「ストーカー」
2003年2月5日ロビン・ウィリアムズの新作「ストーカー」を観た。
ディスカウント・ショッピングセンターのフォト・カウンターで働くサイ(シーモア)・パリッシュ(ロビン・ウィリアムズ)は10年以上の間、フォト・カウンターの常連客であるヨーキン親子を陰ながら見守っていたのである。彼等ヨーキン親子の写真を作為的に1枚ずつ余計にプリントし、所有することによって。
ある日、サイは愛すべきヨーキン親子の秘密を知ってしまう、愛すべきヨーキン親子の秘密を・・・・。
例によって一言で言うと、良い映画だった。
オススメである。
さてロビン・ウィリアムズであるが、わかっていたことであるが、はっきり言って驚いた。本作ではいまだかつて見たことないロビン・ウィリアムズを見ることができるのであった。
抑制され、アドリブも一切なく、おちゃらけてもいないのだ。彼にあるのは愛と怒りだけなのである。
不気味な男を見事に演じたロビン・ウィリアムズはレクターあたりもイケルのではないだろうか。
また、興味深いのは、色彩である。フォト・カウンターで働くサイは無彩色で統一されている。服装だけでなく、顔色や髪の色まで無彩色なのである。所謂アルビノのような印象を受ける。
一方、サイを取巻くショッピング・センターをはじめとした環境は様々な色彩に満ち溢れている。
カラフルな世界の中のモノトーンな存在サイ。その異質な存在が彼の孤独感、孤立感を表現しているのだ。
今回この作品を観て一番感じたのは、サイの社会に対する怒りである。サイは客の写真を通じて社会に触れているのだ。
この作品は所謂ストーカーという犯罪者の目を通じてではあるが、社会は汚泥にまみれていことを描写しているのである。
一雨来て、全てを流し去って欲しいのだ。
この辺は言わずもがなだが、トラヴィスに通じるのだ。
つまり、この作品は現代の「タクシー・ドライバー」に他ならないのだ。
サイが好意を抱いているヨーキン親子の主婦ニーナを演じているコニー・ニールセンは、健気な控えめな主婦を見事に演じている。目立たないが堅実な印象を受けた。
ショッピングセンターのマネージャーを演じるゲイリー・コールはテレピ「アメリカン・ゴシック」で大ブレイクの役者ですが、悪役を憎々しく演じていて気持ちが良い。
サイを追いつめる刑事はエリック・ラ・サール。最初と最後に登場し映画を締める役割を演じている。
ラストのロビン・ウィリアムズの独白は、この映画のテーマが明確になりすぎ、蛇足のような気がする。
余談だが、わたしは本作のように、事件が起きてしまった後、回想するように物語が進行し、プロローグとエピローグが繋がるような映画が好きである。
同様の作品ではケビン・コスナー主演の「追いつめられて」とかね。
監督はミュージック・ビデオ出身(?)のマーク・ロマネクであるが、ミュージック・ビデオあがりにしては、正攻法で実直な構図を使用しまた、ツボを抑えた演出に好感が持てる。
気になるのは、左右対称の構図が多い、ということである。なんでも、ロマネクはスタンリー・キューブリックを敬愛しているそうであるから、その辺の構図についてはキューブリックの影響なのかもしれない。
ちょっと気になったのは、本作には「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」といった日本のアニメーションのキャラクターや、キティ等のサンリオのキャラクターが登場していた。
あとは街のD.P.E.屋さんに、若干怖いものを感じてしまうね。
「ストーカー」
"One Hour Photo"
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ提供
キャッチ23エンタテインメント提携
キラー・フィルムズ/ジョン・ウェルズプロダクション
監督:マーク・ロマネク
出演:ロビン・ウィリアムズ、コニー・ニールセン、ミシェル・ヴァルタン、ディラン・スミス、ゲイリー・コール、エリン・ダニエルズ、エリック・ラ・サール、ポール・ハンセン・キム
2002年/ヴィスタサイズ/ドルビーSR・SRD/1時間38分/5巻/日本語字幕:古田由紀子
