池袋「新文芸坐」の企画上映「魅惑のシネマクラシックス Vol.4」でスタンリー・キューブリック監督作品「現金に体を張れ」と同じく「2001年宇宙の旅<新世紀特別版>」を観た。

今回の企画上映「魅惑のシネマクラシックス Vol.4」のトリをつとめる作品である。

「2001年宇宙の旅」については、現在東京では年に2回ほどリバイバル上映があり、また個人的にはキューブリック・ファンなので、劇場で50回ほどは観ていると思うので、いまさら語るべき言葉は無い。

※ フィルム自体は前奏、休憩、後奏付きの所謂完全版だが、初期の<新世紀特別版>についていた冒頭のG指定の表記は無かった。
また、休憩時にはフィルムを物理的に止め、本当に休憩を入れていた。

しかし「現金に体を張れ」については状況が違うのだ。
実際、この映画のリバイバル上映はほとんど行われないため、今回の企画のおかげでわたしは劇場で本作「現金に体を張れ」を初めて観ることが出来たのである。
まあ、そういった意味で、感慨も一入なのである。

内容は、タランティーノの「レザボアドッグス」や「パルプ・フィクション」、または「メメント」、「アレックス」等多くの時系列を再構築した構成の作品等に多大なる影響を与え続けるクライム・サスペンスの傑作である。

物語は、刑務所から出所したばかりの主人公ジョニーは、競馬場の売上金強奪を企み、数名の仲間を集めはじめる。
周到な計画をたて、いよいよ売上金強奪決行の時が来、ジョニーの計画が成功したと思った瞬間、思わぬ展開がジョニーたちを待っていた・・・・。

そして構成は、仲間がアクションを起こした瞬間に、他の仲間の行動を時間を巻き戻し描写する、という構成を持っている。
これはタランティーノの「ジャッキー・ブラウン」と比較すると興味深いのだね。

映画としては、やはり脚本が良く出来ているし、撮影も良い、画面構成も良いし、俳優も良いし、ラストの幕切れも拍手喝采である。
ラストのふたりが、美味しいところを持って行ってしまうのも良い。

しかし何度も見直している内に気になってくるのは、とある仲間の悪妻の扱いである。
あまりにも周到な計画だと言うのに、はたしてジョニーがああいった凡ミスを犯すのかな、という点が物語のリアリティを少しだけ払拭してしまうような印象を受けるのだ。
あまりにも出来すぎている脚本のアラを探してしまうわたしなのである。

しかし、悪妻のシークエンスには、本当にイライラさせられてしまう。
つまり逆に言うと、悪妻のシークエンスは大成功だ、と言うことでもある。

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tkr

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