「MAIL〜special version〜」
2004年7月13日 映画2004/07/12 東京渋谷シネクイントで行われた「MAIL〜special version〜」の完成披露試写会に行ってきた。
舞台挨拶は、監督の高橋巖、主演の須賀貴匡、栗山千明、共演のあびる優。会場には、他に共演者の久保晶等の顔も見えた。
「MAIL」はもともと、WEB上で公開される事を目的とした角川ホラーシネマの1シリーズとしてビデオで製作された9編のショート・フィルムだったのだが、その9編のショート・フィルムを110分の劇場用作品として再編集し、今回「MAIL〜special version〜」として劇場公開の運びとなった訳である。
闇に潜む悪霊を、次々と霊銃迦具土(カグツチ)で昇天させていく霊能探偵秋葉零児(須賀貴匡)と謎の美少女美琴(栗山千明)
の恐怖の心霊ストーリー。
そして、恐ろしい事件の果てに、美しくも切ない謎が解き明かされていく・・・
角川ホラーの新ページを飾る、<恐怖>と<ロマン>が、いよいよ“解禁”!
(角川ホラーシネマ/「MAIL」宣伝コピーより引用)
脚本は、各エピソード毎の心霊現象から悪霊を除霊する部分については、所謂都市伝説や素人の怪談話の域を出ない他愛の無い物語なのだが、シリーズ全体の構成については、決して見るべきものが無い訳ではない。
製作サイドとしても、各エピソード毎の心霊現象や除霊のシークエンスを描くより、秋葉零児(須賀貴匡)と謎の美少女美琴(栗山千明)の現在と過去を、シリーズ全体として伏線を構築し、物語を描きたかったのだろうと容易に推察する事が出来る。
そして、そう考えた場合、この作品は単純な都市伝説を扱ったホラー作品と言うより、人や心霊の切ない情念とその悲劇を描いた感動的な作品である、と捉える事が出来るのである。
勿論、個人的には優れたホラー作品とは恐怖と悲しみを上手く描写している事が必須要件だと考えるわたしだが、その上で考えると本作は恐怖の描写に若干の問題点はあるものの、比較的良心的で良質なホラー作品である、と言えるのではないだろうか。
とは言うものの、秋葉零児に霊銃迦具土(カグツチ)を譲る事になる謎の男(森本レオ)の存在を始めとしたプロットのいくつかに不備や消化不良の部分があるようである。
これは、本作が元々は9編のショート・フィルムだった事に因る問題点なのかも知れない。
撮影・編集・特撮等については、なんと言ってもビデオで製作されWEB上で公開される事を前提としていた作品だけに、チープと言えばチープなのだが、スタッフはチープなりに頑張っていると言う好意的な印象を受けた。
セットではなく、ほぼオールロケであったり、特撮が必要な部分を編集でごまかしたり等々。
余談だが、セットではなく、公園の本物の公衆トイレで転げまわって演技をする俳優たちにも役者魂を感じてしまうのだ。
ただ、やはり劇場公開をするにはビデオの画質に問題があるかも知れないと個人的には思ったのも事実である。
キャスト的は、特別な可も不可も無いのだが敢えて言うならば、霊能探偵秋葉零児を演じた須賀貴匡については、スタイルが固定されてしまっている探偵像ではなく、探偵になる前の過去のシークエンスが良かった。
創られた探偵像ではなく、一人の青年を演じているところに面白みを感じるのだ。
また謎の美少女美琴を演じた栗山千明については、「バトル・ロワイヤル」や「キル・ビル」と比較すると、より等身大の普通のキャラクターを軽くこなしているような印象を受けた。
ただ、衣裳は「キル・ビル」そのままであった。
余談だが舞台挨拶については、シネクイントにはステージが無いため、監督やキャストの足元までが見切れず、通常は客席の後ろか横に三脚を固定し陣取るカメラ・クルーが舞台挨拶が始まるやいなや、俳優の足元が見切れないためか、カメラを担いで客席前方まで走ってきたのには驚いた。
通常の舞台挨拶の映像は三脚固定のものなのだが、今回の映像はハンド・カメラのものだったのではないだろうか。
また、舞台挨拶については、女優としてある程度評価されている栗山千明に対するあびる優の過剰なライバル意識や前に出ようとする自意識、良く映ろうとする意識が見え隠れする一方、栗山千明はあびる優のライバル意識も自意識も「どこ吹く風」と言った風情で、狙いかもしれないが、ある意味大物の風格を感じさせられた、と言う面白い舞台挨拶であった。
主演の須賀貴匡は、「仮面ライダー龍騎」で出てきた俳優だけに、「仮面ライダー龍騎」ショー等で培ってきたであろうが、舞台挨拶のような観客の前に出る(演技する)事に慣れているような余裕を感じた。
舞台挨拶の個人的な印象としては、監督の高橋巖はともかく、落ち着きはらいある種大物然とした須賀貴匡と栗山千明に、霊感の話題で前に出ようとしてちょっと失敗しちゃた感で、若干オドオド気味のあびる優という構図が面白かった。
怖がりながら、気付いたら泣いていた、という感じの作品が好きな方にはオススメの一本だが、劇場で観るべきか、WEB上で観るべきかと言うと微妙である。
もし、怖さを追求するならば、比較的広い部屋の壁際にパソコンをセッティングし(背後には大きな空間ね)、深夜に照明を落してヘッドフォンで音を聞きながら、パソコンのディスプレイを覗き込む、というシチュエーションが良いかも知れない。
http://www.rbbtoday.com/news/20040713/17520.html
舞台挨拶は、監督の高橋巖、主演の須賀貴匡、栗山千明、共演のあびる優。会場には、他に共演者の久保晶等の顔も見えた。
「MAIL」はもともと、WEB上で公開される事を目的とした角川ホラーシネマの1シリーズとしてビデオで製作された9編のショート・フィルムだったのだが、その9編のショート・フィルムを110分の劇場用作品として再編集し、今回「MAIL〜special version〜」として劇場公開の運びとなった訳である。
闇に潜む悪霊を、次々と霊銃迦具土(カグツチ)で昇天させていく霊能探偵秋葉零児(須賀貴匡)と謎の美少女美琴(栗山千明)
の恐怖の心霊ストーリー。
そして、恐ろしい事件の果てに、美しくも切ない謎が解き明かされていく・・・
角川ホラーの新ページを飾る、<恐怖>と<ロマン>が、いよいよ“解禁”!
