「下妻物語」

2004年4月2日 映画
2004/04/01 東京有楽町「日劇2」で行なわれた「下妻物語」の完成披露試写会に行ってきた。

今回の試写は、完成披露ということもあり、監督の中島哲也、主演の深田恭子、土屋アンナの舞台挨拶があった。司会は茨城県出身のTBSアナウンサー斎藤哲也。

完成披露ということであるから、今回の上映はもしかすると、所謂ワールド・プレミアなのかも知れない。

ロリータ・ファッション命の自己中心的マイペース少女桃子(深田恭子)は、自分が愛するブランド・ショップで買物をするため、茨城県下妻から東京代官山まで片道3時間をかけ、頻繁に通っている。
桃子はその大好きなブランドの洋服を買うため、父親が製作した某海外ブランドのコピー商品の販売に手を染めはじめる。
そんなコピー商品を大喜びで買いに来たのは、特攻服姿で原チャリを駆るヤンキー娘イチゴ(土屋アンナ)。
友達になるなんてありえない二人が出会ってしまい・・・・。

監督は、サッポロ黒ラベルのCF(卓球編)やNTT東日本のCF(SMAP出演の「ガッチャマン」編)等を手がけた中島哲也。

本作はCF界で評価されている監督らしく、構図や演出、レンズに色彩、アニメーションや8mmフィルム、誇張された動き等メディア・ミックス的な手法が渾然一体となっている素晴らしい構成になっている。
方向的にはクエンティン・タランティーノの「キル・ビル」的な印象を受けるかもしれないが、洗練の度合いは本作が上かもしれない。

CF上がりということもあり、一般の映画と比較すると、ワンカット、ワンカットの重みを感じる、細かいところまで丁寧に作りこまれた画面が心地よい。
背景やプロップ、美術や勿論俳優の演技に至るまで、カッチリ決まった画面が素晴らしい。
コメディに対する真摯な態度に好感をおぼえる。

物語は、ほぼ全編桃子(深田恭子)のナレーションで進むことになるのだが、その緩急(ボケとツッコミ)を使い分けた小気味良いナレーションが素晴らしい。特に間が素晴らしい。
そんなナレーション以外でも、俳優達が直接カメラ目線で観客に語りかけるあたりも、手法にありがちな違和感や嫌味が全く無く、観客には登場人物との共感と感情移入の度合いを高める、という良い印象を感じる。

キャスト的には、先ず深田恭子であるが、深田恭子とロリータ・ファッションの取り合わせは違和感が無く、というよりイメージぴったりの印象を受ける。
演技的には、従来のドラマや映画と比較すると、一皮向けた新境地を見せてくれている。
アイドルではなく、今後の女優としての成長が楽しみな感じがする。
彼女のひとつの転機となる作品なのかもしれない。

ほぼ演技初体験の土屋アンナは、はっきり言って素晴らしい。
深田恭子を喰ってしまっている。
勿論茨城下妻の地元のレディースの役ということもあり、極端なキャラクターであり、テンションをあげていればそれっぽく見える訳であるが、それにしても素晴らしい存在感があり、今後の成長が楽しみな印象を受けた。

作品自体は、丁寧に作られた良心的な作品であるので、きちんとプロモーションを行って、是非ヒットさせていただきたい、良い映画である。

余談だが、本作からはスタンリー・キューブリックへのオマージュがチラチラと感じられる。

☆☆☆★ (☆=1.0 ★=0.5 MAX=5.0)
 
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