「ターンレフト ターンライト」
2004年8月29日 映画 コメント (2)2004/08/29 東京内幸町(霞ヶ関)イイノホールで開催されている「GTF2004 トーキョーシネマショー」で、「ターンレフト ターンライト」の試写を観た。
ジョン・リュウ(金城武)はバイオリニスト。
ヨーロッパのオーケストラで活躍するのが夢だが、実際に入ってくる仕事はレストランのBGM係ばかり。
イブ・チョウ(ジジ・リョン)は翻訳家。
世界中の愛の詩を訳すのが夢だが、実際に入ってくる仕事はホラー小説の翻訳ばかり。
そんな二人は、実は同じアパートの、壁一枚隔てた隣同士に暮らしていた。
隣同士と言っても、二人の部屋は棟が違い、入口も違うため、お互いの存在を全く知らなかった。
ジョンは追っかけの女性を避けるため、アパートの左側へ回るのが習慣になっていた。
イブは幽霊らしきモノを見て、それ以来アパートの右側へ回るのが習慣になっていた。
しかし・・・・。
監督・製作総指揮・脚本:ジョニー・トー、ワイ・カーファイ
原作:ジミー・リャオ(原題『向左走、向右走』)
キャスト:金城武、ジジ・リョン、エドマンド・チャン、テリー・クワン
本作「ターンレフト ターンライト」は大変な拾い物であった。
勿論「拾い物」と言う表現に語弊はあるものの、実際のところわたしは、金城武が出ている、というだけで期待もせず観に行ったのだが、わたしは本作という大変素晴らしい映画との偶然の出会いに喜んでしまっている訳である。
物語は、バイオリニスト ジョン・リュウ(金城武)と翻訳家イブ・チョウ(ジジ・リョン)のしつこいまでのすれ違いを描いたコメディ映画である。
二人は公園で偶然出会い、お互いに一目惚れし、一旦は電話番号を交換するのだが、突然の雨で電話番号メモが判読不能になってしまい、隣の部屋に住んでいながら再会できない、と言うメイン・プロットに、(突然の雨により風邪をこじらせて倒れてしまう二人に出前を届け、)ジョンに恋心を抱いてしまう88食堂のルビー(テリー・クワン)と、(二人が救急車で担ぎ込まれる病院で働く、)学生時代からイブに恋心を抱いていたウー医師(エドマンド・チャン)等の、自分たちの恋を成就させるために、二人に対して行う様々な妨害工作を絡めている。
物語は前述のとおり、ベタでお約束で陳腐で前時代的な恋愛模様とも言えるが、それは逆説的に言えば普遍的で伝承物語的な、誰にでも、そしてどんな民族にでも受け入れられる普遍的な物語構成を持っているのだ。
これは「スター・ウォーズ」や様々な神話、そして聖書物語のような物語が、世界中の人々に受け入れられるように、本作「ターンレフト ターンライト」も世界中の人々に受け入れられる種類の物語だと言えよう。
尤も、本作は台湾の絵本作家ジミー・リャオのベストセラー絵本が基になっているのだが、その点もそれを裏付している、と言えるだろう。
キャストは先ず金城武だが、以前から言われているように、日本語で喋ると大根役者だが、日本語以外の言語で喋ると演技に余裕と抑揚が出て良い、という印象を再確認できた。
そしてジジ・リョンだが、大変かわいらしく、ちょっと間抜なヒロインを見事に演じている。
今後が楽しみな女優の一人である。
一方、テリー・クワンは二人の恋路を邪魔する88食堂のルビー役なのだが、憎々しいながらもかわいらしい女性を見事に演じている。非常に自分に素直で良い役である。
また、エドマンド・チャン演じる、これまた二人の恋路を邪魔するウー医師だが、最早ストーカーまがいの行動に若干観客は引き気味だが、その直情的な求愛行動は、おかしくもあり悲しくもある。
しかしエドマンド・チャンにしろ、テリー・クワンにしろ存在感は抜群で、下手をするとこの二人がこの映画の主役だと言っても良い程である。
また脚本的には、ベタで直球勝負なのだが、韓国映画にしろ香港映画にしろ、アジア映画の特色なのか、過去のある時点の出来事を大きな伏線に生かす作品が多いのだが、本作もやはり過去のある時点の出来事を大きな伏線として生かし、普遍的な物語をより運命的な物語に昇華する事に成功している。
更に、二人の境遇をそれぞれ二回ずつ描写する手法は、時として物語のスピードを殺し、物語のテンポを台無しにしてしまう場合があるが、本作では二人の境遇をそれぞれ二回ずつ描写する手法を観客が心待ちにする程、素晴らしい構成になっている。
わたしの結論としては、本作「ターンレフト ターンライト」は、観客を幸せな気分にさせてくれる種類の作品であり、この秋絶対オススメの一本だと言えるのだ。
おそらく「猟奇的な彼女」を観た際と同じような幸せな気分を味わえると思うのだ。
☆☆☆★(☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
