ポール・トーマス・アンダーソンの新作「パンチドランク・ラブ」を例によって池袋「新文芸坐」で観た。同時上映は「めぐりあう時間たち」。

ポール・トーマス・アンダーソンと言えば「ブギーナイツ」、「マグノリア」で一気にメジャーにのし上がった感がある。

「ブギーナイツ」は比較的B級作品で、単館系ロードショー作品であった。
一方次の「マグノリア」は、「ブギーナイツ」の単館的成功を受け、全国拡大ロードショー形式で公開された。
当時は日本国内でほぼ同時期に公開されたサム・メンデスの「アメリカン・ビューティー」と並び称された傑作であったが、実際は全ての観客に受入れられる映画ではなかった。

本作「パンチドランク・ラブ」も非常に灰汁が強い作品で、全ての観客にアピールできる作品ではないだろう。

物語は、感情面に問題を抱える主人公(アダム・サンドラー)が、初めて自分を好きになってくれる女性(エミリー・ワトソン)と出会い、彼女の優しさに見守られて不器用ながらも愛を成就させていく。というもので、ありきたりな感が否めないが、これはポール・トーマス・アンダーソン、一筋縄で行く筈は無く、脚本的に一本道でありながら、複雑な印象を与える。
競演は、フィリップ・シーモア・ホフマン。

キャスト的には、アダム・サンドラーが凄い。
勿論スタンダップ・コメディアンあがりの性もあり、コメディ系の役柄が多く、そのためか日本ではあまり評価されていないようだが、本作では精神面に問題を抱えているエキセントリックな青年を真摯に好演している。
やはり、役柄はコメディ系が多いが、演技は本物なのだ。

そして出番は少ないが強烈な印象を与えるフィリップ・シーモア・ホフマン。彼とアダム・サンドラーの電話でのやりとりは、下手すると映画史に残ったりしてしまうのではなんいだろうか。

「奇跡の海」、「クレイドル・ウィル・ロック」、「レッド・ドラゴン」等のエミリー・ワトソンも良かった。アダム・サンドラーと同様やはり感情精神面に不安定な役柄を見事にこなしている。

非常に短い作品ではあるが、ある種強烈な印象を観客に与えるのだ。
しかし、世間での評価はわたし的には過剰評価ではないかと思う。
大絶賛している人達が多いが、大絶賛に値するかはわたし的には微妙な気がする。

とは言うものの、良い作品である。
95分という短い作品ですので、観てみてはいかがかと思います。

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tkr

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