「ピンポン」
2003年3月21日池袋新文芸坐の特集「気になる日本映画達(アイツラ)2002」で「ピンポン」を観た。
結構期待していたのだが、物語は比較的普遍的な物語で、所謂べたな展開が続き、特に意外性はなかった。
だからと言って、この映画がつまらない訳ではなく、大変楽しめる娯楽作品だった。
更に娯楽作品でありつつ、ある種叙情的な感動を呼ぶ作品に仕上がっているという恵まれた作品なのかもしれない。
さて、窪塚洋介だが、わたしは彼がヨースケと名乗っていた頃から注目していたのだが、最近の窪塚のいくつかの作品では、奇抜なキャラクターにおいて同じような演技、同じようなセリフまわしで若干食傷気味の印象を受ける。
わたし的には、特定の演技スタイルの確立は俳優としてはある種のデメリットではないかと思うのだ。
例えばテレビドラマ「あすなろ白書」で俳優として開花した木村拓哉は、演じるキャラクター全てがその表現すべきキャラクターではなく人物としての木村拓哉に見えてしまう、という俳優としての限界的な問題点を抱えているのだが、窪塚洋介についても、この傾向が続くのであれば、同様の危惧を感じてしまうのだ。
原作は読んでいないので、なんとも言えないが、ペコのキャラクターのセリフに個性と魅力を感じはするのだが、ある種の問題も同時に感じてしまうのだ。
窪塚洋介は日本映画界の若手俳優として非常に評価されている人材であるだけに、危惧は大きいのだ。
また最近テレビドラマ「H.R.」で頑張っている中村獅童が非常に印象的である。
どこの世界にも居る、○○道一筋の人物を好演している。もちろん苦悩するキャラクターとしてのブレイクスルーもカタルシスだったりする。
ARATAも良かったし、サム・リーも良かった。勿論大倉孝二も、松尾スズキも良かった。
演技というより、キャラクターの設定が秀逸なのかも知れない。
竹中直人は従来の邦画の極端なキャラクターを捨て、普通に(でもないけど)演じている姿に好感が持てる。彼の過剰演技(二重の演技:演技しているキャラクターが更に演技をしている)はそろそろやめていただきたいところだったので、この作品にも出演しているので、嫌な予感を抱えていたのだが、良い意味で裏切られラッキーだった。
この辺は、竹中の笑いながら怒る人とか松田優作のモノマネで食っていた時代からの遺産だと思うが、俳優をやってる時は俳優に専念してほしいのだ。
前述のようにこの作品の大本の脚本は普遍的ではあるが、印象的で行間を読ませるセリフが多く、キャラクターの生き様や苦悩、挫折に見事に花を添えている。
脚本ではないが、「ピンポン」のタイトル・ロゴにも意味を持たせているアート・ワークも良いと思った。スマイルとペコの対比なのだね。
監督の曽利文彦は、わたしは不勉強なもので何者かわからないのだが、VFXあがりの人のようで、卓球シーンにその経験が如何なく発揮されているようである。
冒頭と中盤の"I can fly. Yes, You can fly."のシークエンスも凄い。
予告編で見る限りは、所謂ショットガン撮影かとやと思いきや、カメラははるか上空まで行ってしまうし、本来ならカメラがある部分まで撮影してしまっているのが興味深い。
「ピンポン」
2002年/日本/アスミック・エース
監督:曽利文彦
出演:窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大倉孝二、松尾スズキ、夏木マリ、竹中直人
結構期待していたのだが、物語は比較的普遍的な物語で、所謂べたな展開が続き、特に意外性はなかった。
だからと言って、この映画がつまらない訳ではなく、大変楽しめる娯楽作品だった。
更に娯楽作品でありつつ、ある種叙情的な感動を呼ぶ作品に仕上がっているという恵まれた作品なのかもしれない。
さて、窪塚洋介だが、わたしは彼がヨースケと名乗っていた頃から注目していたのだが、最近の窪塚のいくつかの作品では、奇抜なキャラクターにおいて同じような演技、同じようなセリフまわしで若干食傷気味の印象を受ける。
わたし的には、特定の演技スタイルの確立は俳優としてはある種のデメリットではないかと思うのだ。
例えばテレビドラマ「あすなろ白書」で俳優として開花した木村拓哉は、演じるキャラクター全てがその表現すべきキャラクターではなく人物としての木村拓哉に見えてしまう、という俳優としての限界的な問題点を抱えているのだが、窪塚洋介についても、この傾向が続くのであれば、同様の危惧を感じてしまうのだ。
原作は読んでいないので、なんとも言えないが、ペコのキャラクターのセリフに個性と魅力を感じはするのだが、ある種の問題も同時に感じてしまうのだ。
窪塚洋介は日本映画界の若手俳優として非常に評価されている人材であるだけに、危惧は大きいのだ。
また最近テレビドラマ「H.R.」で頑張っている中村獅童が非常に印象的である。
どこの世界にも居る、○○道一筋の人物を好演している。もちろん苦悩するキャラクターとしてのブレイクスルーもカタルシスだったりする。
ARATAも良かったし、サム・リーも良かった。勿論大倉孝二も、松尾スズキも良かった。
演技というより、キャラクターの設定が秀逸なのかも知れない。
竹中直人は従来の邦画の極端なキャラクターを捨て、普通に(でもないけど)演じている姿に好感が持てる。彼の過剰演技(二重の演技:演技しているキャラクターが更に演技をしている)はそろそろやめていただきたいところだったので、この作品にも出演しているので、嫌な予感を抱えていたのだが、良い意味で裏切られラッキーだった。
この辺は、竹中の笑いながら怒る人とか松田優作のモノマネで食っていた時代からの遺産だと思うが、俳優をやってる時は俳優に専念してほしいのだ。
前述のようにこの作品の大本の脚本は普遍的ではあるが、印象的で行間を読ませるセリフが多く、キャラクターの生き様や苦悩、挫折に見事に花を添えている。
脚本ではないが、「ピンポン」のタイトル・ロゴにも意味を持たせているアート・ワークも良いと思った。スマイルとペコの対比なのだね。
監督の曽利文彦は、わたしは不勉強なもので何者かわからないのだが、VFXあがりの人のようで、卓球シーンにその経験が如何なく発揮されているようである。
冒頭と中盤の"I can fly. Yes, You can fly."のシークエンスも凄い。
予告編で見る限りは、所謂ショットガン撮影かとやと思いきや、カメラははるか上空まで行ってしまうし、本来ならカメラがある部分まで撮影してしまっているのが興味深い。
「ピンポン」
2002年/日本/アスミック・エース
監督:曽利文彦
出演:窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大倉孝二、松尾スズキ、夏木マリ、竹中直人
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