1995年の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の続編であり、日本が世界に誇る極東のクリエイター押井守の新作「イノセンス」を観た。
先ず、最初から否定的意見で恐縮だが、残念に感じたのは、世界観はともかく、物語の根底にあるのが、平凡なハードボイルドである。ということ。
本作「イノセンス」をハードボイルドだと言い切った場合、世界観をあわせて考えると、やはりなんと言ってもリドリー・スコットの「ブレードランナー」との類似性は否めないであろう。
かつての「ブレードランナー」のデッカードがそうであったように、本作「イノセンス」のバトーは、古きよき時代のハンフリー・ボガートそのモノなのである。
更に、バトーのキャラクター造詣にはレイモンド・チャンドラーの影が色濃く、ひとつのシークエンスのキーとなる犬の餌のプロットではエリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウ(「ロング・グッドバイ」)を髣髴とさせる。
というかおそらくオマージュであろう。
しかも、物語のコンセプトは最早手垢の付いた感のある「人間(生物)の定義」である。
有機体と無機質で生物に似たものを人間と人形と言う単純な図式に置き換え、登場人物はその狭間で葛藤する事になるのである。
勿論、誰もが評価するように本作の世界観は素晴らしいが、表現としてのCGIは、本作を世界中のクリエイター達に影響を与えた前作の発展形として考えた場合、無残な結果に終わっている。
特に、予告編で使用されていたコンビニ内の映像や、本棚に並ぶあまりにも無機質な書籍類なんかが顕著であろう。
あまりにも作り物じみているのである。
一方、後半部分に登場する人形の動きや、最新技術の表現や発想、ビジュアル・コンセプトは素晴らしいものがある。
しかし、「ブレードランナー」の呪縛からは逃れられていない。
また、前作で「やまとことば」をフィーチャーした音楽も、残念ながら前作と比較するとレベルダウンしている感がある。
前作以上の楽曲が難しいのならば、前作どおりでも良かったのではないか、と感じた。
主題歌の「フォロー・ミー」は良かったし、訳詩の意訳や、そのフォントも良かった。
そして、前作と同様のオープニングや、後半部分の山車に音楽をかぶせるあたりは、前作を意識したファン・サービスと取るべきなのか、芸の無さと取るべきか判断に悩むところである。
前作と言えば、トグサとバトーの間の、前作のセリフを伏線とする会話が楽しい。(トグサの引き抜きの話や、マテバの話・・・・。)
また、前作で重要な登場人物であった人物の登場シークエンスは本作のメインのコンセプトを象徴していることもあり、感涙ものである。
つらつらと厳しい事を書いているが、本作は劇場で観るべき作品であることは間違いなく、技術的にも前作を凌駕しつつ、前作の雰囲気を守った、素晴らしい続編に仕上がっている。
先ず、最初から否定的意見で恐縮だが、残念に感じたのは、世界観はともかく、物語の根底にあるのが、平凡なハードボイルドである。ということ。
本作「イノセンス」をハードボイルドだと言い切った場合、世界観をあわせて考えると、やはりなんと言ってもリドリー・スコットの「ブレードランナー」との類似性は否めないであろう。
かつての「ブレードランナー」のデッカードがそうであったように、本作「イノセンス」のバトーは、古きよき時代のハンフリー・ボガートそのモノなのである。
更に、バトーのキャラクター造詣にはレイモンド・チャンドラーの影が色濃く、ひとつのシークエンスのキーとなる犬の餌のプロットではエリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウ(「ロング・グッドバイ」)を髣髴とさせる。
というかおそらくオマージュであろう。
しかも、物語のコンセプトは最早手垢の付いた感のある「人間(生物)の定義」である。
有機体と無機質で生物に似たものを人間と人形と言う単純な図式に置き換え、登場人物はその狭間で葛藤する事になるのである。
勿論、誰もが評価するように本作の世界観は素晴らしいが、表現としてのCGIは、本作を世界中のクリエイター達に影響を与えた前作の発展形として考えた場合、無残な結果に終わっている。
特に、予告編で使用されていたコンビニ内の映像や、本棚に並ぶあまりにも無機質な書籍類なんかが顕著であろう。
あまりにも作り物じみているのである。
一方、後半部分に登場する人形の動きや、最新技術の表現や発想、ビジュアル・コンセプトは素晴らしいものがある。
しかし、「ブレードランナー」の呪縛からは逃れられていない。
また、前作で「やまとことば」をフィーチャーした音楽も、残念ながら前作と比較するとレベルダウンしている感がある。
前作以上の楽曲が難しいのならば、前作どおりでも良かったのではないか、と感じた。
主題歌の「フォロー・ミー」は良かったし、訳詩の意訳や、そのフォントも良かった。
そして、前作と同様のオープニングや、後半部分の山車に音楽をかぶせるあたりは、前作を意識したファン・サービスと取るべきなのか、芸の無さと取るべきか判断に悩むところである。
前作と言えば、トグサとバトーの間の、前作のセリフを伏線とする会話が楽しい。(トグサの引き抜きの話や、マテバの話・・・・。)
また、前作で重要な登場人物であった人物の登場シークエンスは本作のメインのコンセプトを象徴していることもあり、感涙ものである。
つらつらと厳しい事を書いているが、本作は劇場で観るべき作品であることは間違いなく、技術的にも前作を凌駕しつつ、前作の雰囲気を守った、素晴らしい続編に仕上がっている。
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