2004/05/01は「映画の日」だった。
という訳で「キル・ビルVol.2」と「スクール・オブ・ロック」を観た。

で今日は話題の「スクール・オブ・ロック」のお話。

ロック魂を全身で体現するギタリスト、デューイ・フィン(ジャック・ブラック)。
しかし、スデージ上でのそのあまりの破天荒ぶりがアダとなり、バンド・バトルを目前にして、自分が作ったバンド(ノー・ヴァカンシー)のメンバーからクビを宣告されてしまう。
ついでに、家賃滞納のため、居候している親友ネッド(マイク・ホワイト)のアパートからも退去勧告をされてしまった。

そんな中、ネッドのアパートに名門私立小学校ホレス・グリーン学院から臨時教師の話が舞い込む。電話に出たデューイはお金欲しさからネッドになりすまし臨時教師の職に就いてしまう。

その小学校はマリンズ校長(ジョーン・キューザック)のもと、厳しい管理教育がなされ、従順な生徒たちにはまるで覇気も個性も感じられなかったが、まともに授業する気もないデューイにとってそれはどうでもいいことだった。

しかし、生徒たちの音楽の授業を垣間見、自分の生徒たちが音楽の才能にあふれていると知ったデューイには、とんでもないアイデアが浮かぶのであった・・・・。

本作「スクール・オブ・ロック」は、一言で言うと、一般の映画ファンはもとより、音楽好き、ロック好きに特に自信を持っておすすめできる大変素晴らしいコメディ映画である。

キャストはなんと言っても、「愛しのローズマリー」、「ハイ・フィデリティ」などで最近話題のジャック・ブラック(デューイ・フィン役)のロック魂をアピールする怪演振りが素晴らしい。
そのキャラクター造型の根底には、勿論ロックを含めた全ての音楽に対する愛情に満ちているのだ。
冒頭のステージ・アクトから、ロック魂全開で、中盤のロック教師としての生徒たちとの絆作り、そしてラストのバンド・バトルまで、全てが楽しいのだ。

一方、本作の脚本家でもあるマイク・ホワイト(ネッド役)の優柔不断振りも、相対的にジャック・ブラックの演技を際立たせている。
かつて、パンク・ロックに明け暮れていたが、現在は更正(?)し、夢を諦めた青年を好演している。
そしてマイク・ホワイトが演じる、バンド・バトルからエンディングに向けての心の動きが、実は夢を諦めてサラリーマン生活をしている多くの一般観客の羨望を体現する仕組みになっているのだ。

また、マリンズ校長を演じるジョーン・キューザックは、舞台女優としてのキャリアと「サタデー・ナイト・ライブ」からはじまるコメディエンヌとしてのキャリアを持つ才媛である。
ロックを愛しているりだが、その気持ちを押さえ、名門小学校の理想的で厳格な校長役を演じる、という複雑なキャラクターを見事に演じている。
コメディエンヌとしての役柄を振られているため、一見するとベタなキャラクター設定のような印象を受けるが、それは仕方ないことであろう。

ロック・バンド「スクール・オブ・ロック」のメンバーは、実際に音楽的素養のある子供たちを対象としたオーディションで発掘された子供たちである。
一見すると、ありがちなハリウッド的子役(インタビューすると妙に大人びた語りを持つ子供たち)と、リアリティを持った一般の小学生ぽい子役がチームを組んだような構成になっている。
とは言うものの、本作では一般的なハリウッド子役ではなく、本当に普通の小学生たちが演じているような、ドキュメンタリー作品的な印象を受ける。
個々の子役俳優達についてのコメントは割愛するが、全ての子役たちは良い仕事をしている。

物語の根本は、語弊があるが「社会に適応できないロック・バカが、学校や生徒たちを騙して、自分のために子供たちを利用しバンド・バトルに出場する。」というものである。

従って、本作には、厳しく言うと、ジャック・ブラック演じるデューイ・フィンの「人を騙して自分のために利用する」というモラル的問題があるのは否めない事実である。
この点について観客のモラル感が許容できるかどうか、という点にこの映画を楽しめるかどうか、がかかっているのではないだろうか。

この辺については、「ライフ・イズ・ビューティフル」の嘘にも通じる部分があるかもしれない。
その「悲しい嘘」を考えつつ本作「スクール・オブ・ロック」を観るのも興味深いと思う。コメディが一見、子供たちに取って悲しい物語に見えてくるのである。
しかし、現在の子供たちは、そんな環境でも逞しく育っていくのである。

余談だが、エンド・クレジットのライヴ・シークエンスは、オリヴァー・ストーンの「ドアーズ」のエンド・クレジットのレコーディング風景にダブり、面白い効果を映画に与えている。

今年のゴールデン・ウイーク映画は音楽映画が多いのだ。わたしが観ただけでも、
1.「フォーチュン・クッキー」
2.「スクール・オブ・ロック」
3.「永遠のモータウン」
と三本もある。(おすすめ度順)
音楽ファンとしては、嬉しい限りである。

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tkr

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