2004/07/14 東京新橋ヤクルトホールで「機関車先生」の試写を観た。
瀬戸内海に浮かぶ小島、葉名島。
そこで学ぶ全校生徒7人の水見色小学校の子供たちの前に、ある1人の青年が臨時教師としてやって来た。
春風の到来と共に子供たちの前に現われた先生は、大きな体に優しい眼差しを浮かべているがなぜか一度も口をきかない。
そんな先生の様子に期待と不安で胸を膨らませていた子供たちは、先生が黒板に書いた言葉に目を丸くする。
「ぼくは話をすることができません。でもみなさんといっしょにしっかり勉強します」。
ぽかんと口をあける生徒たち。しかしすぐに「口をきかんの?じゃあ、口をきかん先生、機関車先生や!」と大はしゃぎ。
こうして口をきけない「機関車先生」と7人の子供たちの交流が陽気に幕を開ける。
(「機関車先生」オフィシャル・サイトより引用)
吉岡誠吾(機関車先生)に坂口憲二、校長先生 佐古周一郎に堺正章、吉岡先生の下宿を引受ける女医 阿部よねに倍賞美津子、居酒屋の女主人 室井よし江に大塚寧々、島の実力者で網元 美作重太郎に伊武雅刀、寺島しのぶもちょこっと登場。
監督は廣木隆一。
主人公の吉岡先生のキャスティングについてだが、これには演技はともかく存在感がある人物が必要だ、と考えた場合、本作の坂口憲二は大正解だと言えよう。
坂口は口を利かなければ、実直で素直、質実剛健という「機関車先生」のイメージを観客に伝える事が出来る素晴らしいキャスティングだと言えよう。
そして、主人公が喋らない分、脇に曲者が配されている。
吉岡先生の代弁者とも言える堺正章は枯れた演技を見せつつ、吉岡先生の心情を代弁する。
また「口が利けない先生を批判する」一派の代表である網元を伊武雅刀は楽しげに演じている。伊武は悪役でありながらコメディ・リリークを担当している訳なのだ。
余談だが、最近竹中直人のオーバーアクトに飽き飽きしてきたわたしが思うには、竹中が現在占めているコメディ・リリーフとしてのポストを伊武にシフトしていくのも面白いと思っている。
伊武は、渋い役からお笑いまでこなせる貴重な俳優だと思うのだ。
また女性陣も黙ってはいない。
やはり何と言っても倍賞美津子の存在感だが、島の実力者網元もタジタジと言った、島で最強の人物を演じている。
更に大塚寧々にしろ佐藤匡美にしろ、自分の役柄を自然な雰囲気で見事な演技を見せている、のではないだろうか。
これら俳優たちの細かな演技の積み重ねがリアリティを生むのである。
そして子供たちである。
勿論、若干卑怯な感は否めないが、わたし達観客は子供たちに見事にやられてしまうのである。
若干一名、子供としては年長の二世俳優が出ているが、その他の子供たちの演技は素晴らしいものがある。
美術は、ほぼオールロケの効果が抜群である。
学校はともかく、居酒屋や駄菓子屋、路傍の風情が素晴らしい。
脚本は、剣道の試合中の事故で声が出なくなり、教師をあきらめた吉岡先生が、新たな生きがいを見つけ、自分を取り戻す、という物語がメインになっているため、厳しい見方をすると、吉岡先生は自分の復活のために子供たちを利用している、というような印象をも受けるのだが、それだけでは無い何かが感じられる良い脚本に仕上がっている。
本作「機関車先生」は、残念ながら傑作とは言いきれないが、さわやかな感動を求める方には、この夏オススメの一本である。
瀬戸内海に浮かぶ小島、葉名島。
そこで学ぶ全校生徒7人の水見色小学校の子供たちの前に、ある1人の青年が臨時教師としてやって来た。
春風の到来と共に子供たちの前に現われた先生は、大きな体に優しい眼差しを浮かべているがなぜか一度も口をきかない。
そんな先生の様子に期待と不安で胸を膨らませていた子供たちは、先生が黒板に書いた言葉に目を丸くする。
「ぼくは話をすることができません。でもみなさんといっしょにしっかり勉強します」。
ぽかんと口をあける生徒たち。しかしすぐに「口をきかんの?じゃあ、口をきかん先生、機関車先生や!」と大はしゃぎ。
こうして口をきけない「機関車先生」と7人の子供たちの交流が陽気に幕を開ける。
(「機関車先生」オフィシャル・サイトより引用)
吉岡誠吾(機関車先生)に坂口憲二、校長先生 佐古周一郎に堺正章、吉岡先生の下宿を引受ける女医 阿部よねに倍賞美津子、居酒屋の女主人 室井よし江に大塚寧々、島の実力者で網元 美作重太郎に伊武雅刀、寺島しのぶもちょこっと登場。
監督は廣木隆一。
主人公の吉岡先生のキャスティングについてだが、これには演技はともかく存在感がある人物が必要だ、と考えた場合、本作の坂口憲二は大正解だと言えよう。
坂口は口を利かなければ、実直で素直、質実剛健という「機関車先生」のイメージを観客に伝える事が出来る素晴らしいキャスティングだと言えよう。
そして、主人公が喋らない分、脇に曲者が配されている。
吉岡先生の代弁者とも言える堺正章は枯れた演技を見せつつ、吉岡先生の心情を代弁する。
また「口が利けない先生を批判する」一派の代表である網元を伊武雅刀は楽しげに演じている。伊武は悪役でありながらコメディ・リリークを担当している訳なのだ。
余談だが、最近竹中直人のオーバーアクトに飽き飽きしてきたわたしが思うには、竹中が現在占めているコメディ・リリーフとしてのポストを伊武にシフトしていくのも面白いと思っている。
伊武は、渋い役からお笑いまでこなせる貴重な俳優だと思うのだ。
また女性陣も黙ってはいない。
やはり何と言っても倍賞美津子の存在感だが、島の実力者網元もタジタジと言った、島で最強の人物を演じている。
更に大塚寧々にしろ佐藤匡美にしろ、自分の役柄を自然な雰囲気で見事な演技を見せている、のではないだろうか。
これら俳優たちの細かな演技の積み重ねがリアリティを生むのである。
そして子供たちである。
勿論、若干卑怯な感は否めないが、わたし達観客は子供たちに見事にやられてしまうのである。
若干一名、子供としては年長の二世俳優が出ているが、その他の子供たちの演技は素晴らしいものがある。
美術は、ほぼオールロケの効果が抜群である。
学校はともかく、居酒屋や駄菓子屋、路傍の風情が素晴らしい。
脚本は、剣道の試合中の事故で声が出なくなり、教師をあきらめた吉岡先生が、新たな生きがいを見つけ、自分を取り戻す、という物語がメインになっているため、厳しい見方をすると、吉岡先生は自分の復活のために子供たちを利用している、というような印象をも受けるのだが、それだけでは無い何かが感じられる良い脚本に仕上がっている。
本作「機関車先生」は、残念ながら傑作とは言いきれないが、さわやかな感動を求める方には、この夏オススメの一本である。
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