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ジョン・リュウ(金城武)はバイオリニスト。
ヨーロッパのオーケストラで活躍するのが夢だが、実際に入ってくる仕事はレストランのBGM係ばかり。
イブ・チョウ(ジジ・リョン)は翻訳家。
世界中の愛の詩を訳すのが夢だが、実際に入ってくる仕事はホラー小説の翻訳ばかり。
そんな二人は、実は同じアパートの、壁一枚隔てた隣同士に暮らしていた。
隣同士と言っても、二人の部屋は棟が違い、入口も違うため、お互いの存在を全く知らなかった。
ジョンは追っかけの女性を避けるため、アパートの左側へ回るのが習慣になっていた。
イブは幽霊らしきモノを見て、それ以来アパートの右側へ回るのが習慣になっていた。
しかし・・・・。
監督・製作総指揮・脚本:ジョニー・トー、ワイ・カーファイ
原作:ジミー・リャオ(原題『向左走、向右走』)
キャスト:金城武、ジジ・リョン、エドマンド・チャン、テリー・クワン
本作「ターンレフト ターンライト」は大変な拾い物であった。
勿論「拾い物」と言う表現に語弊はあるものの、実際のところわたしは、金城武が出ている、というだけで期待もせず観に行ったのだが、わたしは本作という大変素晴らしい映画との偶然の出会いに喜んでしまっている訳である。
物語は、バイオリニスト ジョン・リュウ(金城武)と翻訳家イブ・チョウ(ジジ・リョン)のしつこいまでのすれ違いを描いたコメディ映画である。
二人は公園で偶然出会い、お互いに一目惚れし、一旦は電話番号を交換するのだが、突然の雨で電話番号メモが判読不能になってしまい、隣の部屋に住んでいながら再会できない、と言うメイン・プロットに、(突然の雨により風邪をこじらせて倒れてしまう二人に出前を届け、)ジョンに恋心を抱いてしまう88食堂のルビー(テリー・クワン)と、(二人が救急車で担ぎ込まれる病院で働く、)学生時代からイブに恋心を抱いていたウー医師(エドマンド・チャン)等の、自分たちの恋を成就させるために、二人に対して行う様々な妨害工作を絡めている。
物語は前述のとおり、ベタでお約束で陳腐で前時代的な恋愛模様とも言えるが、それは逆説的に言えば普遍的で伝承物語的な、誰にでも、そしてどんな民族にでも受け入れられる普遍的な物語構成を持っているのだ。
これは「スター・ウォーズ」や様々な神話、そして聖書物語のような物語が、世界中の人々に受け入れられるように、本作「ターンレフト ターンライト」も世界中の人々に受け入れられる種類の物語だと言えよう。
尤も、本作は台湾の絵本作家ジミー・リャオのベストセラー絵本が基になっているのだが、その点もそれを裏付している、と言えるだろう。
キャストは先ず金城武だが、以前から言われているように、日本語で喋ると大根役者だが、日本語以外の言語で喋ると演技に余裕と抑揚が出て良い、という印象を再確認できた。
そしてジジ・リョンだが、大変かわいらしく、ちょっと間抜なヒロインを見事に演じている。
今後が楽しみな女優の一人である。
一方、テリー・クワンは二人の恋路を邪魔する88食堂のルビー役なのだが、憎々しいながらもかわいらしい女性を見事に演じている。非常に自分に素直で良い役である。
また、エドマンド・チャン演じる、これまた二人の恋路を邪魔するウー医師だが、最早ストーカーまがいの行動に若干観客は引き気味だが、その直情的な求愛行動は、おかしくもあり悲しくもある。
しかしエドマンド・チャンにしろ、テリー・クワンにしろ存在感は抜群で、下手をするとこの二人がこの映画の主役だと言っても良い程である。
また脚本的には、ベタで直球勝負なのだが、韓国映画にしろ香港映画にしろ、アジア映画の特色なのか、過去のある時点の出来事を大きな伏線に生かす作品が多いのだが、本作もやはり過去のある時点の出来事を大きな伏線として生かし、普遍的な物語をより運命的な物語に昇華する事に成功している。
更に、二人の境遇をそれぞれ二回ずつ描写する手法は、時として物語のスピードを殺し、物語のテンポを台無しにしてしまう場合があるが、本作では二人の境遇をそれぞれ二回ずつ描写する手法を観客が心待ちにする程、素晴らしい構成になっている。
わたしの結論としては、本作「ターンレフト ターンライト」は、観客を幸せな気分にさせてくれる種類の作品であり、この秋絶対オススメの一本だと言えるのだ。
おそらく「猟奇的な彼女」を観た際と同じような幸せな気分を味わえると思うのだ。
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コメント
こんばんは。ご報告遅れましたがTBさせていただきました。お返しのTBどうもありがとうございました。
「猟奇的な彼女」も好きな映画でした。
ターンレフト・・・もいつか是非観てみたいです^^