2004年12月2日発売予定の「NINTENDO DS」のCF(CM)が公開された。(※1)

 公開された「NINTENDO DS」のCF(CM)は「真白い空間」の中、「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」を着た「Utada」(※2)と「白いテーブル」と「Nintendo DS」本体というシンプルなもので、キャッチ・コピーは「Touch!」である。

 ところで、日本国内で販売された「ファミリーコンピュータ」、「スーパーファミコン」、「ニンテンドウ64」、「ニンテンドーゲームキューブ」等の任天堂の据置型家庭用ゲーム機の中で商標に「ニンテンドウ/ニンテンドー」の文字が付いているのは「ニンテンドウ64」以降であり、しかも「ニンテンドウ64」以降は、北米を中心とした海外のマーケットで同じ商標の英字表記を商標として使用している。(※3)

 そして今冬発売となる「NINTENDO DS/ニンテンドー DS」も同様に、商標に「ニンテンドー」の文字が入っている。(※4)
 これは「ニンテンドウ64」以降続く海外戦略のひとつだと考えられるし、CF(CM)に登場するのが「宇多田ヒカル」ではなく先ごろ北米デビューを果たした「Utada」とクレジットされている事もそれを肯定しているのではないだろうか。

 そして「Utada」の衣裳である。
 何故「Utada」は「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」を着なければならなかったのか。

 先ず単純に考えられるのは、今回のキャッチ・コピーである「Touch!」である。
 これは「NINTENDO DS」に搭載された「タッチ・バネル」に因るコピーで、この「NINTENDO DS」は、搭載された「タッチ・パネル」に触れることにより、新次元のゲーム体験を可能にするゲーム機である、という事を明確に謳っているのだ。

 そして同時に「Touch!」と言うコピーは、「Utada」が「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」を着ていることから、思春期の少年たちが女の子の胸に初めて触れる「ドキドキ感」や「ワクワク感」、そしてその少年たちが女の子の胸の感触を思う「無限の想像力」をも実現するゲーム機だと、言っているのであろう。

 更に「Utada」が着用した、「真白い空間」の中の「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」が暗喩するものは、勿論図案化された「日本の国旗」であり、これにより「NINTENDO DS」を開発したのは日本の企業であることを明示し、その日本の企業任天堂はグローバルな戦略の下、世界中のマーケットを席巻するであろう事を宣言しているのである。

 ついでに「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」により、「NINTENDO DS」は「胸にポッカリと開いた穴」を補完する存在である。と言うことも同時に言っているのである。
 つまり「心を持ったゲーム機」である、と言っているのである。

 そしてこのCF(CM)では、人類が「NINTENDO DS」に「Touch!」することにより、「新たな人類への飛躍」、「新たな人類の誕生」を迎える事をも意味しているのである。
 これはこのCF(CM)の世界観がスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号等の世界観に似ている点や、「赤いワンピース」のシルエットはあたかも「黒いモノリス」のように見える点からもあきらかであろう。(※5)

 更に「真白い空間」の中「胸元に円形の穴が開いた」「赤いワンピース」を着て歩く「Utada」は、「白いディスカバリー号の中」を歩く「違う色のヘルメット」を被り「赤い宇宙服」を着た「ボウマン船長」をも髣髴とさせるし、「胸元の円形の穴」は「ヘルメットが無い宇宙服」を示しているのかも知れない。

 更に深読みすると「NINTENDO DS」のロゴマークには、2画面を意味するO(四角に見える)が縦に2個並んでおり、それは:(コロン)にも見え、CF(CM)ではその:(コロン)がビジュアル的に効果的に使用されている。
 そしてなんと言っても、:(コロン)から想起されるのは、「2001年宇宙の旅」の原題「2001: A Space Odyssey」のタイトルの:(コロン)であろう。(完全に誇大妄想的意見に思えますね)

 さあ君も「NINTENDO DS」に「Touch!」して、ボウマン船長のように、新人類になろう!
 と言う訳なのだ。

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 余談だが、「Utada」の「赤い靴」は同考えても「オズの魔法使い」の「ルビーの靴」をイメージしているのだと思われますが、だとすると「NINTENDO DS」は「オズの大魔王」のメタファーで「インチキ」を意味する事になりかねませんが、その辺はどうなんでしょうね。

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※1 「NINTENDO DS」のCF(CM)は、2004/09/23に「Nintendo DS/登場編」が、2004/09/24には「Nintendo DS/実感編」が公開された。

※2 CF(CM)では「宇多田ヒカル」ではなく「Utada」とクレジットされている。
 「Utada」とは、北米デビューの際の「宇多田ヒカル」のアーティスト名(商標か?)

※3 「ファミリーコンピュータ」は北米では「NES(Nintendo Entertainment System)」、「スーパーファミコン」は「SUPER NES(Super Nintendo Entertainment System)」という商標で販売された。なお「ニンテンドウ64」は「Nintendo 64」、「ニンテンドーゲームキューブ」は「NINTENDO GAMECUBE」である。

※4 「NINTENDO DS」は、任天堂の持運び型家庭用ゲーム機の中で商標に「ニンテンドウ/ニンテンドー」の文字が付く最初のゲーム機となる。

※5 おそらく多くの読者は、「赤いワンピース」が「黒いモノリス」であるとか、「Utada」は「ボウマン船長」だとか、「NINTENDO DS」に触れて新人類になろう、だとかの「NINTENDO DS」のCF(CM)は、スタンリー・キューブリックへのリスペクトでありオマージュであると言う意見は、わたしの誇大妄想的こじ付けだと思う人が多いとわたしは思うが、実際のところ、CF(CM)を製作する広告代理店がその企画を持って企業にプレゼンテーションするような場合は、その辺まで言葉を弄して、プレゼンするのである。
 わたしだって任天堂のお偉方を納得させる為には、その辺の背景を含めた企画を立ててプレゼンすると思います。
 なにしろ、あんな「胸に大きく穴が開いている」ダサダサの「赤いワンピース」を「Utada」に着せる事由が、そして任天堂や「宇多田ヒカル」を納得させることが出来る事由が、広告代理店には必要なんですから。

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