「初恋のきた道」

2003年1月18日
1月18日から、池袋「新文芸座」で「中国映画フェスティバル2003」がはじまり、その初日は張芸謀(チャン・イーモウ)監督作品の「初恋のきた道」と「あの子を探して」であり、観に行くことにしました。

で本題の「初恋のきた道」ですが、正に涙腺破壊兵器そのものでした。
泣ける泣ける。下手すると、チャン・ツィイーが走ってるだけで泣けるのだ。

物語は、小さな村で40年間教師を続けた「わたし」の父が亡くなったため、生まれ故郷である村に帰った「わたし」が父と母の伝説的な恋愛を語るという形態を持ち、村と街をつなぐ道にスポットをあてた物語でした。

いきなりであるが、わたしは最初と最後に年老いた登場人物が登場し、かつて若かった時代の話を自ら物語る話が大好きなのである。
勿論本作は前述のように息子が老いた母親の代わりに母親の若かった頃のエピソードを物語る、という形態ではありますが・・・・。
例えばこの形態を取っている映画にはティム・バートンの「シザーハンズ」とかジェイムズ・キャメロンの「タイタニック」とかがありますよね。

この映画はその形態ですが、前後のエピソードが比較的長く、特にしっかりとしたエピローグの葬列のシークエンスは、素晴らしい感動を感じてしまうのだ。
また、「わたし」の授業はお約束ではあるが、涙腺破壊効果は絶大である。
教育が聖職と言われるゆえんなのだ。

で、この映画の最大のポイントはチャン・ツィイーの発掘だと思います。
本作は彼女のデビュー作ではありますが、彼女は、勿論表情、そして走る姿と立ちつくす姿だけで全てを語っています。
彼女はこの後「グリーン・ディスティニー」、「ラッシュアワー2」とメジャー街道邁進中です。
勿論彼女は今後の注目株なのですが、活躍の方向がアクション女優になりそうで、個人的にはちと不安です。

また、今回チャン・イーモウの作品を続けて見て、ちょっと驚いたのは、中国映画というものは、比較的実直で素直な作品が多いのだろうと思っていたのだが、カット割と時間経過の編集がちょっと斬新で、まるでスティーヴン・ソダーバーグ作品のような印象を受けました。
コロンビアが提供しているのも驚きましたね。

あとは、中国の政策や現状に対する批判や、中国の教育に対しての問題提起が非常に興味深いです。
例えばこれは1999年の「あの子を探して」にも、辺境の村の教育を取巻く、同様の環境が描かれており、チャン・イーモウの中国の教育の現状に対する問題意識が強く感じられます。

また、中国の辺境の村の圧倒的なロケーション効果も素晴らしいですね。


「初恋のきた道」
「我的父親母親」
"THE ROAD HOME"
コロンビア・ピクチャーズ・フィルム・プロダクション・アジア提供
グアンシー・フィルム・ステゥーディオズ&ベイジン・ニュー・ピクチャーズ・ディストリビューション・カンパニー製作
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給
監督:チャン・イーモウ
出演:チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チョン・ハオ、チャオ・ユエリン、リー・ピン、チャン・クイファ、ソン・ウェンチョン、リウ・チー、チー・ポー、チャン・チョンシー
2000年/米中合作/カラー/シネマスコープ/1時間29分/SRD,SR/日本語字幕:太田直子、水野衛子

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索