「アイ, ロボット」
2004年9月6日 映画
2004/08/29 東京内幸町(霞ヶ関)イイノホールで開催されていた「GTF2004 トーキョーシネマショー」で「アイ,ロボット」の試写を観た。
アイザック・アシモフによるロボット工学三原則
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
(A robot may not harm a human being, or, through inaction, allow a human being to come to harm.)
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
(A robot must obey the orders given to it by the human beings, except where such orders would conflict with the First Law.)
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
(A robot must protect its own existence, as long as such protection does not conflict the First or Second Law.)
2035年、シカゴ。
今からわずか30年後の近未来、家庭用ロボットが人間のパートナーとして普及している時代。
そしてさらに、革新的な技術による新世代ロボットNS−5型が登場し、新たなロボット社会の夜明けを迎えようとする直前、そのロボットの生みの親であり、ロボット工学の第一人者、アルフレッド・ラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)が死体で発見される。
ラニング博士と親交のあった、シカゴ市警のデル・スプーナー刑事(ウィル・スミス)は、ラニング博士の事件は、自殺ではなく殺人事件だと疑い、現場に潜んでいた最新NS−5型ロボットのサニーを重要参考人として拘留する。
「ロボット3原則」をプログラミングされ、絶対に人間に危害を加えられないはずのロボットが殺人を犯せるのか?
謎を追及するデル・スプーナー刑事とロボット心理学者スーザン・カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)は、やがて・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:アレックス・プロヤス
出演:ウィル・スミス、ブリジット・モイナハン、ジェームズ・クロムウェル、ブルース・グリーンウッド、チー・マクブライド、アラン・テュディック
果たしてロボットは殺人を犯せるのか?
正直なところ、ビジュアルは変わっても、語る物語はいつもと同じ、というような印象を受けた。
「鉄腕アトム」をはじめとして、子供の頃から様々なロボットの物語に接している日本人にとって本作「アイ, ロボット」は決して新しい物語ではなく、最早手垢がついた感のある題材を基にした物語である、と言っても差し支えはないだろう。
特に本作の物語のコンセプトは、手塚治虫の「鉄腕アトム/史上最大のロボット」を原案として現在浦沢直樹が描いている「PLUTO(プルートゥ)」と似ているし、キャラクター的には、ウィル・スミス演じるデル・スプーナー刑事は「鉄腕アトム/人工太陽球の巻」の探偵シャーロック・ホームスパンのような環境下にある。勿論これは最近の「イノセンス」のバトーも同様のキャラクター造型がされているのは周知のことと思う。
また、ビジュアル的には「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の影響をうけた「マトリックス」で使用されたアクションが、またもや使われているし、往年の「トロン」を髣髴とさせるビジュアル・イメージもある。また「スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス」的なデザインも登場するのである。
更に、ロボットの中に芽生える「魂的なモノ」のことを「ゴースト」と表現するにいたっては、オマージュなのかなんなのか、もう定かではない、釈然としない気持ちなのである。
確かにCGIのビジュアル・イメージとアクションは確かに見応えがあるし、ロボットNS-5シリーズが蜂起する様は圧倒的である。
またロボットのサニーを演じたアラン・テュディックは、評価に値する微妙な表情による演技を見せている。
またトンネル内のカーチェイスも演出的には非常に面白い。
ところで、ロボットの蜂起は、ある意味「ゾンビ」的な楽しみ方も出来るかも知れないね。
しかしビジュアル・イメージが凄いからと言って、物語が面白いか、と言うとその辺は微妙である。
物語は前述のように、日本ではよく聞く話であり、その語り口は、ハードボイルドの探偵モノなのである。
その辺をどう評価するかによって、本作「アイ, ロボット」は傑作にも駄作にもなるのではないか、と思うのだ。
余談だが、ロボットと言う言葉が始めて登場したのは、ロシアの作家カレル・チャペックの「R.U.R」(1920)と言う戯曲なのであるが、本作「アイ, ロボット」の中で、ロボットを開発している企業名は、なんと「U.S.R」。なんとなく、似ているのではないかな。
ついでにこの戯曲「R.U.R」だが、舞台は人造人間(ロボット)の製造販売を一手にまかなっているR.U.R社の工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。「R.U.R」は、機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすのか、と言うチャペックの予言的作品、なのである。
結果的には、わたし的には、ちょっとだけ奥が深いCGI満載の娯楽作品と、言うところであろうか。
話題の作品なので、関心があるのなら、折角なので是非劇場で観て欲しい作品だと思うのだ。
そして、もしあなたが日本人でなければ、または「鉄腕アトム」をはじめとした、様々なロボットの物語を知らないのであれば結構楽しめる娯楽作品なのかも知れない。
余談だが、デル・スプーナー刑事と、探偵シャーロック・ホームスパンとバトーが似ている話をしたのだが、そのあたりを明確に示すシークエンスが何度か登場する。デル・スプーナー刑事の寝起きのシーンで、彼は右手に拳銃を持ち、左肩を揉むような行動を取る。
これは、左手が行うことを右手が信用していないことを示しているのである。
アイザック・アシモフによるロボット工学三原則
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
(A robot may not harm a human being, or, through inaction, allow a human being to come to harm.)
