アラン・パーカーの「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」を観た。

おそらく全国ロードショーの最終日だったんだと思います。

アラン・パーカーと言えば、結構カルト的な人気を誇る社会派系の監督です。わたし的には結構好きな監督のひとりで、好きな作品は、「バーディ」、、「ザ・コミットメンツ」、「ミッドナイト・エクスプレス」、「ミシシッピー・バーニング」でしょうか。

第一印象としては、最近多い系統の映画だな。という印象でした。
「果たして○○は本当に××したのだろうか?」または、「一体何が起きたんだ?」という疑問を観客に抱かせる作品です。

最近の公開作品では「HERO/英雄」、「閉ざされた森」、「ファム・ファタール」の系統でしょうか。

物語は、死刑反対論者の哲学教授が、同僚のレイプ殺人犯として死刑執行されることになり、その執行の数日前、雑誌記者にインタビューを受け、そのジャーナリストが真実に迫る。というもの。

物語の根本には賛否があるようですがが、わたし的には大変良い物語だと思いますし、大変良く出来た脚本だと思いました。
ラストの衝撃は伏線により明らかですが、それにいたる道が巧緻で、大変良い印象を受けましたね。
ああ、アラン・パーカーの作品だな。という印象を感じます。
もしかしたら「ミシシッピー・バーニング」に似てるかな。

同様の形態を取った作品に最近では「閉ざされた森」がありますが、それと比較して本作「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」の方が数段素晴らしい作品に仕上がっています。

これはやはりジョン・マクティアナンの指向とアラン・パーカーの指向の相違かも知れませんが、こう2作品を並べてみると、マクティアナンは「何やってんだ!」と思ってしまいます。

役者は何と言ってもケビン・スペイシーでしょう。物語の形態上「ユージュアル・サスペクス」の映画的記憶が感じられるのは賛否あるでしょうが、所謂頭の良い役を真っ向から演じています。
個人的には微妙な憂いのある表情が好きです。

ケイト・ウィンスレットは頑張っています。
「タイタニック」以降「アイリス」等良い作品に恵まれていますので、こういった傾向の作品に沢山出て欲しいですね。

ローラ・ニコー、マット・クレイブン、レオン・リッピーは、総じて複雑な印象を観客に与えます。
役の傾向が似ているような印象を受けますが、出番の割には強烈な印象を与えています。
ある種の嫌悪感を出すよう努力しているような気がしますね。

ガブリエル・マンは、観客の代弁者的なニュートラルな感じの良い役でした。普通のところが良いところですね。

編集はアラン・パーカー組のジェリー・ハンブリングですが、非常に短いカットを多用し、最早サプリミナル映像に近く、判読できない感が多々ありますが、非常に効果的な編集でした。

この編集も撮影あってのものですが、撮影はやはりアラン・パーカー組のマイケル・セレシン。
陰影の深い寒寒とした画面を構築しています。

制作は俳優のニコラス・ケイジ。俳優活動も盛んですがプロデュースにも力を入れてますよね。何しろ、フランシン・フォード・コッポラの甥ですからね。俳優としてもわたし的には大好きです。

もうロードショー公開は終わっていますが、機会がありましたら、是非観ていただきたい素晴らしい作品です。

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索