「チェンジング・レーン」
2002年11月24日 映画ロジャー・ミッチェルの新作「チェンジング・レーン」を観た。とは言ってもミッチェルの新作を期待して観に行った訳ではない。「トータル・フィアーズ」で見事な青二才振りを発揮したベン・アフレックの間抜けな青二才振りと、サミュエル・L・ジャクソンの鬼気迫るであろう演技に惹かれたのである。
物語は、若手敏腕弁護士ベン・アフレックの強引な車線変更により、家庭崩壊寸前で元アルコール依存症の父親サミュエル・L・ジャクソンの車との間で発生した接触事故から端を発する、復讐と謀略そして勿論アフレックの成長を描いたサスペンス映画である。
アフレックは、若手エリート弁護士をある種ステレオタイプ的に見事に演じ、その間抜け面的風貌とあいまって見事な青二才振りを発揮している。というのも、彼が勤める弁護士事務所のパートナーであるシドニー・ポラックが、スタンリー・キューブリックの遺作である「アイズ ワイド シャット」で見せたような、権力のある悪役を見事に演じていることもあるのだろう。最近は監督としてより、役者としてのキャリアを積んでいるポラックであるが、カメオ出演ではなく、今後は良い役者になるのではないだろうか。と感じた。
サミュエル・L・ジャクソンについては、残念ながら普通のいつものジャクソンであった。アルコール依存症カウンセリングのスポンサーを演じるウィリアム・ハートであるが、出番は少ないものの、役柄としてはテレピ局のお偉方のようで、かつての「プロードキャスト・ニュース」の映画的記憶を利用した良い助演的演技を添えている。
オープニングは低い視線の車載カメラによる広角的映像に特異なフォントのクレジットがかぶる印象的なもので、また、オープニング・シーンはアフレックのクライアントである財団のホールの開館式典のカットと、ジャクソンのアルコール依存症カウンセリングのカットを交互につなぐことにより、状況と主人公達の立場をわかりやすく描写し、好感が持てる。
脚本は1日の出来事を短くコンパクトにまとめているようだが、実際の出来事と捉えると、主人公達の行動があまりにも行動的すぎるきらいはあるが、概ねサスペンスフルにまとまった良い脚本で、時々良いシークエンスがある。
印象に残ったのは前述の冒頭のシークエンスや、ジャクソンのバーでのシークエンス、アフレックと妻の食事シーンとその際の会話を受けるポラック夫妻とアフレック夫妻の食事シークエンスが良かった。
予告編を観る限りでは、主人公二人のエスカレートする復讐劇に終始する印象を受けていたが、弁護士であるアフレックの倫理観やその成長物語に時間が割かれ、アクションで客を呼び、アフレックの成長物語で客を帰す映画になっていた。
誰にでもおすすめできる良質の映画、というところであろう。
「チェンジング・レーン」
"CHANGING LANES"
監督:ロジャー・ミッチェル
出演:ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、シドニー・ポラック、ウィリアム・ハート
2002年度作品
パラマウント映画
スコット・ルーディン・プロダクション
シネマスコープ/2,687m/6巻
DTS,SRD,SDDS:SR
上映時間:1時間38分
配給:UIP
翻訳:戸田奈津子
物語は、若手敏腕弁護士ベン・アフレックの強引な車線変更により、家庭崩壊寸前で元アルコール依存症の父親サミュエル・L・ジャクソンの車との間で発生した接触事故から端を発する、復讐と謀略そして勿論アフレックの成長を描いたサスペンス映画である。
アフレックは、若手エリート弁護士をある種ステレオタイプ的に見事に演じ、その間抜け面的風貌とあいまって見事な青二才振りを発揮している。というのも、彼が勤める弁護士事務所のパートナーであるシドニー・ポラックが、スタンリー・キューブリックの遺作である「アイズ ワイド シャット」で見せたような、権力のある悪役を見事に演じていることもあるのだろう。最近は監督としてより、役者としてのキャリアを積んでいるポラックであるが、カメオ出演ではなく、今後は良い役者になるのではないだろうか。と感じた。
サミュエル・L・ジャクソンについては、残念ながら普通のいつものジャクソンであった。アルコール依存症カウンセリングのスポンサーを演じるウィリアム・ハートであるが、出番は少ないものの、役柄としてはテレピ局のお偉方のようで、かつての「プロードキャスト・ニュース」の映画的記憶を利用した良い助演的演技を添えている。
オープニングは低い視線の車載カメラによる広角的映像に特異なフォントのクレジットがかぶる印象的なもので、また、オープニング・シーンはアフレックのクライアントである財団のホールの開館式典のカットと、ジャクソンのアルコール依存症カウンセリングのカットを交互につなぐことにより、状況と主人公達の立場をわかりやすく描写し、好感が持てる。
脚本は1日の出来事を短くコンパクトにまとめているようだが、実際の出来事と捉えると、主人公達の行動があまりにも行動的すぎるきらいはあるが、概ねサスペンスフルにまとまった良い脚本で、時々良いシークエンスがある。
印象に残ったのは前述の冒頭のシークエンスや、ジャクソンのバーでのシークエンス、アフレックと妻の食事シーンとその際の会話を受けるポラック夫妻とアフレック夫妻の食事シークエンスが良かった。
予告編を観る限りでは、主人公二人のエスカレートする復讐劇に終始する印象を受けていたが、弁護士であるアフレックの倫理観やその成長物語に時間が割かれ、アクションで客を呼び、アフレックの成長物語で客を帰す映画になっていた。
誰にでもおすすめできる良質の映画、というところであろう。
「チェンジング・レーン」
"CHANGING LANES"
監督:ロジャー・ミッチェル
出演:ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、シドニー・ポラック、ウィリアム・ハート
2002年度作品
パラマウント映画
スコット・ルーディン・プロダクション
シネマスコープ/2,687m/6巻
DTS,SRD,SDDS:SR
上映時間:1時間38分
配給:UIP
翻訳:戸田奈津子
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