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
(A robot must obey the orders given to it by the human beings, except where such orders would conflict with the First Law.)
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
(A robot must protect its own existence, as long as such protection does not conflict the First or Second Law.)
2035年、シカゴ。
今からわずか30年後の近未来、家庭用ロボットが人間のパートナーとして普及している時代。
そしてさらに、革新的な技術による新世代ロボットNS−5型が登場し、新たなロボット社会の夜明けを迎えようとする直前、そのロボットの生みの親であり、ロボット工学の第一人者、アルフレッド・ラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)が死体で発見される。
ラニング博士と親交のあった、シカゴ市警のデル・スプーナー刑事(ウィル・スミス)は、ラニング博士の事件は、自殺ではなく殺人事件だと疑い、現場に潜んでいた最新NS−5型ロボットのサニーを重要参考人として拘留する。
「ロボット3原則」をプログラミングされ、絶対に人間に危害を加えられないはずのロボットが殺人を犯せるのか?
謎を追及するデル・スプーナー刑事とロボット心理学者スーザン・カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)は、やがて・・・・。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)
監督:アレックス・プロヤス
出演:ウィル・スミス、ブリジット・モイナハン、ジェームズ・クロムウェル、ブルース・グリーンウッド、チー・マクブライド、アラン・テュディック
果たしてロボットは殺人を犯せるのか?
正直なところ、ビジュアルは変わっても、語る物語はいつもと同じ、というような印象を受けた。
「鉄腕アトム」をはじめとして、子供の頃から様々なロボットの物語に接している日本人にとって本作「アイ, ロボット」は決して新しい物語ではなく、最早手垢がついた感のある題材を基にした物語である、と言っても差し支えはないだろう。
特に本作の物語のコンセプトは、手塚治虫の「鉄腕アトム/史上最大のロボット」を原案として現在浦沢直樹が描いている「PLUTO(プルートゥ)」と似ているし、キャラクター的には、ウィル・スミス演じるデル・スプーナー刑事は「鉄腕アトム/人工太陽球の巻」の探偵シャーロック・ホームスパンのような環境下にある。勿論これは最近の「イノセンス」のバトーも同様のキャラクター造型がされているのは周知のことと思う。
また、ビジュアル的には「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の影響をうけた「マトリックス」で使用されたアクションが、またもや使われているし、往年の「トロン」を髣髴とさせるビジュアル・イメージもある。また「スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス」的なデザインも登場するのである。
更に、ロボットの中に芽生える「魂的なモノ」のことを「ゴースト」と表現するにいたっては、オマージュなのかなんなのか、もう定かではない、釈然としない気持ちなのである。
確かにCGIのビジュアル・イメージとアクションは確かに見応えがあるし、ロボットNS-5シリーズが蜂起する様は圧倒的である。
またロボットのサニーを演じたアラン・テュディックは、評価に値する微妙な表情による演技を見せている。
またトンネル内のカーチェイスも演出的には非常に面白い。
ところで、ロボットの蜂起は、ある意味「ゾンビ」的な楽しみ方も出来るかも知れないね。
しかしビジュアル・イメージが凄いからと言って、物語が面白いか、と言うとその辺は微妙である。
物語は前述のように、日本ではよく聞く話であり、その語り口は、ハードボイルドの探偵モノなのである。
その辺をどう評価するかによって、本作「アイ, ロボット」は傑作にも駄作にもなるのではないか、と思うのだ。
余談だが、ロボットと言う言葉が始めて登場したのは、ロシアの作家カレル・チャペックの「R.U.R」(1920)と言う戯曲なのであるが、本作「アイ, ロボット」の中で、ロボットを開発している企業名は、なんと「U.S.R」。なんとなく、似ているのではないかな。
ついでにこの戯曲「R.U.R」だが、舞台は人造人間(ロボット)の製造販売を一手にまかなっているR.U.R社の工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。「R.U.R」は、機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすのか、と言うチャペックの予言的作品、なのである。
結果的には、わたし的には、ちょっとだけ奥が深いCGI満載の娯楽作品と、言うところであろうか。
話題の作品なので、関心があるのなら、折角なので是非劇場で観て欲しい作品だと思うのだ。
そして、もしあなたが日本人でなければ、または「鉄腕アトム」をはじめとした、様々なロボットの物語を知らないのであれば結構楽しめる娯楽作品なのかも知れない。
余談だが、デル・スプーナー刑事と、探偵シャーロック・ホームスパンとバトーが似ている話をしたのだが、そのあたりを明確に示すシークエンスが何度か登場する。デル・スプーナー刑事の寝起きのシーンで、彼は右手に拳銃を持ち、左肩を揉むような行動を取る。
これは、左手が行うことを右手が信用していないことを示しているのである。
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