東京新橋「ヤクルトホール」で実施された「カレンダー・ガールズ」の試写会に行ってきた。

イギリス、ヨークシャー地方近郊の小さな町ネイプリー。
地元の主婦たちの社交の場はもっぱら地元の婦人会に限られていた。
クリス(ヘレン・ミレン)とアニー(ジュリー・ウォルターズ)もこの婦人会のメンバーだったが、あまりにも平凡すぎる退屈な婦人会に疑問を感じ始めていた。
そんな中、アニーの夫ジョン(ジョン・アルダートン)が白血病で亡くなってしまう。悲しみに暮れるアニーを励ます狙いからクリスは突拍子もないアイデアを口にする。
それはなんと、毎年恒例の婦人会のカレンダーを、自分たち自身をモデルにしたヌード・カレンダーにする、というものだった。
これは園芸の仕事に携わっていたジョンが生前語っていた言葉「草花の生育の過程は、全ての過程でそれぞれ美しいが、一番美しいのは成長しきったときである」に端を発する企画なのだ。
そして、その目的はジョンが生前世話になった地元の病院にやわらかい座り心地の良いソファーを寄附したいというもの。
最初は誰も相手にしなかったが、徐々に有志が集まり始め・・・・。

本作は、1999年、イギリスの小さな田舎町で世界初の「婦人会ヌード・カレンダー」が製作され、30万部を売上げ大きな話題となった実話を基にしたヒューマン・コメディ。

一言で言うと、多くの人、特に女性におすすめできる素晴らしいコメディ映画に仕上がっている。
そしてなにより、この映画のひとつのコンセプトとして「成熟した女性が一番美しい」という視点が込められいるのが大変興味深い。

しかしながら、一言でコメディ映画と言っても、これはイギリス映画、ハリウッド的なコメディのカテゴリーではくくれない、正に一筋縄では行かないイギリス製コメディ映画となっている。

特に印象的なのは、クリスやアニー等がヌード・カレンダーのモデルとしてメディアに大々的に取り上げられた挙句、周りの環境が一変してしまい、悪意や、一山あてようとする人々の大きなビジネスに巻き込まれていくあたりである。

その辺りの描写をエスカレート・ギャグの一種と捉え笑い飛ばすか、人間の富と名声に対する執着の醜さと捉えるかにより、本作は新たな一面を観客に見せることになる。

特に、ジョンの死後アニーが善意で行っている「ある事(ココでは書きませんが)」に対するクリスの辛辣な意見は、映画本編のテイストとかけ離れているが故に、観るものの奥底をえぐるような恐ろしくも素晴らしい効果を上げている。

また、彼女等を取り上げたインタビー番組で、その番組のホストから皮肉や当てこすり、女性蔑視的なジョークの種にされているにもかかわらず、放映されたその番組を見ながら爆笑する彼女等についても、楽しく見るか、悲しく見るかで、このシークエンスの印象は一変するのではなかろうか。
楽しい笑いなのか、自虐的な笑いなのか、ということである。

堅い事をいろいろ書いているが、そんな事を考えなくても、−−勿論その辺を考えた方が、映画自体は輝きを増すのだが、−−本作は大変素晴らしい誰にでもオススメできるイギリス製コメディ映画に仕上がっている。
是非皆さんに見ていただきたい映画の一本なのだ。

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索