガルーダの化石ではないか、と考える。
リーナはこの歴史的発見の公表を望むが、民衆のガルーダ信仰を揺るがすことを恐れたタイ政府は現場を封鎖、その事実を隠蔽しようとする。
そんな中、太古の昔に幽閉された一体のガルーダが長く深い眠りから目覚め、人食い獣と化し、タイ軍特殊部隊に襲い掛かってきた。
リーナ等科学者とタイ軍特殊部隊は急遽団結、「最強の鳥の王」ガルーダに命がけの闘いを挑む! (「東京ファンタ」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
タイ映画界の技術力の高さに驚かされた。
わたしが「ガルーダ」を観た時点で、観た事があるタイ映画は「マッハ!」と「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」(後日レビュー予定)位であった。
そんな経験からか、わたしはタイ映画の技術に対して漠然とした先入観を持っていたのだ。
それは、ジャッキー・チェンやツイ・ハークが描く香港映画に登場する村々のイメージや、それをフィルムに収めた画質のテイストと、「マッハ!」や「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」に登場する村々のイメージやフィルムのテイストには類似点が多いことから、おそらくタイ映画の技術力は当時の香港レベルではないかと思っていた訳である。
しかし「ガルーダ」の技術レベルは、わたしの先入観を遥かに凌ぐものであった。
そのレベルは日本映画どころではなく、ハリウッド映画をも凌ぐ勢いなのだ。
私見だが、CGIと人間が同じ画面で戦うような映像のクオリティは、最近作では「バイオ・ハザードII アポカリプス」や「ヴァン・ヘルシング」等の作品をも凌いでいる。
しかも、本作「ガルーダ」は、モントン・アラヤンクン監督の初監督作品だ、というのにも驚かされた。
初監督作品で、このような大掛かりな、技術レベルを要求される作品を撮ってしまう、または出資してしまう事に驚きなのだ。
物語は地下鉄工事現場と言う閉鎖された空間で、CGIで描かれた一体の「ガルーダ」とタイ軍特殊部隊が戦う、と言うもので、わかりやすく言うと「エイリアン」や「ジュラシック・パーク」のような舞台設定とテイストを持つ作品だと言えるのではないだろうか。
物語は残念ながらありがちなものなのだが、演出もカット割りも構図もソツが無く、なによりCGIキャラクターと人間や背景との融和が素晴らしい。
私見だが、例えばハリウッド大作「ヴァン・ヘルシング」でさえ、CGIキャラクターと人間や背景との間に違和感や齟齬が感じられると言うのに、「ガルーダ」では、そんな違和感がほとんど気にならないのである。
しかもガルーダが格好良い。
余談だが、タイに「デビルマン」の権利を売るのも、ありかも知れない、と個人的に思った。
わたしがいつも言うように、日本人として香港映画や韓国映画に嫉妬や羨望を感じる昨今だが、それがタイ映画にまで広がってしまった訳なのだ、危うし!日本映画!!
邦画は一体どうなってしまうのだろうか。
例えば「マッハ!」や「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」のような、語弊はあるが、粗雑だが勢いがあるような作品ではなく、CGIを駆使し、大胆で緻密な娯楽作品を制作することができるタイ映画に羨望と恐怖を禁じえないのだ。
何しろ本作「ガルーダ」は、普通に鑑賞できる普通の娯楽作品に仕上がっているのだ。
下手をすると、ハリウッド映画だよ、と言って公開しても誰も気がつかないのではないだろうか。そんなVFXや作品自体のクオリティの高い娯楽作品なのだ。
タイ映画の実力を測る意味からも、機会があれば、是非観て欲しい作品である。
観る人が観れば、タイ映画の底力を垣間見ることが出来る、ある意味恐ろしい作品に姿を変えてしまうかもしれない。
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因みにこの作品はタイ初の「怪獣映画」だそうである。
日本人が考える所謂「怪獣映画」とは異なり、前述したように「エイリアン」や「ジュラシック・パーク」のような作品だと思う。もしかしたらタイでは「エイリアン」のような作品も「怪獣映画」とカテゴライズされるのかな、と思った。
ポスター等のアートワークを見ると、「デビルマン」ミート「ガッチャマン」的な印象を受けた。
驚いたのは、監督のモントン・アラヤンクンやプロダクションデザイナーのヴォラウ・ヌンゴンらの舞台挨拶の中で、「東京ファンタ」のスクリーンで、「東京ファンタ」の観客の前で、自分たちの作品が上映される事に対する喜びがひしひしと伝わって来たことである。
「東京ファンタ」は彼等にとっての「夢の舞台」だった訳である。
かつて、ホラーやスプラッタ、香港ノワールや初期のワイヤー・アクション、マサラ・ムービーや韓流、タイ映画と、時代に先駆け様々なジャンルの先駆的作品や鬼子のような作品を次々と日本や世界に紹介してきた「東京国際ファンタスティック映画祭」の存在意義とその影響力を再確認した思いがする。
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スタッフ
監督・脚本:モントン・アラヤンクン
美術:ヴォラウ・ヌンゴン
キャスト
ソンラン・テピタック
サラ・レッグ
ダニエル・B・フレイザー
ヤニー・トラモン
チャラニ・ナ・ソンクラ
「ガルーダ」ポスター
http://tokyofanta.com/tfanta_saku/image/m040826223348.jpg
「東京国際ファンタスティック映画祭2004」のオールナイト企画『激突!! 亜細亜颱風 韓流VS.タイ道』で上映されたタイ映画「ガルーダ」を観た。
舞台挨拶は、監督のモントン・アラヤンクン、プロダクションデザインのヴォラウ・ヌンゴン。
