「ぼんち」

2004年2月10日 映画
池袋「新文芸坐」の「山崎豊子全映画」で、「白い巨塔」と「ぼんち」を観た。

で「ぼんち」であるが、いきなり余談だが、1970〜80年代に一世を風靡した「ザ・ぼんち」の「ぼんち」は、映画「ぼんち」と同じ意味だったのかと思ったりしています。

「ぼんち」とは、若だんな。坊ちゃん。ぼんぼん等の意で、主に関西地方で用いる語だそうである。
が、しかし本来の意味では「ぼんち」の意味は表面上の「ぼんぼん」ではなく、人一倍放蕩はするが、結局はその放蕩がビジネス上の帳尻を合わせる「ぼんぼん」なのだ。

物語は、四代続いた船場の足袋問屋河内屋の一人息子喜久治(市川雷蔵)の放蕩人生を老いた喜久治が振り返る、という形態を持っている。
その喜久治の放蕩人生を彩るのは、若尾文子(ぽん太)、中村玉緒(弘子)、草笛光子(幾子)、越路吹雪(比佐子)、山田五十鈴(勢以)という豪華女優陣。

スタッフは撮影に宮川一夫、音楽は芥川也寸志、そして監督は世界の市川崑である。

市川雷蔵と言えばなんと言っても時代劇俳優としての出演作が多く、またその時代劇俳優として評価されているのだが、本作「ぼんち」の喜久治役はそういった役柄ではなく、船場の足袋問屋河内屋の一人息子訳が新境地というか、意表をついているというか、良い役を楽しげに演じている。
こういった時代劇というコスチューム・プレイや眠狂四郎のような極端なキャラクターではなく、普通の役の市川雷蔵に興味津々津々浦々なのだ。

また、婿養子続きの河内屋の最後の婿養子である喜久治の父を演じる船越英二も良い仕事をしている。

女優陣は皆魅力的で素晴らしい。
後年の市川崑の金田一耕介シリーズの女優の使い方は、かつてのこんな作品の影響なのかと思ってしまう。
「ぼんち」の翌年の「黒い十人の女」でもそうですが、市川崑の映画は女優陣が凄いです。正にオールスター・キャストなのです。

市川崑の秀作で、市川雷蔵の意欲作でもある本作。機会があれば是非観ていただきたい作品である。

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