「華氏911」

2004年8月16日 映画
2004/08/15終戦記念日 東京恵比寿 恵比寿ガーデンシネマでマイケル・ムーアの新作で、第57回カンヌ国際映画祭パルムドールと国際批評家連盟賞をダブル受賞した「華氏911」を観た。

本作「華氏911」の全国拡大ロードショーは、8月21日からなのだが、8月14日より恵比寿ガーデンシネマで独占先行ロードショーが行われている。

全席完全入換制(しかも当日にならないと当日分のチケットが購入/引換出来ない)を採用している恵比寿ガーデンシネマでは「華氏911」は、異例の2館上映体制(1日9回上映)で上映を行っていたが、初日の8月14日は14:30、8月15日は14:45時点で全ての当日分チケット(20:30の回まで)が完売、受付業務が終了していた。

わたしは10:30頃劇場に到着、15:10の回の整理番号をゲットした。4時間以上時間が余っていたので、東京恵比寿 東京都写真美術館ホールで上映されていた「ワー!マイキー リターンズ!」を観て時間を潰すことにした。
 
 
わたしの第一印象は、本作「華氏911」は大変素晴らしい作品だ。
と言うものである。

勿論従来からのマイケル・ムーアの作風が果たしてドキュメンタリーと言えるかどうかは議論があるだろうし、そのマイケル・ムーアが指し示すベクトルは過度のバイアスがかかっている事は否めないだろう。

しかし、それらを割り引いた上でも、本作は素晴らしい作品であるし、それだけではなく非常に面白い作品にも仕上がっている訳なのだ。

更にわたしの印象では、本作「華氏911」は、前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」が霞んでしまうほどの傑作に仕上がっている。

本作の題材は、前作の「銃社会」への批判から「ブッシュ政権」への批判に拡大し、それと反比例するかのように、作品を理解するのが難しくなっている。

しかし、難しいと言っても、マイケル・ムーアは自らの論理構築の過程を作品を通じて丁寧に描いているのだから、理解はたやすいと考えるむきはあると思うが、実際のところは過度なバイアスのかかったマイケル・ムーアの考えをそのまま受取るのは易しいが、その中から平衡感覚を持ち、自らの考えを自らのスタンスを導き出すのは、決して容易ではない、と言うことなのだ。

わたしは、社会派の素晴らしい作品が公開される度に、「観なければならない種類の映画」の存在を再確認し、その存在をアピールしている訳だが、本作「華氏911」は、「アメリカの友人」であると自認している日本人諸氏に是非観ていただきたい作品である。

わたしは、この映画が正しい、と言っているのではなく、この映画を観て考えて欲しい。自分の立場を明確にして欲しい、と考えるのである。

その点については、「政治的な立場が偏った映画は、あんまり見たいとは思わないね」と不快感を示したわれわれの指導者日本国首相を始めとした政治家諸氏に観ていただきたいと思うし、その立場を明確にして欲しいと思うのだ。

その上で、「くだらない」とか「嘘っぱちだ」とかの声明を発して欲しいと考えるのだ。正に"Show the flag."という事なのだ。
 
 
参考ブログ 
ブッシュ批判、小泉批判、批判ばかりしてもいいことはないんじゃないの
http://diarynote.jp/d/29346/20040803.html
"Team America: World Police" を考える
http://diarynote.jp/d/29346/20040813.html
「独裁者」と「華氏911」を考える
http://diarynote.jp/d/29346/20040819.html
「ミスティック・リバー」と「華氏911」を考える
http://diarynote.jp/d/29346/20040822.html

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