バンコクの地下鉄工事現場で謎の化石が発見された。
タイ政府の依頼で調査に訪れた科学者リーナは、亡き父が追い求めていた伝説の神鳥ガルーダの化石ではないか、と考える。
リーナはこの歴史的発見の公表を望むが、民衆のガルーダ信仰を揺るがすことを恐れたタイ政府は現場を封鎖、その事実を隠蔽しようとする。
そんな中、太古の昔に幽閉された一体のガルーダが長く深い眠りから目覚め、人食い獣と化し、タイ軍特殊部隊に襲い掛かってきた。
リーナ等科学者とタイ軍特殊部隊は急遽団結、「最強の鳥の王」ガルーダに命がけの闘いを挑む! (「東京ファンタ」オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
タイ映画界の技術力の高さに驚かされた。
わたしが「ガルーダ」を観た時点で、観た事があるタイ映画は「マッハ!」と「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」(後日レビュー予定)位であった。
そんな経験からか、わたしはタイ映画の技術に対して漠然とした先入観を持っていたのだ。
それは、ジャッキー・チェンやツイ・ハークが描く香港映画に登場する村々のイメージや、それをフィルムに収めた画質のテイストと、「マッハ!」や「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」に登場する村々のイメージやフィルムのテイストには類似点が多いことから、おそらくタイ映画の技術力は当時の香港レベルではないかと思っていた訳である。
しかし「ガルーダ」の技術レベルは、わたしの先入観を遥かに凌ぐものであった。
そのレベルは日本映画どころではなく、ハリウッド映画をも凌ぐ勢いなのだ。
私見だが、CGIと人間が同じ画面で戦うような映像のクオリティは、最近作では「バイオ・ハザードII アポカリプス」や「ヴァン・ヘルシング」等の作品をも凌いでいる。
しかも、本作「ガルーダ」は、モントン・アラヤンクン監督の初監督作品だ、というのにも驚かされた。
初監督作品で、このような大掛かりな、技術レベルを要求される作品を撮ってしまう、または出資してしまう事に驚きなのだ。
物語は地下鉄工事現場と言う閉鎖された空間で、CGIで描かれた一体の「ガルーダ」とタイ軍特殊部隊が戦う、と言うもので、わかりやすく言うと「エイリアン」や「ジュラシック・パーク」のような舞台設定とテイストを持つ作品だと言えるのではないだろうか。
物語は残念ながらありがちなものなのだが、演出もカット割りも構図もソツが無く、なによりCGIキャラクターと人間や背景との融和が素晴らしい。
私見だが、例えばハリウッド大作「ヴァン・ヘルシング」でさえ、CGIキャラクターと人間や背景との間に違和感や齟齬が感じられると言うのに、「ガルーダ」では、そんな違和感がほとんど気にならないのである。
しかもガルーダが格好良い。
余談だが、タイに「デビルマン」の権利を売るのも、ありかも知れない、と個人的に思った。
わたしがいつも言うように、日本人として香港映画や韓国映画に嫉妬や羨望を感じる昨今だが、それがタイ映画にまで広がってしまった訳なのだ、危うし!日本映画!!
邦画は一体どうなってしまうのだろうか。
例えば「マッハ!」や「ボーン・トゥ・ファイト(原題)」のような、語弊はあるが、粗雑だが勢いがあるような作品ではなく、CGIを駆使し、大胆で緻密な娯楽作品を制作することができるタイ映画に羨望と恐怖を禁じえないのだ。
何しろ本作「ガルーダ」は、普通に鑑賞できる普通の娯楽作品に仕上がっているのだ。
下手をすると、ハリウッド映画だよ、と言って公開しても誰も気がつかないのではないだろうか。そんなVFXや作品自体のクオリティの高い娯楽作品なのだ。
タイ映画の実力を測る意味からも、機会があれば、是非観て欲しい作品である。
観る人が観れば、タイ映画の底力を垣間見ることが出来る、ある意味恐ろしい作品に姿を変えてしまうかもしれない。
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因みにこの作品はタイ初の「怪獣映画」だそうである。
日本人が考える所謂「怪獣映画」とは異なり、前述したように「エイリアン」や「ジュラシック・パーク」のような作品だと思う。もしかしたらタイでは「エイリアン」のような作品も「怪獣映画」とカテゴライズされるのかな、と思った。
ポスター等のアートワークを見ると、「デビルマン」ミート「ガッチャマン」的な印象を受けた。
驚いたのは、監督のモントン・アラヤンクンやプロダクションデザイナーのヴォラウ・ヌンゴンらの舞台挨拶の中で、「東京ファンタ」のスクリーンで、「東京ファンタ」の観客の前で、自分たちの作品が上映される事に対する喜びがひしひしと伝わって来たことである。
「東京ファンタ」は彼等にとっての「夢の舞台」だった訳である。
かつて、ホラーやスプラッタ、香港ノワールや初期のワイヤー・アクション、マサラ・ムービーや韓流、タイ映画と、時代に先駆け様々なジャンルの先駆的作品や鬼子のような作品を次々と日本や世界に紹介してきた「東京国際ファンタスティック映画祭」の存在意義とその影響力を再確認した思いがする。
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スタッフ
監督・脚本:モントン・アラヤンクン
美術:ヴォラウ・ヌンゴン
キャスト
ソンラン・テピタック
サラ・レッグ
ダニエル・B・フレイザー
ヤニー・トラモン
チャラニ・ナ・ソンクラ
「ガルーダ」ポスター
http://tokyofanta.com/tfanta_saku/image/m040826223348.jpg
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