「トロイ」

2004年5月17日 映画
2004年5月17日(月)、日本武道館で行なわれた「トロイ」の「ジャパン・プレミア」に行って来た。

今回の試写会は一般の試写会ではなく「ジャパン・プレミア」と言うこともあり、レッド・カーペットあり、舞台挨拶ありの近年まれに見る盛大なイベントであった。
勿論、叶野姉妹を始めとしたマスコミ試写会常連の皆さんや話題の皆さんも招待されていた。

気になるゲストであるが、スタッフは、監督のウォルフガング・ペーターゼンをはじめとして、製作のダイアナ・ラスバン、脚本のデヴィッド・ベニオフ等が登場した。
キャストは、ブラット・ピット(アキレス)をはじめとして、エリック・バナ(ヘクトル)、ダイアン・クルーガー(ヘレン)、ローズ・バーン(ブリシィス)と凄いメンバーである。

席は全席指定だったのだが、連れが早くから(13:00頃から、連れの連れは8:00から)並んでいた関係で、中央部の前から6〜7列目位、という舞台挨拶的には最適のポジションだった。

わたしたちは、「トロイ」のバスから出てきたスタッフやキャストがレッド・カーペットを歩くのを少し眺めた後、会場入りし、会場内のスクリーンに投影されているスタッフやキャストがレッド・カーペット券を持っている観客に対しサインをしたり、マスコミに取材を受けたりしている外の生映像を眺めていた。

そのうち、スタッフ&キャストは、日本武道館の正面に「トロイ」の城壁を模して設営された門の前で、一言ずつ挨拶をし、会場入りした。

舞台挨拶は、人数が多かったせいか、またまた一言ずつであった。
こんなに盛大なイベントなのに、一言ずつしか喋らないとは驚きなのである。因みに通訳は戸田奈津子であり、お決まりのフォト・セッションでは司会を差し置き、スタッフ、キャスト、マスコミのカメラ・クルー等を掌握しコントロール下に置いていた。

紀元前12世紀。
エーゲ海における交易の中心地として繁栄を極める都市国家トロイ。
トロイが蓄えるその富は各国の標的となり、長年に渡って戦いが繰り返されていた。
しかし、ある時、トロイと敵対する強国スパルタの王メネラウス(ブレンダン・グリーソン)が和平を申し出た際、事もあろうかトロイの王子の弟パリス(オーランド・ブルーム)によってメネラウスの王妃ヘレン(ダイアン・クルーガー)が誘拐される事件が勃発する。
パリスとヘレンは一目会った瞬間互いに恋に落ち、もはやその熱情を抑えることは出来なくなっていたのだ。
しかし、王の権威を汚されたスパルタの指導者たちは、王妃を奪還するため無敵の戦士アキレス(ブラット・ピット)と千隻もの船団をトロイへ差し向けるのだった・・・・。

映画自体は、大変面白い娯楽作品に仕上がっている。
勿論、「ベン・ハー」や「十戒」、「スパルタカス」やなんかの往年の史劇ものと比較すると、残念ながら遜色する点があるが、ここしばらくの史劇系の作品の中ではスケールも大きく、大変面白い娯楽作品に仕上がっている。

とは言うものの、最近の史劇ものの作品では、リドリー・スコットの「グラディエーター」という傑作があるが、物語が波乱に満ち、見せ場のつるべ打ち、画面構成の巧みさ、キャストの豪華さ、重厚感という点で、「グラディエーター」に軍配が上がるのではないだろうか。

やはり本作「トロイ」は、年老いた世代の所謂スターが比較的少なく、重厚感にかけ、ともするとアイドル映画のような印象をも受けてしまう。
また、物語は大きなひとつのプロットに集約されてしまうため、史劇もののお約束の波乱に満ちたストーリー展開という訳にはいかない。
これは、最近話題の脚本家デヴィッド・ベニオフにしても大本のプロットの問題なので、仕方がないだろう。

そんななかでも、「トロイ」のプリアモス王を演じたピーター・オトゥールには感動ものである。「グラディエーター」のオリバー・リードやリチャード・ハリスには残念ながら及ばないが、素晴らしい存在感を感じる。
またスコアもピーター・オトゥールに対するオマージュか「アラビアのロレンス」を髣髴とさせるような旋律とアレンジが含まれたスコアがかかっていた。

キャストは、ブラット・ピットがいかにもというアキレス像を構築する一方、エリック・バナ(ヘクトル)やショーン・ビーン(オデュッセウス)が美味しいところを持っていってしまっている。
ブラット・ピットのギリシャ史劇に対する違和感が盛んに喧伝されていたが、そんなに気になる事はなかった。

ここ数年売り出し中のオーランド・ブルームは、「トロイ」のダメ王子プリスを良い意味で好演し、レゴラス役やウィル・ターナー役で集めたファンをもしかしたら逃してしまうかも知れないのだ。

女性陣は、オーランド・ブルーム(パリス)と恋に落ち、トロイ戦争のきっかけとなるダイアン・クルーガー(ヘレン)は勿論、アポロの神官で、アキレス役のブラット・ピットと絡むローズ・バーン(ブリシィス)が良かった。
「スパルタカス」におけるジーン・シモンズ的な印象を受けた。

ある意味、ローズ・バーンは、観客の視点・観点を代弁する役柄なのであり、置かれた環境にも屈せず、良識を持ちった孤高の役どころとなっている。

アクション・シークエンスは、冒頭のアキレスの戦いやアキレスとヘクトルの戦いが素晴らしかった。
勿論これは、「グラディエーター」と比較されると思うのだが、余裕のあるアキレスが抑えて軽く走るあたりが良かったし、冒頭の一撃も美しい。

しかし、群集による戦闘は特に新しいものを感じなかった。
やはり「指輪物語」以降、あまり驚かされる事がなくなってしまったのではないだろうか。

美術は、なんといっても、「トロイ」の城壁と作戦室(?)だろう。作戦室(?)中央の水盤(?)が美しい。
また帆船も良いのだが、やはり「ベン・ハー」のガレー船と比較するとちとさびしい感がある。
トロイの木馬は思ったより雑だったが、材料を帆船に求めるあたりはリアリティを感じた。

しかし帆船繋がりで、1000隻の帆船で押し寄せる映像はやりすぎの感を受ける。

結論は、映画を普段見ない人にはおすすめの1年に1本の大作映画かと思う。
年に数十本も数百本も映画を見ている人には、それほど勧める訳ではないが、すすめなくともおさえで観ておくべき作品だと思う。

また、これを機に往年の史劇ものを見直してみるのも楽しいと思うのだ。

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索