ヴィンチェンゾ・ナタリの新作「カンパニー・マン」を観ました。
ヴィンチェンゾ・ナタリといえば前作の「CUBE」で一躍時代の寵児となった監督ですが、本作は「CUBE」から数えて5年ぶりの新作となります。

物語は、郊外に住む平凡なサラリーマンがとあるハイテク企業の産業スパイとして採用され、そのハイテク企業の手先として、産業スパイを勤めるうちに、謎の女性と出会い、またひょんなことから二重スパイとなり、何を信じていいのかわからなくなってしまうような物語です。

まあ、基本的にこのようなタイプの映画、観客に対し常に考え続けることを強いるような映画、が好きなわたし的には、概ね満足できる映画だった訳であるが、いかんせんラストのオチ(ルークスの正体)があまりにもありきたりで、平凡な印象を受け、非常に残念な思いがしました。
勿論、映画としての構成上、ルークスの正体は登場人物に限られるわけで、その上で意外な人物を設定する必要があるのですが、それにしてもちと残念であるのだ。

キャストについては、先ずルーシー・リューですが、最近結構出てきている訳ですけど、今までのキャリアの中で一番良い役ではないでしょうかね。出ずっぱりですし。
セクシー・アンド・ビューティーですね。あとエキゾチックで・・・・

主役のジェレミー・ノーザムは芸達者です。
複数の役を見事に演じわけていますし、中盤以降の疑心暗鬼振りも面白いです。

美術は、細かなものは良いと思いますが、でかいものはちょっとイマイチかな。
あと、全ての登場アイテムになんらかの拘りがあるようで、好感が持てます。

なんでも、ナタリはスタンリー・キューブリックやアルフレッド・ヒッチコックに多大なる影響を受けているようで、本作ではキューブリックやヒッチコックに対するオマージュ的な映像が出てきますね。
特に「時計じかけのオレンジ」の目薬シークエンス的な洗脳機械が興味深いですね。

さて、脚本ですが、こういった映画は脚本が命ですから、ラストのオチに目をつぶればよく出来た脚本だと思いますが、最近では本作と同傾向の「メメント」や「バニラ・スカイ(オープン・ユア・アイズ)」までは達していないですが、よくある、良い感じの脚本といったところでしょうか。
気になる脚本は、ブライアン・キングで、本作が初長編となります。


「カンパニー・マン」
"CYPHER"
2001年/アメリカ映画/95分/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR・ドルビーデジタル
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:ジェレミー・ノーザム、ルーシー・リュー、ナイジェル・ベネット、ティモシー・ウェッバー、デビッド・ヒューレット

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tkr

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