「至福のとき」
2003年4月12日先日、池袋新文芸坐で「アイリス」を観たのであるが、その同時上映はチャン・イーモウの《しあわせの三部作》の三作目「至福のとき」だった。
「あの子を探して」「初恋のきた道」とともに巨匠チャン・イーモウの《しあわせの三部作》とも呼ばれる作品群の最終章。純な盲目の少女と、金も仕事もない中年男の、心洗われる物語。(「新文芸坐しねういーくりい」2003年◆第7号◆通巻65号より引用)
前評判から、号泣映画だと期待して観に行ったわけですが、この作品「至福のとき」は、残念ながら号泣映画ではなかった。勿論わたし的には、ですけどね。
ところで、私見的には、これら《しあわせの三部作》の号泣指数的は、「初恋のきた道」>「至福のとき」>「あの子を探して」です。
しかしながら、号泣できないからと言って、ダメな映画というわけではなく、結構良い映画だったことも事実である。
しかし、物語は現代の寓話とも言うべきもので、リアリティが比較的希薄で、脚本やシチュエーションもとってつけたようなものだったような気がする。
また、役名が俳優の本名と同一てだあるところなどを見ると(「あの子を探して」などはほとんど素人を本名のまま演技させている。)、果たしてチャン・イーモウはきちんと演出して映画をつくっているのか、疑問を感じてしまうのだ。
もしかすると映画のコンセプトを決め、あとはシチュエーション毎に役者に勝手に演技させているのではないかな、と勘ぐってしまったりするのだ。
勿論本作「至福のとき」は、「あの子を探して」のような訳にもいかず、脚本があり、演出してこの作品になっていると思うが、役名と俳優の名が一緒だと、なんだか途端に冷めてしまうのだ。
ファンタジー映画にとって、それは致命的な気がする。
あと、印象に残ったのはこの映画の配給をFOXがやっている。ということである。
しかし、この映画のラストはハリウッドでは決して受け入れられないものだろう。
完全なハリウッド資本で本作が製作されたとしたら、この映画のようなラストは決して許されなかっただろう。
救いのない、尻切れトンボ的なラスト。良く言えば「希望」が全てを支配しているのかも知れないが、ハリウッド・メジャーでは許されない作品だろだろう。
寓話的、ファンタジックな映画のラストはリアリティに溢れ、本編とラストの乖離が否めないのだ。
「至福のとき」
『幸福時光』
"HAPPY TIMES"
2002年/中国作品/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/1時間37分/字幕翻訳:水野衛子、太田直子/配給:20世紀フォックス映画会社/協賛:華泰茶荘
監督:チャン・イーモウ
出演:チャオ・ベンシャン、ドン・ジエ、フー・ピアオ、リー・シュエチエン、ニウ・ベン、ドン・リーファン
「あの子を探して」「初恋のきた道」とともに巨匠チャン・イーモウの《しあわせの三部作》とも呼ばれる作品群の最終章。純な盲目の少女と、金も仕事もない中年男の、心洗われる物語。(「新文芸坐しねういーくりい」2003年◆第7号◆通巻65号より引用)
前評判から、号泣映画だと期待して観に行ったわけですが、この作品「至福のとき」は、残念ながら号泣映画ではなかった。勿論わたし的には、ですけどね。
ところで、私見的には、これら《しあわせの三部作》の号泣指数的は、「初恋のきた道」>「至福のとき」>「あの子を探して」です。
しかしながら、号泣できないからと言って、ダメな映画というわけではなく、結構良い映画だったことも事実である。
しかし、物語は現代の寓話とも言うべきもので、リアリティが比較的希薄で、脚本やシチュエーションもとってつけたようなものだったような気がする。
また、役名が俳優の本名と同一てだあるところなどを見ると(「あの子を探して」などはほとんど素人を本名のまま演技させている。)、果たしてチャン・イーモウはきちんと演出して映画をつくっているのか、疑問を感じてしまうのだ。
もしかすると映画のコンセプトを決め、あとはシチュエーション毎に役者に勝手に演技させているのではないかな、と勘ぐってしまったりするのだ。
勿論本作「至福のとき」は、「あの子を探して」のような訳にもいかず、脚本があり、演出してこの作品になっていると思うが、役名と俳優の名が一緒だと、なんだか途端に冷めてしまうのだ。
ファンタジー映画にとって、それは致命的な気がする。
あと、印象に残ったのはこの映画の配給をFOXがやっている。ということである。
しかし、この映画のラストはハリウッドでは決して受け入れられないものだろう。
完全なハリウッド資本で本作が製作されたとしたら、この映画のようなラストは決して許されなかっただろう。
救いのない、尻切れトンボ的なラスト。良く言えば「希望」が全てを支配しているのかも知れないが、ハリウッド・メジャーでは許されない作品だろだろう。
寓話的、ファンタジックな映画のラストはリアリティに溢れ、本編とラストの乖離が否めないのだ。
「至福のとき」
『幸福時光』
"HAPPY TIMES"
2002年/中国作品/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/1時間37分/字幕翻訳:水野衛子、太田直子/配給:20世紀フォックス映画会社/協賛:華泰茶荘
監督:チャン・イーモウ
出演:チャオ・ベンシャン、ドン・ジエ、フー・ピアオ、リー・シュエチエン、ニウ・ベン、ドン・リーファン
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