(角川ホラーシネマ/「MAIL」宣伝コピーより引用)
脚本は、各エピソード毎の心霊現象から悪霊を除霊する部分については、所謂都市伝説や素人の怪談話の域を出ない他愛の無い物語なのだが、シリーズ全体の構成については、決して見るべきものが無い訳ではない。
製作サイドとしても、各エピソード毎の心霊現象や除霊のシークエンスを描くより、秋葉零児(須賀貴匡)と謎の美少女美琴(栗山千明)の現在と過去を、シリーズ全体として伏線を構築し、物語を描きたかったのだろうと容易に推察する事が出来る。
そして、そう考えた場合、この作品は単純な都市伝説を扱ったホラー作品と言うより、人や心霊の切ない情念とその悲劇を描いた感動的な作品である、と捉える事が出来るのである。
勿論、個人的には優れたホラー作品とは恐怖と悲しみを上手く描写している事が必須要件だと考えるわたしだが、その上で考えると本作は恐怖の描写に若干の問題点はあるものの、比較的良心的で良質なホラー作品である、と言えるのではないだろうか。
とは言うものの、秋葉零児に霊銃迦具土(カグツチ)を譲る事になる謎の男(森本レオ)の存在を始めとしたプロットのいくつかに不備や消化不良の部分があるようである。
これは、本作が元々は9編のショート・フィルムだった事に因る問題点なのかも知れない。
撮影・編集・特撮等については、なんと言ってもビデオで製作されWEB上で公開される事を前提としていた作品だけに、チープと言えばチープなのだが、スタッフはチープなりに頑張っていると言う好意的な印象を受けた。
セットではなく、ほぼオールロケであったり、特撮が必要な部分を編集でごまかしたり等々。
余談だが、セットではなく、公園の本物の公衆トイレで転げまわって演技をする俳優たちにも役者魂を感じてしまうのだ。
ただ、やはり劇場公開をするにはビデオの画質に問題があるかも知れないと個人的には思ったのも事実である。
キャスト的は、特別な可も不可も無いのだが敢えて言うならば、霊能探偵秋葉零児を演じた須賀貴匡については、スタイルが固定されてしまっている探偵像ではなく、探偵になる前の過去のシークエンスが良かった。
創られた探偵像ではなく、一人の青年を演じているところに面白みを感じるのだ。
また謎の美少女美琴を演じた栗山千明については、「バトル・ロワイヤル」や「キル・ビル」と比較すると、より等身大の普通のキャラクターを軽くこなしているような印象を受けた。
ただ、衣裳は「キル・ビル」そのままであった。
余談だが舞台挨拶については、シネクイントにはステージが無いため、監督やキャストの足元までが見切れず、通常は客席の後ろか横に三脚を固定し陣取るカメラ・クルーが舞台挨拶が始まるやいなや、俳優の足元が見切れないためか、カメラを担いで客席前方まで走ってきたのには驚いた。
通常の舞台挨拶の映像は三脚固定のものなのだが、今回の映像はハンド・カメラのものだったのではないだろうか。
また、舞台挨拶については、女優としてある程度評価されている栗山千明に対するあびる優の過剰なライバル意識や前に出ようとする自意識、良く映ろうとする意識が見え隠れする一方、栗山千明はあびる優のライバル意識も自意識も「どこ吹く風」と言った風情で、狙いかもしれないが、ある意味大物の風格を感じさせられた、と言う面白い舞台挨拶であった。
主演の須賀貴匡は、「仮面ライダー龍騎」で出てきた俳優だけに、「仮面ライダー龍騎」ショー等で培ってきたであろうが、舞台挨拶のような観客の前に出る(演技する)事に慣れているような余裕を感じた。
舞台挨拶の個人的な印象としては、監督の高橋巖はともかく、落ち着きはらいある種大物然とした須賀貴匡と栗山千明に、霊感の話題で前に出ようとしてちょっと失敗しちゃた感で、若干オドオド気味のあびる優という構図が面白かった。
怖がりながら、気付いたら泣いていた、という感じの作品が好きな方にはオススメの一本だが、劇場で観るべきか、WEB上で観るべきかと言うと微妙である。
もし、怖さを追求するならば、比較的広い部屋の壁際にパソコンをセッティングし(背後には大きな空間ね)、深夜に照明を落してヘッドフォンで音を聞きながら、パソコンのディスプレイを覗き込む、というシチュエーションが良いかも知れない。
http://www.rbbtoday.com/news/20040713/17520.html
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