ディスカウント・ショッピングセンターのフォト・カウンターで働くサイ(シーモア)・パリッシュ(ロビン・ウィリアムズ)は10年以上の間、フォト・カウンターの常連客であるヨーキン親子を陰ながら見守っていたのである。彼等ヨーキン親子の写真を作為的に1枚ずつ余計にプリントし、所有することによって。
ある日、サイは愛すべきヨーキン親子の秘密を知ってしまう、愛すべきヨーキン親子の秘密を・・・・。
例によって一言で言うと、良い映画だった。
オススメである。
さてロビン・ウィリアムズであるが、わかっていたことであるが、はっきり言って驚いた。本作ではいまだかつて見たことないロビン・ウィリアムズを見ることができるのであった。
抑制され、アドリブも一切なく、おちゃらけてもいないのだ。彼にあるのは愛と怒りだけなのである。
不気味な男を見事に演じたロビン・ウィリアムズはレクターあたりもイケルのではないだろうか。
また、興味深いのは、色彩である。フォト・カウンターで働くサイは無彩色で統一されている。服装だけでなく、顔色や髪の色まで無彩色なのである。所謂アルビノのような印象を受ける。
一方、サイを取巻くショッピング・センターをはじめとした環境は様々な色彩に満ち溢れている。
カラフルな世界の中のモノトーンな存在サイ。その異質な存在が彼の孤独感、孤立感を表現しているのだ。
今回この作品を観て一番感じたのは、サイの社会に対する怒りである。サイは客の写真を通じて社会に触れているのだ。
この作品は所謂ストーカーという犯罪者の目を通じてではあるが、社会は汚泥にまみれていことを描写しているのである。
一雨来て、全てを流し去って欲しいのだ。
この辺は言わずもがなだが、トラヴィスに通じるのだ。
つまり、この作品は現代の「タクシー・ドライバー」に他ならないのだ。
サイが好意を抱いているヨーキン親子の主婦ニーナを演じているコニー・ニールセンは、健気な控えめな主婦を見事に演じている。目立たないが堅実な印象を受けた。
ショッピングセンターのマネージャーを演じるゲイリー・コールはテレピ「アメリカン・ゴシック」で大ブレイクの役者ですが、悪役を憎々しく演じていて気持ちが良い。
サイを追いつめる刑事はエリック・ラ・サール。最初と最後に登場し映画を締める役割を演じている。
ラストのロビン・ウィリアムズの独白は、この映画のテーマが明確になりすぎ、蛇足のような気がする。
余談だが、わたしは本作のように、事件が起きてしまった後、回想するように物語が進行し、プロローグとエピローグが繋がるような映画が好きである。
同様の作品ではケビン・コスナー主演の「追いつめられて」とかね。
監督はミュージック・ビデオ出身(?)のマーク・ロマネクであるが、ミュージック・ビデオあがりにしては、正攻法で実直な構図を使用しまた、ツボを抑えた演出に好感が持てる。
気になるのは、左右対称の構図が多い、ということである。なんでも、ロマネクはスタンリー・キューブリックを敬愛しているそうであるから、その辺の構図についてはキューブリックの影響なのかもしれない。
ちょっと気になったのは、本作には「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」といった日本のアニメーションのキャラクターや、キティ等のサンリオのキャラクターが登場していた。
あとは街のD.P.E.屋さんに、若干怖いものを感じてしまうね。
「ストーカー」
"One Hour Photo"
フォックス・サーチライト・ピクチャーズ提供
キャッチ23エンタテインメント提携
キラー・フィルムズ/ジョン・ウェルズプロダクション
監督:マーク・ロマネク
出演:ロビン・ウィリアムズ、コニー・ニールセン、ミシェル・ヴァルタン、ディラン・スミス、ゲイリー・コール、エリン・ダニエルズ、エリック・ラ・サール、ポール・ハンセン・キム
2002年/ヴィスタサイズ/ドルビーSR・SRD/1時間38分/5巻/日本語字幕:古田由紀子
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