先ごろ国内版が発売された「ロード・オブ・ザ・リング」スペシャル・エクステンデッド・エディションDVDの本編を通して観た。

スペシャル・エクステンデッド・エディションとは、劇場公開版やコレクターズ・エディションDVD版といった従来版でカットされていたシーンを復活させ、また従来のシーンに新たなカットを加え再編集を行い、場合によっては再録音や、音楽については場合によっては新録した音源を加えたもので、「ロード・オブ・ザ・リング」の決定版とか、ディレクターズ・カットと言われるべき版であり、監督のピーター・ジャクソンは、「指輪物語」三部作の第二部となる「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」は、このスペシャル・エクステンデッド・エディションの続きである。と公言しているらしい。

因みに「ロード・オブ・ザ・リング」の本編は、
劇場公開版:178分
コレクターズ・エディションDVD版:178分
スペシャル・エクステンデッド・エディションDVD版:208分
という訳で、今回の版は従来版より時間にして30分長い版ということになります。

わたしはJ・R・R・トールキンの原作「指輪物語」のファンで、今回のピーター・ジャクソンによる映画化については、−−勿論「ロード・オブ・ザ・リング」(「旅の仲間」)についてであるが、−−現在望める最高の映画化作品で、原作ファンにとっても満足できる映画化と言えると考えています。原作ファンのイメージを崩さず、最大限汲んだ映画化だと思います。

勿論物足りない部分はありますし、映画化にあたりカットされたファンにとっての重要なシークエンスはありますが、あの長大な作品の全てのシークエンスを余さず映画に盛り込むことは物理的に不可能なのですから、その辺は斟酌する必要があると思います。そういった状況での最高の映画化だと言うことです。

内容については、より完璧な映画化に近づいたという印象を受けた。
特に印象的な変更点は冒頭のプロローグにおける一つの指輪のゆくえと、ビルボの執筆風景からはじまる本編、ホビット達の酒場、モリアの直前のミスリルに関する会話、ガラドリエルからの贈り物のシークエンス、去りゆくエルフたち、あとはアクション・シークエンスである。

特にビルボの執筆風景からはじまるシークエンスは素晴らしい。執筆風景からホビットたちの生活、ガンダルフの到着にいたるカットバックは物語の導入部分として素晴らしい効果をあげている。

また、劇場公開版ではカットされていたレンバスやエルフのマントをガラドリエルから贈られるシークエンスが復活し、ギムリとエルフの奥方そして、ギムリとレゴラスとの今後の関係の伏線となっている、素晴らしいシークエンスとなっている。

あと印象的なのは、アクション・シークエンスが長くなっており、物語に厚みを加えている。モリアでの戦いや、ボロミアのシークエンスである。

あと驚いたのは、ラストについているオフィシャル・ファンクラブ・クレジットである。おそらくオフィシャル・ファンクラブに加入している人たち全員の名前をクレジットとして表示しているのだろうと思われるが、なんと15分以上あるのである。これが、本編の208分に含まれているとしたら、非常に残念である。何しろ、訳わからん名前の羅列にとってつけたような音楽がついているのであるから。

今回見直して思ったのは、人間の代表であるボロミアの描き方である。
人間のメイン・キャストはボロミアとアラゴルンが居るわけですが、従来版をステレオタイプ的に観るとアラゴルンは善、ボロミアは悪的な印象を受ける方が多いと思いますが、今回の版によって、ボロミアは誘惑に弱い人間ではあるが、立派な人間としてわかりやすく描かれている。
特にホビット達との関わりにより、優しく頼りがいがある人間として、またアラゴルンとのかかわりにとって、優秀な戦士として、またギムリやレゴラスとのかかわりによって、旅の仲間としての協調性やパートナーシップが描かれている。

やっぱ、わたしたちは人間だなあ、と思ってしまうのだ。

「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」を観る前に、是非観ていただきたい一本である。

「ロード・オブ・ザ・リング」スペシャル・エクステンデッド・エディション
"THE LOAD OF THE RING THE FELLOWSHIP OF THE RING SPECIAL EXTENDED DVD EDITION"
2001年アメリカ作品
ニューライン・シネマ作品
監督:ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、ジョン・リス=デイヴィス、ビリー・ボイド、ドミニク・モナハン、オーランド・ブルーム、クリストファー・リー、ヒューゴ・ウィービング、ショーン・ビーン、イアン・ホルム
字幕:戸田奈津子
字幕協力:田中明子
スコープサイズ
ドルビー・デジタル・サラウンド5.1chEX/dts6.1chサラウンド

コメント

tkr

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索